3. 両方持ちは「あまり意味がない」

ここまで解説したS&P500とオルカンの特徴を踏まえて、NISAでオルカンとS&P500の2本で積立を行うことの検討をするとすれば、「安定投資を目指す人には推奨できない」という結論になります。ここからは、その理由とリスクについて解説します。

3.1 分散投資の効果がほとんどない

まず、2つの銘柄に投資することで「分散投資」の効果を狙うのであれば、ほとんど効果がありません。S&P500は米国の上位企業の株価を網羅した指数であり、それだけで業種における「分散」は完成しています。しかし、指標となるS&P500は対象が米国企業のみであるため「国」としての分散はできていません。

分散投資のポイント3/3

分散投資のポイント

出所:金融庁「資産形成の基本」

一方で、オルカンは全世界株式を対象にしているものの、実情としてはその6割以上が米国株式です。組み入れられている企業にはS&P500と重複しているものも多く、両方を購入したとしても、「米国株式への上乗せ」といった形になり、「分散」の効果はあまりないと言えます。

分散投資を目的とするのであれば、米国以外の株式(日本や欧州、新興国など)や債券を組み入れた投資信託を購入するなどの、別の方法を検討する必要があります。

3.2 米国株への極端な集中投資になるリスク

オルカンとS&P500を両方買った場合に生じる一番のリスクは、自分でも気づかないうちに「米国株への集中投資」になってしまう点です。

先ほど説明した通り、現状ではオルカンの組み入れ銘柄の約60%以上が米国株です。つまり、仮にオルカンとS&P500を半分ずつ持った場合、保有資産の約80%以上が米国株ということになります。2つの銘柄に分けて投資していることで「分散投資しているつもり」でいると、気がつけば米国銘柄に投資先が極端に偏っているということになってしまいます。

投資先が一つの国に集中していると、過去のリーマンショックのように米国市場全体が暴落した時に、保有資産のすべてが連動して大きく下落してしまいます。さらに、ドル円の為替変動の影響を極めて強く受けるようになり、円高が進むと円換算で換金した際の資産価値が大きく下がってしまうという危険性があります。

「長く投資を続けることで安定して資産を育てる」という、ある程度の守りの投資を行いたいのであれば、投資先の国はできる限り多く分ける方が望ましいため、中身が重複する両方持ちはあまり推奨できないという結論になります。

3.3 「両方持ち」をしても良い人とは?

とはいえ、2つの銘柄を併せ持つことが、どのような場合でも推奨できないわけではありません。現在のオルカンが「米国株式メインである」ということをきちんと認識した上で、追加投資先として検討をするのであれば、2本立ての投資も有効である場合もあります。

例えば、すでに日本株や欧州株など複数の国・地域への投資を行っており、自身の資産全体のバランスを見渡した上で、米国株式に対する投資を追加したいと考えた場合などが考えられます。

「基本は米国株の成長に期待して比率を高めつつ、オルカンに含まれる日本や欧州など他地域の成長も少しは取り入れておきたい」といった明確な意図があるのなら、両方持ちも一つの選択肢になるでしょう。