3. 給付付き税額控除で期待される3つのメリット

給付付き税額控除が実施される主なメリットとして、次の3つが挙げられます。

3.1 所得に応じた適切な支援が行える

これまでの減税措置は、支払っている税額を安くする性質のものでしたが、これには大きな弱点がありました。

つまり、住民税非課税世帯など、もともと所得税を払っていない世帯には、どれだけ減税しても利益がないという問題です。

2024年に行われた定額減税では、減税しきれない方に別途給付金が支給されましたが、煩雑な仕組みとなっており、自治体の事務負担が増大する結果となりました。

しかし、給付付き税額控除であれば「減税」と「給付」を同時に実施できるため、低所得層にも確実に支援を届けられるとされています。

3.2 年収の壁の引上げにおける「働き損」を解消できる

現在、所得税の非課税枠を178万円に引き上げるという議論に注目が集まっており、パートやアルバイトの働き控えが解消できるとされています。

しかし、ただ単に枠を引き上げただけでは、新たな年収の壁が生じるだけと指摘する声もあります。

給付付き税額控除を実施すると、所定の所得を超えて税金や社会保険料が発生しても、働き損にはならない仕組みにすることが可能です。

その結果、働き控えや労働不足の解消につながることが期待されています。

3.3 消費税の逆進性を緩和できる

逆進性とは、低所得な人ほど実質的な税負担が重くなる現象のことです。

そもそも税金は、高所得な人ほど多く支払う累進性が基本となっていますが、消費税はその反対の性質を持っています。

高所得者では年収に対する消費税の支払額の割合は小さくなりますが、低所得者では年収に対する消費税の割合が大きくなります。

そこで給付付き税額控除を実施すると、低所得者に重すぎる消費税負担をあとから現金で戻せるため、トータルの税負担を調整できるとされています。

4. まとめ

高市内閣が検討を進める「給付付き税額控除」とは、所得水準に応じて税金の控除と現金給付を組み合わせて受けられる制度です。

所得税から所定の金額を差し引き、差し引ききれない金額がある場合、差額が現金で受け取れます。

所得税の納付負担がない場合でも現金給付が受けられるため、所得水準に影響されず、不公平感のない支援が可能とされています。

制度の詳細は、2026年春以降に議論が本格化するため、今後の政府からの発表に注視しましょう。

参考資料

木内 菜穂子