新年度を控えた3月は、これからの生活設計を改めて見直す機会も多い時期です。こうした中、厚生労働省より2026年度(令和8年度)の年金額が前年度より引き上げられることが公表されました。
本記事では、2026年6月の振込分から適用される最新の年金額例について、一人当たりの国民年金や夫婦世帯の厚生年金といった具体的な数字を提示します。
また、最新の国民生活基礎調査をもとに、公的年金だけで生活している世帯の割合など、シニア世代の収入実態を明らかにします。さらに、60歳代から80歳代までの年齢別・男女別の平均受給額データを通じ、現在の受給水準がどのようになっているのか詳しく確認していきましょう。
1. 2026年6月振込分から年金額は「増額」されます
公的年金の受給額は、物価や賃金の動向を踏まえて年度ごとに見直しがおこなわれます。
2026年4月からの年金額の改定について確認してみましょう。
2026年度の年金額は、前年度から国民年金(基礎年金)1.9%、厚生年金(報酬比例部分)2.0%引き上げられました。
1.1 2026年度の国民年金と厚生年金の年金額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分)(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
1.2 年金支給日
公的年金は、「偶数月の15日(土日の場合は直前の平日に前倒し)」に、前月までの2カ月分がまとめて支給されるルールです。
そのため、この改定率は6月に支給される「2026年4月分・5月分」の年金から適用されます。
なお、今回の改定内容公表時、「多様なライフコースに応じた年金額」として、現役時代の働き方や収入別での年金額の例も提示されています。
2. 老後「公的年金」だけで生活できているシニア世帯は43.4%
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している世帯」のうち、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%であることが明らかになりました。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
2.1 【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
言い換えると、年金受給世帯の約6割が、公的年金以外の収入が必要な状態にあるということになります。
貯金を取り崩す、私的年金で補填するなどの対策が必要です。
次章では、現代のシニア世代が年金をどれくらい受けとっているのか、平均年金月額を確認していきます。
3. 60歳代【年金一覧表】厚生年金・国民年金の平均年金月額
ここからは、今のシニア世代が実際にどのくらいの年金を受け取れているかを見ていきましょう。60歳代~80歳代の各年齢の平均年金月額を、厚生年金と国民年金それぞれ確認します。
なお、ここで紹介する厚生年金の月額には、国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれます。
3.1 【厚生年金一覧表】60歳代の平均月額(60〜69歳)
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
3.2 【国民年金一覧表】60歳代の平均月額(60〜69歳)
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
老齢年金の一般的な受給スタート年齢は原則65歳。
65歳未満は繰上げ受給(※1)を選んだ人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人の年金額となるため、厚生年金・国民年金ともに65歳以降よりも少なめです。
65歳から69歳までの平均年金月額は、厚生年金14~15万円台、国民年金6万円台となっています。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。
4. 70歳代【年金一覧表】厚生年金・国民年金の平均年金月額
70歳代の各年齢の平均年金月額を見ていきます。
4.1 【厚生年金一覧表】70歳代の平均月額(70〜79歳)
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
4.2 【国民年金一覧表】70歳代の平均月額(70〜79歳)
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
70歳代の平均年金月額は、厚生年金14~15万円台、国民年金5万8000~6万円台でした。
5. 80歳代【年金一覧表】厚生年金・国民年金の平均年金月額
80歳代の各年齢の平均年金月額はどうでしょう。
5.1 【厚生年金一覧表】80歳代の平均月額(80〜89歳)
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
5.2 【国民年金一覧表】80歳代の平均月額(80〜89歳)
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
80歳代の平均受給額は、厚生年金15万円~16万円台、国民年金5万8000円~9000円台です。
いずれの年代においても、平均年金月額に大きな年齢差は見られませんでした。しかし、これはあくまでも「各年齢の平均」である点には留意が必要です。
老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況によって人それぞれとなっています。
6. 【厚生年金・国民年金】年金額の個人差・男女差も見ておこう
ここからは、全受給権者(60歳~90歳以降)の年金月額の個人差・男女差も確認していきます。
6.1 厚生年金《平均月額の男女差・個人差に着目》
〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
年金月額階級ごとの受給者数
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金(国民年金を含む)の場合、月額1万円未満となるケースから、30万円以上の高額受給者まで、幅広い受給額ゾーンに分布しており、個人差の大きさが分かります。
また、男女全体の平均年金月額は15万円台ですが、男性平均は女性平均よりも6万円ほど多くなっています。
6.2 国民年金《平均月額の男女差・個人差に着目》
〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
年金月額階級ごとの受給者数
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は、男性が6万円台、女性が5万円台です。
3万円未満の低年金となる人も一定数存在するものの、ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」。満額に近い受給額を受け取る人が少なくないことがうかがえます。
7. ねんきん定期便でご自身の加入状況や受給見込額の確認を
今回は、2026年度の公的年金額改定と、シニア世代の受給実態についてデータをもとに解説しました。最新の調査では、年金受給世帯の約6割が、貯蓄の取り崩しや私的年金など、公的年金以外の収入を必要としている状況が分かります。
平均受給額を見ると、厚生年金では男性が16万9967円、女性が11万1413円となっており、加入期間や収入によって個人差が非常に大きいのが特徴です。
国民年金については、ボリュームゾーンが6万円以上から7万円未満となっており、満額に近い金額を受給している層が一定数存在します。
まずはご自身の年齢や加入状況における平均的な水準を知ることで、老後の家計状況を客観的に捉え、将来に向けた準備を具体化する第一歩としてください。
次は、ねんきん定期便などを用いて、ご自身の具体的な受給見込み額を確認してみるのはいかがでしょうか。









