暦の上では春を迎えた2月ですが、まだ寒さが残る日も多いですね。この時期は、2月16日から始まった確定申告に向けて、前年の収入を整理する方もいらっしゃるでしょう。
物価高が続くなか、政府や自治体はさまざまな家計支援策を打ち出しています。最近では子育て世帯への給付が注目されていますが、それ以外にも「住民税非課税世帯」を対象とした支援は数多く存在します。
この記事では、現金給付以外にも知っておきたい住民税非課税世帯向けの優遇措置を5つご紹介します。
また、どのような世帯が「住民税非課税」に該当するのか、給与や年金収入の具体的なボーダーラインについても詳しく解説します。2026年度の制度を上手に活用するため、ご自身の状況と照らし合わせて確認してみてはいかがでしょうか。
現在、物価高騰への対策として、家計を支えるための支援策にいくつかの変更点が見られます。直近では「子ども1人あたり2万円」の給付が中心となり、子育て世帯への重点的な支援が進められています。この給付金は所得による制限がなく、0歳から高校3年生までの子どもがいる世帯に支給されるものです。
これと並行して、電気・ガス料金の負担軽減策や、各自治体が地域の実情に合わせて使える「重点支援地方交付金」など、多角的な支援が実施されています。これまでの「非課税世帯への一律現金給付」とは異なる形ですが、住民税が非課税の世帯には、引き続きさまざまな支援が用意されています。
1. 住民税非課税世帯が受けられる優遇措置とは?現金給付以外の5つの支援策
新型コロナウイルス感染症の拡大や物価上昇への対応として、これまで住民税非課税世帯を中心に現金給付などの支援が行われてきました。
住民税非課税世帯とは、所得が一定の基準を下回る世帯を指します(詳しい基準は後述します)。
このような世帯を支える制度は現金給付に限らず、日々の生活を安定させるための多様な優遇措置が設けられています。
本章では、その中から主要な5つの制度を取り上げて解説します。
1.1 国民健康保険料(応益割)の減額措置
- 応益分保険料(均等割・平等割)が「7割・5割・2割」のいずれかの割合で減額されます。
1.2 介護保険料の減額措置
- 65歳以上の第1号被保険者が対象です。減額幅は自治体によって異なります。
1.3 国民年金保険料の免除・納付猶予制度
- 全額免除、一部免除、納付猶予のいずれかの措置を受けられます。
1.4 0歳から2歳児が対象の保育料無償化
- 0歳から2歳までの子どもの保育料が無償になります。
- これにより、0歳から5歳までの保育料が実質的に無料となります。
1.5 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)
- 大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の授業料や入学金が免除または減額されます。
- 返済不要の給付型奨学金も利用できます。
これらの他にも、自治体が独自に行っている支援策を含めると、活用できる制度は多岐にわたります。
次の章では、住民税非課税世帯が具体的にどのような世帯なのかを詳しく見ていきましょう。
2. 「住民税非課税世帯」の定義と仕組みを解説
まず住民税の基本的な構造を理解した上で、住民税非課税世帯に該当するための条件を見ていきましょう。
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に納める地方税の一種です。自治体にとって重要な財源であり、公共サービスの提供やインフラ整備などに活用されています。
個人に課される住民税は、「均等割」と「所得割」という2つの要素で構成されています。
- 均等割:所得額にかかわらず、一律で課される部分
- 所得割:前年の所得に応じて税額が変動する部分
この均等割と所得割の両方が非課税となる状態を「住民税非課税」といい、「住民税非課税世帯」とは、世帯に属する全員がこの条件を満たしている世帯を指します。
また、「住民税の所得割のみ非課税」という区分も存在します。ただし、給付金などの支援対象となるかは自治体の判断によるため、お住まいの市区町村の規定を必ず確認することが重要です。
3. 住民税が非課税になる3つの条件とは?
それでは、具体的にどのような場合に住民税が課されないのか、その条件を確認していきましょう。
以下のいずれかの条件に該当する場合、住民税は非課税扱いとなります。
- 生活保護法による生活扶助を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下である
- 前年の合計所得金額が各市区町村の定める基準額を下回る
1と2の条件は全国で共通ですが、3の所得基準は市区町村ごとに異なるため注意が必要です。
次に、住民税非課税世帯となる所得や収入の具体的な基準について見ていきましょう。
4. 住民税非課税世帯に該当する所得基準の計算方法
「住民税非課税世帯」となる所得水準について、兵庫県神戸市のケースを例に見てみましょう。
35万円×(本人+同一生計配偶者(※)+扶養親族数)+10万円+21万円
ただし、21万円が加算されるのは、同一生計配偶者(※)または扶養親族がいる場合に限ります。
※同一生計配偶者とは、納税者と生計を共にする配偶者で、前年の合計所得金額が48万円以下の人を指します。
5. 給与や年金収入における住民税非課税の目安額
住民税が非課税となる所得基準は、前述の「同一生計配偶者や扶養親族の有無」だけでなく、収入の種類によっても変わってきます。
所得は収入から各種控除を引いて計算されるため、ここでは神戸市の基準を収入額に換算して確認します。
5.1 単身世帯の場合
合計所得金額が45万円以下の方が対象です。
- 給与収入のみの場合:収入100万円以下
- 年金収入のみの場合(65歳以上):収入155万円以下
- 年金収入のみの場合(65歳未満):収入105万円以下
5.2 同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
合計所得金額が101万円以下の方が対象です。
- 給与収入のみの場合:収入156万円以下
- 年金収入のみの場合(65歳以上):収入211万円以下
- 年金収入のみの場合(65歳未満):収入171万3334円以下
単身世帯の場合、給与収入だけであれば年収100万円以下、65歳以上で年金収入のみなら155万円以下が住民税非課税の目安となります。
一方で、同一生計配偶者や扶養親族がいる世帯では、非課税となる収入の上限はより高く設定されています。特に65歳以上で年金収入のみの世帯では、上限が211万円以下となり、単身世帯に比べて条件が緩和されているのが特徴です。
このように、世帯構成や収入源によって住民税の課税基準は異なります。
6. 高齢者世帯で「住民税非課税」の割合が高い理由
厚生労働省が公表している「令和6年国民生活基礎調査」を基に、年齢階層別の住民税「課税世帯」の割合を見てみましょう。
- 29歳以下:63.0%
- 30~39歳:87.5%
- 40~49歳:88.2%
- 50~59歳:87.3%
- 60~69歳:79.8%
- 70~79歳:61.3%
- 80歳以上:52.4%
- 65歳以上(再掲):61.1%
- 75歳以上(再掲):54.4%
※ 全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含みます。
※ 総数には、年齢不詳の世帯を含みます。
※ 住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含みます。
住民税が課税されている世帯の割合は、30歳代から50歳代で約9割にのぼりますが、60歳代になると79.8%に減少します。さらに、65歳以上では61.1%、75歳以上では54.4%と、年齢が上がるにつれて課税世帯の割合は低下する傾向にあります。
一般的に、年金生活へ移行すると現役時代より収入が減ることが多いです。加えて、65歳以上の人には公的年金等控除が手厚く適用され、遺族年金は非課税です。こうした背景から、年金を受給する高齢者世帯は住民税非課税に該当しやすくなると考えられます。
7. 年金だけで生活する高齢者世帯は半数以下(43.4%)という実態
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している世帯」の中で、収入源が「公的年金・恩給のみ」という世帯は43.4%でした。
このことから、老後の生活を公的年金や恩給だけで賄えている高齢者世帯は、全体の半数に満たないことがわかります。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
年金の受給額は人それぞれですが、高齢者世帯では収入と支出のバランスが取れていない場合も少なくありません。支出が収入を上回るケースや、最低限の生活費に対して収入が足りない状況も考えられます。
特に後者の場合、公的年金だけでは生活が成り立たず、他の収入源を確保する必要に迫られます。私的年金や預貯金に十分な余裕がない場合は、就労収入や子どもからの援助、各種支援制度の活用など、早めに選択肢を検討しておくことが重要です。
8. まとめ
政府が実施する家計支援策は、経済状況に応じて内容が変化する可能性があります。そのため、給付の対象となるか、お住まいの自治体の最新情報をこまめに確認することが大切です。
現在は子育て世帯への現金給付が中心となっていますが、長期化する物価高の影響で、多くの世帯が厳しい家計状況にあると考えられます。
すぐに実現するのは難しいかもしれませんが、収入を増やす方法を模索したり、毎月の支出を見直して削減できる項目がないか検討したりと、ご自身の家計やライフスタイルに合った対策を考えておくことが、将来の安心につながるでしょう。
※当記事は再編集記事です。






