新年度を迎えるにあたり、将来の生活を支える公的年金についても改めて確認しておきたい時期です。日本年金機構は3月2日、令和8年4月1日に「令和8年度 国民年金保険料納付書」を発送すると発表しました。
本記事では、「国の保険」である国民年金の意義とともに、免除期間の「追納制度」についてファイナンシャルプランナー(FP)の視点から整理します。
1. 【国民年金保険料】令和8年度「国民年金納付書」の発送は4月1日。
厚生労働省が令和7年12月に公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、自営業者やフリーランス、学生などが加入する「第1号被保険者」は約1300万人にのぼります。
このうち、全額免除・一部免除、納付猶予、学生納付特例などの制度を利用している人も一定数存在します。働き方や収入状況、ライフステージの変化に応じて制度を活用することは、法律で認められた正当な選択です。
また、近年は「産前産後免除制度」の利用も広がっており、制度の柔軟性は年々高まっています。重要なのは、免除や猶予を受けた後、将来の年金額をどのように補っていくかを検討することです。
1.1 令和8年度の保険料と納付スケジュール
令和8年度(令和8年4月分〜令和9年3月分)の保険料については、4月1日に納付書が一斉発送されます。
支払い方法は、銀行・郵便局・コンビニでの窓口納付に加え、スマートフォン決済アプリやインターネットバンキング(Pay-easy)など、電子納付にも対応しています。
また、2年分をまとめて支払う「2年前納」を利用すると、一定の割引が適用されます。令和8年度分の2年前納の申込期限は令和8年4月30日までとされており、希望する場合は早めの確認が必要です。
2. 【国民年金保険料】「NISAより追納を優先すべき?」将来の年金額を補う「追納」の強み
免除や納付猶予を受けた期間は、年金を受給するための「受給資格期間」には算入されます。しかし、そのままでは老齢基礎年金の受給額に十分反映されません。その不足分を後から補う仕組みが「追納制度」です。
国民年金は老後の生活保障にとどまらず、障害や死亡といったリスクにも対応する公的保険制度です。追納は、主に「老後(老齢基礎年金)」の保障を将来にわたり充実させる手段の一つといえます。
2.1 「追納」と「NISA」はどう考えるべきか
近年、新NISAの普及などで資産形成への関心が高まり、FPである筆者のもとにも「年金を追納するくらいなら、その資金をNISAで運用したほうが効率的なのでは?」という相談が寄せられることもありました。
確かに、NISAは運用益が非課税になる非常に優れた制度であり、長期的な資産形成において強力な武器となります。しかし、国民年金の「追納」には、市場の相場変動に左右される投資とは本質的に異なる、公的制度ならではの圧倒的なメリットが存在します。
追納は単なる「過去の精算」ではありません。支払った瞬間に所得控除による節税メリットを享受でき、さらに将来の受給額が確実に増えるという点では、非常に再現性の高い資産防衛術の一つといえるでしょう。
3. 【国民年金保険料】追納メリットと「10年ルール」に注意!
追納のメリットをみていきましょう。
3.1 追納メリット①社会保険料控除の対象
追納した保険料は全額が社会保険料控除の対象となり、所得税・住民税の軽減につながります。
例えば、所得税と住民税の合計税率が20%の人であれば、追納額の20%相当分が節税となります。投資収益は将来の運用状況によって変動しますが、追納による税軽減効果は、支払ったその年の所得に対して即効性のあるメリットが得られる点が、長期運用のNISAとは異なる大きな特徴です。
3.2 追納メリット②生涯にわたる年金給付
NISAで運用した資産は取り崩せば減少しますが、追納によって増えた老齢基礎年金は一生涯受け取ることができます。物価変動などの経済変化にも対応する公的年金ならではの安定性は、長生きリスクに備える上での大きな安心材料です。
3.3 追納メリット③障害・遺族保障との関係
学生納付特例や納付猶予の期間は、承認を受けていれば、万が一の際の「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」の受給資格期間として扱われます。追納の有無によってこれらの受給額が変わることはありませんが、追納を行わなければ老齢基礎年金は免除分だけ減額されます。将来の生活設計を見据え、受給バランスを整えておくことが重要です。
3.4 追納の期限と注意点
追納が可能なのは、承認を受けた月から10年以内です。
さらに、免除等の承認から3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。家計に余裕ができた段階で、できるだけ早めに検討するとよいでしょう。お近くの年金事務所にご相談ください。
国民年金の追納は、日本年金機構のホームページや「ねんきんネット」で「国民年金保険料 追納申込書」を作成・入手し、必要事項を記入のうえ本人確認書類(マイナンバーカード、またはマイナンバー確認書類と身元確認書類)を添付して、最寄りの年金事務所へ窓口または郵送で提出することで申請できます。
4. 【国民年金保険料】納付書をきっかけに現状の確認を
今回は最新の調査結果をもとに、国民年金保険料の納付スケジュールと追納の重要性について解説しました。
4月に届く納付書は、自身の年金加入状況を確認する良い機会です。NISA等での運用も大切ですが、併せて「追納」という確実な選択肢を検討してみるのも一案です。詳細な加入状況や見込額は「ねんきんネット」で確認できます。まずは現状を正しく把握し、自身のライフプランに合った判断をすることが大切です。
※LIMOでは、記事の内容に関する個別の相談や、具体的な公的年金の受給額に関するお問い合わせは承っておりません。ご自身の納付状況や受給見込額等に関する詳細、個別のご相談については、お近くの年金事務所や「ねんきん加入者ダイヤル」等へお問い合わせください。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「【令和8年4月1日発送】令和8年度の国民年金保険料納付書をお送りします」
- 日本年金機構「国民年金保険料 納付のご案内」
- 日本年金機構「国民年金保険料納付案内書」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料 追納申込書」
村岸 理美