「進学や結婚を控えた子や孫に、まとまった資金を贈りたい」とお考えではありませんか?春の訪れとともに新生活が始まるこの時期、資産承継を検討し始める方も多いでしょう。しかし、単に口座へ振り込むだけでは、将来「名義預金」として多額の税金を課される恐れがあります。
今回は、2027年に新設予定の「こどもNISA」の最新調査結果をもとに、家族の資産を賢く守り、確実に届けるための「贈与の基本」について解説します。
1. 贈与は"契約"、「あげます」だけでは不十分?双方の「合意」が必要
法律上の贈与は、あげる側の一方的な行為ではなく、受贈者が「受け取ります」と承諾して初めて成立する「契約」です。この「双方の合意」が記録として残っていないと、税務署から確認を受けた際、贈与として認められない恐れがあります。家族間のお金のやり取りであっても、合意を明確にしておくことが大切です。
1.1 贈与税の負担が軽減?「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の違い
贈与税の税率は、贈与者と受贈者の関係によって2種類に分けられます。
特例贈与財産(特例税率)
贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の受贈者が、父母や祖父母などの直系尊属から受け取った財産。一般税率よりも低い税率が適用されます。
一般贈与財産(一般税率)
兄弟間、夫婦間、叔父叔母からの贈与など、特例以外に該当するもの。
《贈与額500万円の例で計算》
- 一般贈与:390万円×20%−25万円=53万円
- 特例贈与:390万円×15%−10万円=48.5万円
110万円を引いた課税価格が390万円(贈与額500万円)の場合、一般贈与だと税額は53万円ですが、特例贈与だと48万5000円となり、負担が軽減されるメリットがあります。
2. 贈与の注意点、「ただ渡す」だけは危ない?《名義預金》を防ぐには?
名義預金とは?3/4
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合意があっても、実際の管理状況によっては預金が「名義預金」と判断されることがあります。名義預金とは、口座の名義人(子や孫)とは別に、実際のお金の管理を親や祖父母が行っているケースです。
税務署に「預金の所有者は親である」と判断されると、その預金は贈与者の相続財産に含まれ、追加で相続税が必要になるリスクがあります。これを避けるには、以下の対策が非常に有効です。
- 贈与契約書の作成:氏名・押印・金額・日付・贈与の意思を明記し、客観的な証拠を残します。
- 銀行振込の活用:振込記録は「誰から誰に、いつ、いくら」渡したかを示す確実な証拠となります。
3. 2027年創設「こどもNISA」0歳からの非課税投資が資産承継を変える
これまで未成年向けのNISA制度(ジュニアNISA)は終了していましたが、金融庁が発表した「令和8(2026)年度税制改正について」によると0歳から17歳を対象とした、いわゆる「こどもNISA」が2027年創設予定とされています。これにより、つみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、幅広い世代でNISAが活用できるようになります。
3.1 年間60万円まで非課税!「こどもNISA」5つの注目ポイント
0歳から投資可能
これまで18歳以上だった「つみたて投資枠」の年齢制限がなくなり、0~17歳でも利用できるようになります。
年間60万円の非課税枠
1年間で最大60万円、合計で600万円までの投資から得られた利益に税金がかかりません 。
対象は長期運用向けの商品
金融庁の基準を満たした、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されています。
12歳から「払い出し」が可能
原則として、子供が12歳以降になれば、子の同意があることや資金使途が子のためのものであるといった一定の要件の下、親権者等による払い出しが可能になります。12歳以降いつでも払い出し可能という訳ではないので、今後の詳細な制度設計とともに注視する必要があります。
18歳以降は「大人のNISA」スムーズに移行
子供が成人(18歳)になると、保有資産は自動的に通常のNISA枠(つみたて投資枠・成長投資枠)へと引き継ぎが予定されていますが、将来の制度詳細を注視する必要があります。
この制度への入金も「贈与」にあたるため、名義預金とみなされないよう正しく手続きを踏むことで、非課税メリットを活かしながら効率的に教育資金を準備できます。
4. まとめにかえて
今回は、2027年に新設予定の「こどもNISA」の最新調査結果とともに、「贈与の基本」について解説しました。
贈与は単なる送金ではなく、家族の未来を支える大切な「契約」です。2027年から始まる「こどもNISA」は、教育資金を貯めながら非課税メリットを受けられる、私たちにとって強力な味方になるはずです。
今のうちから「贈与契約書」を交わす習慣をつけたり、新制度の情報を家族で共有したりしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 国税庁「令和6年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(報道発表資料)」
- 国税庁タックスアンサー「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
- 国税庁「財産をもらったとき」
- 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」
- e-GOV法令検索「民法 第549条」
筒井 亮鳳