2016年3月期Q3(10-12月期)決算発表後の株価は大幅上昇に
ソニー(6758)は2016年1月29日(金)に2016年3月期Q3(10-12月期)の決算を発表。翌営業日の2月1日(月)の株価は+12.4%の上昇率となり、TOPIXの+2.1%を大きく上回りました。
今回は、なぜソニーは決算発表後に買われたのかを、Q3の決算内容を読み解きながら考えたいと思います。
課題事業が大幅に改善
ソニーの2016年3月期Q3の営業利益は、対前年同期比で+11%増の2,021億円となっています。また、Q3のセグメント別営業利益は、デバイスが電池事業の減損やイメージセンサの売上減が響き大幅な赤字転落となりましたが、他のセグメントは全て増益を達成しています。
特に注目できるのが、これまでソニーの足を引っ張っていたテレビやスマホが大幅増益に転じていたことです。テレビ事業は4Kなどの高付加価値モデルへのシフトが進んだ結果、販売台数は前年割れとなりましたが、営業利益は大きく伸びています。
また、テレビが含まれるホームエンターテインメント&サウンドの通期の営業利益見通しも、テレビの好調を主因に上方修正されています。ソニーのテレビ事業は2014年3月期まで10年連続の赤字が続いていたことを思うと、隔世の感があります。
また、スマホについてもテレビ事業と同様に、高付加価値モデルへのシフトが奏功し、営業利益は対前年同期比では約2.4倍の大幅増益となっています。ゲームも引き続きPS4関連が好調、デジカメも製品ミックスの改善やコストダウン効果で増益を確保しています。
デバイス事業の悪化も一時的
上記のように、これまで課題事業であったものを含む多くの事業での業績好調が確認されたことが、決算後の株価上昇の一因であることは疑いの余地はありませんが、不振であったスマホ用イメージセンサ事業についても、2017年3月期Q1(4-6月期)から回復の可能性が会社側から示唆されたことも見逃せない要因です。
今回のQ3決算では、スマホ市場の調整により多くの電子部品メーカーの業績悪化が明らかになりましたが、ソニーのデバイス部門も例外ではありませんでした。ただし、循環的に見た場合、この1-3月期が大底になる可能性が示唆されたことは、ソニーに限らず、関連メーカーにとっては朗報として捉えることができそうです。
音楽も予想外に好調
今回の決算での「意外な驚き」は、音楽配信事業およびアニメ制作・配信やスマホアプリなどの映像メディアプラットフォーム事業を手掛ける100%子会社のアニプレックス社などの好調により、音楽部門の通期見通しが上方修正されたことです。
アップルミュージック、Spotify(スポティファイ)など音楽のストリーミング配信の普及でCDの売上が減少し、ソニーはダメージを受けるのではないかという懸念がありました。しかし、公表された結果は逆で、ストリーミングサービスを提供する会社への配信やソニー自身のストリーミングサービス事業の拡大は、CDの売上減を十分にカバーして余りあるものでした。
また、新たに好調な子会社が現れてきたことからも、ソニーの中で事業の新陳代謝が進んでいることが読み取れ、ポジティブなニュースと言えそうです。
このように、2月1日の株価上昇の要因は多岐にわたるので、これからのソニーの動向を様々な側面から精査していく必要がありそうです。
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LIMO編集部