全国健康保険協会の2026年度の保険料率は、全国的に引き下げや横ばいの動きになっており、今年度からさらに負担が増えることはないようです。現役世代の人は、この保険料率をもとに、給与から差し引かれる健康保険料が決定します。
一定の年齢になると、健康保険料に加えて介護保険料の徴収も始まります。ある日突然納付が始まる費用であることから「いつまで納めるのだろう」「いくら支払っているのだろう」と不思議に思う人も少なくないでしょう。
この記事では、介護保険料の納付期間や納付額などを、仕組みを交えて解説します。
※執筆時点の資料をもとに試算を行っています。
1. 介護保険料の仕組み
介護保険料は、介護保険制度を運営するために必要な保険料です。社会全体で高齢者の介護を支えるための重要な費用といえます。
介護保険制度は、2000年に始まりました。高齢化が進むなかで、介護が必要な人が増え、介護期間も長くなってきています。また、介護をする人の高齢化も進んでいるなど、家族の状況にも変化が生まれてきています。こうした課題を社会全体で解決する制度が、介護保険制度なのです。
介護保険料は、以下の2つに区分されます。
- 第1号被保険者:65歳以上
- 第2号被保険者:40〜64歳
第1号被保険者は前年の所得に応じて保険料が決まります。一方、第2号被保険者は、給与を一定の等級で区分した「標準報酬月額」に、保険料率を掛けて保険料を計算する仕組みです。金額は住む自治体や健康保険組合によって異なるため、自分の住む自治体や勤める企業の保険料率・保険料の計算基準をよく確かめておきましょう。
次章では、介護保険料の納付期間について解説します。
2. 介護保険料はいつからいつまで支払う?
介護保険料は、40歳から徴収が始まります。徴収が始まって以降は、生涯にわたって納め続けなければなりません。
具体的には、満40歳に達したときから徴収が始まります。満40歳に達するのは「40歳の誕生日の前日」です。この日が属する月から介護保険の第2号被保険者として、保険料を納めます。
たとえば、5月2日生まれの人が満40歳に達するのは、5月1日です。そのため、5月分から介護保険料の徴収が始まります。一方、5月1日生まれの人が満40歳に達するのは、4月30日です。よって、介護保険料は4月分からの徴収となります。
このように、生年月日によって、人より早い時期から介護保険料の徴収が始まる可能性があります。家計に影響を及ぼすタイミングも早まるため、徴収の仕組みを正しく理解しておくのが重要です。
そして、介護保険料は生涯にわたって納め続ける必要があります。国民年金保険料のように、一定の年齢になれば納付義務が終わるわけではない点に注意が必要です。とくに、65歳以上の第1号被保険者になると、前年の所得をもとに保険料額が区分されるため、納付額が大きく変わる可能性があります。介護保険料は生涯支払い続けることを念頭に、家計管理をしなければなりません。
次章では、1ヵ月に支払う保険料について解説します。
3. 介護保険料はひと月いくら支払う?
介護保険料の金額は、年齢や加入する健康保険によって変わります。例として、以下の2パターンの保険料を見てみましょう。
- 東京都の企業(協会けんぽ加入)に勤める、月給35万円の第2号被保険者
- 東京都新宿区に住む年金収入200万円の第1号被保険者
まずは、東京都の企業に勤める年収500万円の第2号被保険者の保険料を見ていきましょう。協会けんぽの場合、2025年度の介護保険料率は1.59%です。そして、月給35万円の場合、標準報酬月額は36万円です。よって、保険料は以下のようになります。
- 36万円×1.59%=5724円
月に5724円の介護保険料が徴収されます。第2号被保険者の介護保険料は、健康保険料と同様に事業主が半額を負担します。よって、実際に自分で負担するのは2862円です。
次に、東京都新宿区に住む年金収入200万円の第1号被保険者の保険料を見ていきましょう。新宿区の保険料区分によると、第1号被保険者で年金収入200万円(所得90万円)の場合、保険料額は月額7260円です。基準額(6600円)の1.1倍の金額となっており、第2号被保険者に比べると保険料は高めです。
第1号被保険者の介護保険料は、基本的に年金から差し引かれます。年金は給与よりも金額が少ないのが一般的です。少ない収入から現役時代よりも多くの保険料が差し引かれるため、家計への影響は決して小さくありません。
次章では、介護保険料以外に納める費用について解説します。
4. 介護保険料以外に私たちが負担するお金
私たちは、介護保険料以外にもさまざまな費用を負担します。いずれも給与や年金から差し引かれ、差引後のお金で家計管理をすることになります。
介護保険料以外に私たちが納める主な費用は、以下のとおりです。
介護保険料以外に納める主な費用2/2
筆者作成
第1号被保険者
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料
第2号被保険者
- 所得税
- 住民税
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
※所得税・住民税は、収入によって非課税になる場合がある。
私たちが納める税金や社会保険料は、上記のように多岐にわたります。第2号被保険者については、実質負担割合が9.15%の厚生年金保険料、第1号被保険者については、前年の所得に応じて金額が決まる国民健康保険料・後期高齢者医療保険料が、とりわけ重い負担になる可能性が高いです。
上記の費用を適切に納めることに加え、それぞれの金額を考慮したうえで家計を管理することが重要です。
5. まとめ
介護保険料は、40歳になると生涯にわたって徴収される費用です。1ヵ月あたりの費用は加入する健康保険組合や居住する自治体にもよりますが、今回の試算では、第2号被保険者で約3000円、第1号被保険者で約6000円です。
年間で数万円の負担になることから、家計にも影響が及びます。適切に納められるよう、日頃から十分な資産・貯蓄を用意しておくのが望ましいです。
参考資料
- 全国健康保険協会「令和8年度都道府県単位保険料率」
- 全国健康保険協会「介護保険制度と介護保険料について」
- 全国健康保険協会「令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 新宿区「介護保険料の決まり方」
石上 ユウキ