それは長男だけでなく、次男も同じであることを知り、「年上の子どもは小さな子どもを泣き止ませようとする優しさをもつ」ことを知りました。

下の子の様子を見ていると、上の子が泣き止ませるほうが親よりも早く泣き止む場面が多くあります。

親は泣き止まないと「公共の場だから泣き止ませなければならない」と気負い、焦るもの。「何をしたら泣き止むんだろう」「今日これで何回目だろう」「どこか悪いのかな」「もう疲れた」など、悶々と考えてしまいます。焦りや不安、苛立ちは言動に現れ、それを子どもも感じ取るのでしょう。

一方で上の子たちは、シンプルに「泣いて可哀想だから泣き止ませてあげよう」と思い、なだめようとしている様子が伺えます。その様子は親よりも冷静です。

上の子が冷静になってくれるおかげで、親の方も焦りが落ち着き、冷静に。人間、1人でも冷静な人がいると自分も冷静になるものですよね。その役目を、なんと上の子がかってくれていたのです。

子どもから学ぶ場面、これからも

今回の件で、初め私は「小さな子に心配させて情けない」と、罪悪感を感じました。子どもに気を遣わせるのは、親として最もと言っていいほどやりたくないこと。自分の余裕のなさを実感し、しっかりせねばと奮い立ったのです。

一方で、あまりに自分を情けないと思うのも、また違うでしょう。小さな子でも相手の感情を察すことはできるし、気遣いや気配りもでき、思いやりがある。子どもも「1人の人間」であり、子どもを尊重するならば、自分を情けないと思い過ぎるのも子どもに失礼にあたると感じたのです。

親は義務感やモラルをもち、経験を重ね、世間体を気にする分、まだ経験の少ない子どもよりも余裕を失う場面は意外と多いものです。子ども時代を思い出しても、親だけでなく先生や友達の親など、大人たちが余裕をなくす場面を見た記憶があります。

子どもに気を遣わせるようなことも、心配をかけることもないように注意する。けれども人間だから、同じようなことはこれからもあるだろう。それらを踏まえた上で、子どもを尊重し、学び、感謝を伝えていきたいと思いました。

宮野 茉莉子