4. 年金の「繰上げ・繰下げ受給」どちらの方が選ばれている?
老齢厚生年金(特別支給を除く)の受給権者における繰上げ・繰下げの利用状況は、近年ゆるやかに変化しています。
令和6年度末時点では、繰上げの利用率が1.2%、繰下げが1.9%となっており、繰下げのほうが繰上げを上回る結果となっています。
繰上げの利用率は令和2年度の0.5%から徐々に増加しているものの、依然として高い水準とはいえません。
一方、繰下げの利用率は1.0%から1.9%へと伸びており、受給開始を後ろにずらす選択が広がっている様子がうかがえます。
4.1 70歳時点で進む「繰下げ選択」の広がり
70歳時点の状況を見ると、繰下げの利用率は令和6年度で4.2%まで伸びており、その増加傾向がよりはっきりと表れています。
背景には、就労を続ける高齢者が増えていることに加え、繰下げによる年金額の増加メリットが広く認識されてきたことがあると考えられます。
また、制度改正によって繰下げ可能な年齢が拡大されたことも、利用の広がりを後押ししているとみられます。
一方で、繰上げの利用は依然として限定的であり、老後の資金設計においては「早く受け取る」よりも「増やして受け取る」という考え方が強まりつつあるといえるでしょう。
今後は、働き方や家計の状況を踏まえながら、自分に合った受給開始時期を選ぶ重要性が一層高まると考えられます。
著者
ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格(証券外務員一種)
一種外務員資格(証券外務員一種)、3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)を保有。日本大学国際関係学部卒業後、東洋証券株式会社に入社。国内外株式、債券、投資信託、保険商品の販売を通じ、主に個人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。特に中国株式、投資信託の提案を得意とし、豊富な金融知識を活かした顧客ニーズに沿う提案が強み。現在は個人向けに資産運用のサポート業務を行う。また、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」でも執筆を行う。(2026年7月12日更新)
監修者
マネー編集部年金班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、地方自治体の公務員や生命保険会社等の金融機関にて勤務経験が豊富な編集者が中心となり、厚生労働省や官公庁の公開情報等をもとに公的年金(厚生年金保険と国民年金)、年金制度の仕組み、社会保障制度などをテーマに、丁寧で読者にとってわかりやすい記事の情報発信を行っています。
マネー編集部年金班に所属する編集者は日本生命保険相互会社出身の村岸理美、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか等のファイナンシャルアドバイザー経験者等で構成されており、表彰歴多数の編集者も複数在籍しており、豊富な金融知識をもとにした記事に定評があります。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。生保関連業務経験者は過去に保険募集人資格を保有。(最新更新日:2025年6月8日)