物価高騰が家計を圧迫するなか、地方自治体による独自の住民生活支援策が注目を集めています。
三重県菰野(こもの)町が打ち出したある施策も、住民への直接的な支援にとどまらず、他地域の読者からも「こんな施策をする自治体があるのか」と熱い視線を集めそうです。
その施策とは、マイナンバーカードを利用した各種証明書の「コンビニ交付手数料の10円化」です。
菰野町は、令和8年(2026年)3月1日から令和9年(2027年)3月31日までの期間限定で、全国のコンビニ等における交付手数料を「一律10円」に大幅に引き下げることを公表しました。
新年度に向けてさまざまな手続きが発生する時期ですが、自治体の窓口やコンビニエンスストアで住民票などを取得すると、1通あたり200円〜300円程度の手数料がかかることが一般的です。
小さな出費とはいえ、重なると負担を感じるものです。
施策についてくわしく見ていきましょう。
1. 住民票や戸籍など全7種の証明書が対象!マイナンバーカード×コンビニ交付で「一律10円」に
今回の施策で対象となるのは、生活の様々な場面で必要となる以下の公的証明書です。
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 町県民税課税証明書
- 町県民税所得証明書
- 戸籍の附票の写し
- 戸籍全部事項証明書(謄本)
- 戸籍個人事項証明書(抄本)
これらがすべて1通10円で取得可能となります。
就職や進学、引っ越し、各種契約などで証明書が複数枚必要になるシーズンはもちろん、年間を通して家計の地味な負担を確実に軽減してくれる施策といえます。
住民票などのコンビニ交付が期間限定で「10円」1/2
出所:三重県菰野町「住民票などのコンビニ交付が期間限定で「10円」に 三重県菰野町」
2. なぜ「10円」が実現?物価高騰対策の交付金を活用した三重県菰野町のスマートな経済支援
この思い切った値下げを可能にしたのは、「物価高騰対策重点支援地方創生臨時交付金事業」の活用です。
国からの交付金の使い道として、商品券の配布や給付金を選択する自治体も多くあります。しかし、菰野町は「行政手数料の軽減」という形で住民に還元する道を選びました。
各種証明書は多くの住民がライフイベント等で等しく必要とするものであり、広く公平な支援となります。
また、手軽なコンビニ交付を「価格」という強力なインセンティブで後押しすることで、役場窓口の混雑緩和や行政のDX推進も同時に図れるのではないでしょうか。
住民の手間とコストを省きつつ、行政側の業務効率化も進む「Win-Win」の構造になっていると考えられます。
3. 「いつでも、どこでも、簡単に」コンビニ交付の圧倒的メリット
菰野町の住民にとってのメリットは、実は手数料の安さだけではありません。
タイムパフォーマンス(タイパ)の向上こそ、最大の恩恵だといえるのではないでしょうか。
コンビニ交付であれば、役場の開庁時間を気にすることなく取得可能となります。ちなみに、朝6時30分から夜23時までが利用可能時間となっており、土日祝も対象です。
これであれば、わざわざ時間給や半休などを取得することなく、仕事や学校の前に立ち寄ることもできます(※年末年始の12月29日~1月3日およびシステムメンテナンス時を除く)。
さらに菰野町内に限らず、セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、イオンなど、マルチコピー機(キオスク端末)が設置されている全国の店舗で利用できます。出張先や単身赴任先でも取得可能です。
役場で申請する場合は、申請書等に記入する必要もあるため、地味に時間が取られる要因になることも。コンビニ交付であれば、マルチコピー機のタッチパネルを案内に従って操作するだけで、その場で発行されます。
利用に必要なのは「マイナンバーカード」のみです。
4. 他自治体への波及効果にも期待
今回のような菰野町の取り組みは、他エリアに住む方にとっても決して無関係なニュースではありません。
「自分の住む街では、交付金を使ってどんな独自の支援策を行っているのだろうか」「うちの自治体でもこの仕組みを導入してほしい」と、地域の行政サービスに関心を持つ絶好のきっかけを与えてくれるからです。
地方自治体の限られた財源とリソースの中で、いかに住民の満足度を高め、生活の質(QOL)を向上させるか。
物価高という逆風の中で実施される菰野町の「1通10円」の証明書交付は、小さくとも確実な経済支援であり、今後の行政サービスのあり方を示すひとつのモデルケースと言えるでしょう。全国的な広がりにも期待したいところです。
住民票などのコンビニ交付が期間限定で「10円」2/2
出所:三重県菰野町「住民票などのコンビニ交付が期間限定で「10円」に 三重県菰野町」
参考資料
LIMO編集部