春の訪れを感じる3月は、新年度を前に家計や生活設計を見直す人も多い時期です。
定年後も働き続ける人が増えるなか、「年金以外に受け取れる支援制度はないのか」と気になっているシニア世代もいるのではないでしょうか。
実は、日本には60歳・65歳以上の人を対象とした公的給付制度がいくつもあります。低年金の人を支援する制度や、働き続ける人を支える給付、住環境の整備を支援する制度など、さまざまな支援が用意されています。
ただし、これらの制度の多くは申請しなければ受け取れないケースもあり、対象となっていても制度を知らずに利用していない人も少なくありません。
この記事では、シニア世代が利用できる代表的な公的給付制度を整理するとともに、老後生活への不安に関する調査データについても紹介します。
1. シニア世代が利用できる代表的な公的給付制度5つ
公的給付金や支援制度を知らなければ申請できず、そのまま受け取り損ねてしまうケースも珍しくありません。ここでは、対象者が多いにもかかわらず見落とされがちな、5つの制度を取り上げます。
1.1 年金生活者支援給付金
年金収入が一定水準を下回る方に対して、年金に上乗せして支給される給付金です。老齢年金受給者への支給額は月額5450円(2025年度)で、年金と同じく2カ月ごとの偶数月に振り込まれます。
対象となる方には日本年金機構からはがきで案内が届きますが、見落としや未返送のまま放置してしまうと給付が受けられません。受給資格があるか気になる方は、早めに年金事務所へ問い合わせることをおすすめします。
年金生活者支援給付金は、初回の請求手続きさえ完了すれば、要件を満たす限り翌年以降も自動的に継続されます。ただし、収入が増加するなど要件を外れた年度は支給が止まります。毎年8月頃に届く「支給継続の案内」を確認する習慣をつけておきましょう。
1.2 高年齢雇用継続基本給付金
定年後も働き続ける方の多くが直面するのが、再雇用による賃金の大幅な低下です。この給付金は、60歳時点と比べて賃金が75%未満に下がった場合に、その低下幅に応じて最大で賃金の10%相当額を補填する雇用保険の制度です。対象は、雇用保険の加入期間が通算5年以上ある60〜64歳の方です。
手続きは通常、勤務先がハローワークに代わって行いますが、担当者の手続き漏れや認識不足から申請されていないケースもあります。給与明細を確認し、給付金が反映されているかどうか、念のため人事担当者に確認しておくと安心です。
1.3 高年齢求職者給付金
65歳以上で退職した方が受け取れる一時金です。65歳未満の失業保険(基本手当)のように毎月支給される仕組みではなく、一括での給付となる点が大きな違いです。
受給には、離職前の1年間に雇用保険の加入期間が通算6カ月以上あること、そしてハローワークで求職の申し込みを行うことの2つが条件です。給付額は加入期間に応じて基本手当日額の30日分または50日分となります。
自動的に支給される制度ではないため、退職後は早めにハローワークへ足を運ぶことが重要です。手続きが遅れると受給できる期間が短くなる場合もあります。
1.4 厚生年金の加給年金
厚生年金を受給している方に、一定の要件を満たす扶養家族がいる場合に加算される制度です。年額の加算額は配偶者・第1子・第2子がそれぞれ23万9300円、第3子以降は各7万9800円となっています。
申請は老齢厚生年金の請求手続きと同時に行います。65歳の誕生日の3カ月前に届く年金請求書に家族情報を記入し、戸籍謄本や所得証明書などを添えて提出します。
加給年金は配偶者が65歳になり、自身の老齢基礎年金を受け取り始めると支給が終了します。その代わりに配偶者の年金に「振替加算」が加わる仕組みになっていますが、金額は加給年金より少なくなるケースがほとんどです。受給終了のタイミングを把握したうえで、家計計画に反映しておきましょう。
1.5 高齢者住宅改修費用助成制度
介護保険制度の中に、住宅のバリアフリー改修費用を助成する仕組みが設けられています。要支援・要介護の認定を受けている方であれば、認定区分に関わらず工事費用の補助を受けることができます。
対象工事は、手すりの設置、段差の解消、滑り止め床材への変更、引き戸への取り換え、洋式便器への交換などです。注意すべきは、必ず工事着工前に申請を行うことです。工事後の申請は原則として認められません。
まずケアマネジャーに相談し、施工業者の選定と見積もり取得を進めてから申請手続きへと進みましょう。



