新緑が鮮やかに街を彩り、間もなくゴールデンウィークを迎える時期となりました。 新年度の慌ただしさも少し落ち着き、連休を利用して、家計や将来の設計を今一度見直すという方もいるでしょう。

特に、将来受け取れる年金は老後生活を支える大きな収入源となるため「どれくらいもらえるのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

今回は、厚生年金・国民年金の受給目安額を5つのパターンに分けてご紹介します。

年金の平均受給額のデータや老齢年金の不足分を補う方法なども解説しますので、ぜひ本記事を参考に老後に向けた資金計画を見直してみましょう。

1. 【65歳以降】厚生年金・国民年金、将来いくらもらえる?ライフコース別年金例《5つのパターンで目安額を確認》

はじめに、厚生労働省から発表された「多様なライフコースに応じた年金額」をもとに、年金の受給目安額を以下の5パターンで見ていきます。

  1. 厚生年金期間中心の男性
  2. 国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性
  3. 厚生年金期間中心の女性
  4. 国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性
  5. 国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性

自分に近いパターンを参考に、年金受給の目安額を確かめてみましょう。

1.1 パターン①:厚生年金期間中心の男性

概算の年金月額:17万6793円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50.9万円(賞与含む月額換算)
  • 基礎年金:6万9951円
  • 厚生年金:10万6842円

会社員・公務員などで厚生年金保険への加入期間が中心の男性は、月額でおよそ17万6000円の年金を受け取れる計算になります。

賞与を含めた月給が50.9万円で計算されているため、平均の年収が約610万円であれば上記の金額を受け取れる可能性が高いです。

1.2 パターン②:国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性

概算の年金月額:6万3513円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36.4万円(賞与含む月額換算)
  • 基礎年金:4万8896円
  • 厚生年金:1万4617円

自営業や農業・漁業など、国民年金の第1号被保険者期間が中心の男性は、月額でおよそ6万3000円の年金を受け取れる計算になります。

年金制度の「2階部分」である厚生年金が少ない分、パターン①に比べると受給総額が少なくなっています。

1.3 パターン③:厚生年金期間中心の女性

概算の年金月額:13万4640円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35.6万円(賞与含む月額換算)
  • 基礎年金:7万1881円
  • 厚生年金:6万2759円

厚生年金保険への加入期間が中心の女性は、月額でおよそ13万4000円の年金を受け取れる計算になります。

賞与を含めた月給が35.6万円で計算されているため、平均の年収が約427万円であれば上記の金額を受け取れる可能性が高いです。

1.4 パターン④:国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性

概算の年金月額:6万1771円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25.1万円(賞与含む月額換算)
  • 基礎年金:5万3119円
  • 厚生年金:8652円

国民年金の第1号被保険者期間が中心の女性は、月額でおよそ6万1000円の年金を受け取れる計算になります。

男性同様、2階部分の厚生年金の受給額が少ない分、パターン③の女性よりも受給総額が少なくなっています。

1.5 パターン⑤:国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性

概算の年金月額:7万8249円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26.3万円(賞与含む月額換算)
  • 基礎年金:6万9016円
  • 厚生年金:9234円

第3号被保険者とは、第2号被保険者(厚生年金保険・共済組合等の加入者)に扶養されている配偶者のことを指します。

会社員・公務員などの配偶者に扶養されている場合、平均的に月額およそ7万8000円の年金を受給できる計算になります。

2. 厚生年金・国民年金の平均額はいくら?

次に、厚生労働省年金局による「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金・国民年金の平均受給額をご紹介します。

それぞれの平均受給額を参考に、老後の資金計画を立てましょう。

2.1 厚生年金の平均受給額

2024年度末時点の厚生年金保険(第1号)の平均受給額は以下の通りです。

  • 全体:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

現在年金を受給している世代は、女性が結婚や出産を機に退職するケースが多く、年金の受給額は男性の方が多くなっています。

近年は共働きの世帯も増えているため、今後は男女の受給額の差は縮まっていく可能性が高いです。

2.2 国民年金の平均受給額

2024年度末時点の国民年金の平均受給額は以下の通りです。

  • 全体:5万9310円
  • 男性:6万1595円
  • 女性:5万7582円

国民年金のみを受給する場合、男女ともに受給額は少ない傾向にあります。

自営業者や農業・漁業者の方は、2階部分の厚生年金を受給できない分、ご自身で資金を準備しておくことが大切です。

3. 老齢年金の不足分を補う《3つの方法》

前述の通り、国民年金のみの場合は受給額が少なくなるため、自分で不足分をカバーしなければなりません。
ここでは、老齢年金の不足分を補う方法をご紹介します。

3.1 付加保険料を納付する

国民年金第1号被保険者や任意加入被保険者は、国民年金の保険料に上乗せして「付加保険料」を納付することで、将来の年金受給額を増やすことができます。

付加保険料は月額400円となっており、付加年金額は「200円×付加保険料を納めた月数」です。

付加年金額は一生受け取ることができ、2年以上受け取ると納めた付加保険料以上の年金を受け取れます。

「国民年金だけでは受給額が少ない」と感じている方は、付加保険料の納付を検討してみましょう。

3.2 再雇用・再就職などで働く

定年後に再雇用・再就職などで働き続けるというのもひとつの手です。

厚生年金の保険料を支払い続けることで、年金受給額を増やせるためです。

60歳以降の再雇用・再就職は年収が下がるケースも少なくありませんが、働いて得た収入を貯めておけば老後の生活費をカバーすることもできます。

自分自身の体力と相談しつつ、無理のない範囲で働き続けることも視野に入れておくと良いでしょう。

※注:60歳以降も厚生年金に加入して働きながら年金を受け取る場合、給与(賞与含む)と年金の合計額が一定基準を超えると、年金の一部または全額が支給停止(カット)される「在職老齢年金」の仕組みがある点には留意が必要です。

3.3 年金を繰下げ受給する

年金の繰下げ受給4/4

年金の繰下げ受給

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

老齢年金は原則65歳から受給が始まりますが、66歳から75歳までの間に繰り下げて受給することも可能です。

繰下げ受給をすると「繰り下げた月数×0.7%(最大84%)」が増額され、一生増額された金額を受給できます。

再雇用・再就職などで働く場合、65歳から年金を受け取る必要がないケースも少なくありません。

60歳以降も働き続ける予定がある方は、年金の繰下げ受給を活用して受給額を増やすことも検討してみると良いでしょう。

注:繰下げ待機中に亡くなった場合は増額分を受け取れず、本来の年金額で計算された未支給年金をご遺族が受け取ることになります。さらにこれには「5年の時効」があり、一部の年金が受け取れなくなるリスクがあります。また、待機中は加給年金等が支給されないことや、受給額が増えることで税金・社会保険料の負担も増加し、手取り額は額面ほど増えない点も考慮して判断することが大切です。

3.4 NISA・iDeCoなどを活用する

NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用し、資産を準備することも選択肢のひとつです。

税負担を軽減しながら資産を運用できるため、老後に向けた資産準備を効率的に行えます。

NISAは、一定枠内の投資で得た利益がすべて非課税となる制度です。

非課税期間は無期限となっているため、老後まで運用を続けても税金がかかりません。

iDeCoは「運用益が非課税で再投資される」「掛金が全額所得控除になる」「受取時にも控除が適用される」といったメリットを受けられます。

老後の年金を自分で準備する「私的年金」であるため、老齢年金の不足分を補う手段として適しています。

NISA・iDeCoといった税制面で優遇を受けられる制度を活用し、高齢期に向けた資金を計画的に準備していくと良いでしょう。

4. 早いうちから老後資金を準備しておきましょう

今回は、老後に受け取れる年金の目安額を5つのパターンに分けてご紹介しました。

ご自身の状況に近いパターンを参考に、将来受け取れる年金の概算額を把握しておくと良いでしょう。

また、厚生年金保険の加入期間が短い場合、老後に受け取れる年金額が相対的に少なくなります。

付加保険料の納付や年金の繰下げ受給、NISA・iDeCoの活用など、老後に向けた資金準備を工夫する必要があります。

早いうちから老後に向けた資金計画を立て、豊かなセカンドライフを送れるように準備しておきましょう。

参考資料