暦の上では春を迎えましたが、まだ寒さの残る日もあります。
2月は年金の支給がありましたが、次回の支給は4月15日(水)の予定です。
年金は年に6回、2カ月分がまとめて支給される仕組みですが、一度に40万円(月額20万円)以上を受け取っている人はどのくらいいるのでしょうか。
老後の生活設計を考える上で、年金の受給額は重要な要素です。特に、月額20万円という金額は、生活の一つの目安となるかもしれません。
この記事では、厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年金の受給実態について詳しく解説します。
1. 日本の公的年金は「2階建て構造」が基本
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」を土台とし、その上に会社員や公務員などが加入する「厚生年金」が乗る、2階建ての仕組みになっています。
1.1 1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」の概要
- 加入対象者:原則として、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人
- 保険料:加入者全員が同じ金額(2025年度は月額1万7510円)
- 老齢基礎年金の受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、満額を受給可能(2025年度は月額6万9308円)
-
被保険者の区分:第1号から第3号までの3種類に分けられます(※)
国民年金の被保険者区分
- 第1号被保険者:農業者、自営業者、学生、無職の人など
- 第2号被保険者:厚生年金に加入している会社員や公務員
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
1.2 2階部分にあたる「厚生年金」の概要
- 加入対象者:会社員や公務員のほか、パートやアルバイトでも特定適用事業所(※4)で働き、一定の条件を満たす人が国民年金に上乗せして加入
- 保険料:収入に応じて決定され、給与から天引きで納付します(保険料は標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を掛けて算出)
- 老齢厚生年金の受給額:加入していた期間や納めた保険料の額によって個人差が生じます
- 被保険者の区分:第1号から第4号までの4種類に分けられます
厚生年金の被保険者区分
- 第1号:第2号から第4号に該当しない、民間の会社に勤務する人
- 第2号:国家公務員共済組合の組合員
- 第3号:地方公務員共済組合の組合員
- 第4号:私立学校教職員共済制度の加入者
2. 厚生年金と国民年金の平均受給月額はいくら?
ここでは、厚生労働省年金局が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、公的年金の平均的な受給月額と、受給額の分布について確認していきましょう。
2.1 厚生年金の平均月額
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
※上記の厚生年金の月額には、国民年金(基礎年金)部分が含まれています。
また、ここでは民間の事業所に勤務していた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の月額を例示しています。
2.2 国民年金の平均月額
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
国民年金の平均受給額は月額にすると、男性が約6万2000円、女性が約5万8000円です。
保険料が全員一律である国民年金の仕組み上、受給額に大きな個人差は出にくい傾向があります。
2025年度における国民年金の満額は月額6万9308円(1人分)であり、国民年金だけで月額20万円、年間240万円以上の収入を得るのは難しいのが実情です。
一方、厚生年金は国民年金に上乗せして支給される年金です。
加入期間や現役時代の収入に応じて保険料と受給額が変わるため、国民年金に比べて受給額の個人差が大きくなるのが特徴です。
厚生年金の平均月額は全体で約15万円ですが、男女別に見ると男性が約17万円、女性が約11万1000円と、大きな差があることがわかります。
これらの平均額を見ると、公的年金だけで老後の生活を支えることができるのか、気になる方もいるでしょう。
特に「月額20万円」は、年金収入のみで生活費をまかなえるかどうかの、一つの目安となりそうです。
3. 厚生年金を月額20万円(2カ月で40万円)以上受給する人の割合
それでは、国民年金部分を含む厚生年金の受給額について、分布を詳しく見ていきましょう。
3.1 厚生年金の受給額別・人数分布
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、月額20万円以上の厚生年金を受け取っている受給権者は、全体の18.8%に過ぎないことがわかります。
つまり、8割以上の人々は月々の年金受給額が20万円未満であるという現実があります。
年金収入は世帯全体で考える必要もありますが、公的年金だけで安定した暮らしを維持するためには、自助努力による準備が重要になると言えるでしょう。
また、この数値は厚生年金受給者に限定した割合です。国民年金のみを受給している人も含めた全体で考えると、月額20万円以上の年金を受け取る人の割合は、さらに低くなることが予想されます。
4. 高齢者世帯の生活意識調査:半数以上が「苦しい」と回答
次に、厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関する実態を見ていきます。
※高齢者世帯:65歳以上の人のみで構成されるか、または65歳以上の人と18歳未満の人で構成される世帯
4.1 高齢者世帯の生活意識の内訳
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果を見ると、高齢者世帯の生活感は経済状況によって大きく三つの層に分かれていることが読み取れます。
まず、全体の半数以上にあたる55.8%が「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答しており、日々の暮らしに経済的な厳しさを感じていることがわかります。
その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と答えた世帯は、合計してもわずか4.2%でした。
経済的な余裕を実感できている高齢者世帯は、ごく少数派のようです。
そして、これら二つの層の中間に位置するのが、40.1%を占める「普通」と回答した層です。
この割合は「苦しい」と感じる層よりは少ないものの、「ゆとりがある」層を大きく上回っています。
経済的に大きな余裕はないものの、堅実に生活している一定数の高齢者世帯が、厚い中間層を形成している様子がうかがえます。
5. まとめ
今回は、公的年金制度の概要や、厚生年金で月額20万円以上を受け取る人の割合、そして高齢者世帯の生活実態について解説しました。
最新の統計データからは、厚生年金受給者の約8割が月額20万円未満であり、年金だけで十分な生活費を確保することが容易ではない現状が明らかになりました。
また、高齢者世帯の55.8%が生活を「苦しい」と感じているという厚生労働省の調査結果も、経済的な格差の広がりを示唆しています。
まずはご自身の将来の年金見込額を「ねんきん定期便」などで確認し、必要な生活費との差額を早い段階で把握しておくことが大切です。
その上で、貯蓄や資産形成、働き方の見直しなどを検討し、老後の安心につなげていくことを考えてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。



