昨今、物価高対策などでさまざまな現金給付の話題を耳にしますが、今回ご紹介する「年金生活者支援給付金」は一時的な給付ではありません。所得などの条件を満たす限り、年金支給月である2カ月にいちど、基礎年金に上乗せして継続的に受け取れる非常に心強い制度です。

しかも2026年度(令和8年度)は、4月のタイミングで給付額が3.2%引き上げられ、基準額は月額5,620円に改定されました。この新しい金額は、いよいよ6月支給分(4・5月分)から適用されます。

ただし最大の注意点は、「待っていても自動的には支給されない」ということです。原則としてご自身での請求手続きが必要なため、対象となる可能性があるのに、もらい損ねている方も少なくありません。

この記事では、老齢年金だけでなく障害年金や遺族年金受給者も対象となる本制度について、支給要件や具体的な金額、もらい忘れを防ぐための申請方法をわかりやすく解説します。

1. 【一時的な現金給付じゃない】基礎年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」とは

年金生活者支援給付金制度について1/9

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金とは、所得などの条件を満たす年金受給者に対し、年金額に加算して支給される給付金のことです。

受給している基礎年金の種類に応じて、以下の3つに分けられています。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

どの給付金も、支給要件を満たしている期間中は、2カ月ごとに年金と同じ受取口座へ支給されます。

2. 【対象者】年金生活者支援給付金は誰がもらえる?支給要件をチェック

ここでは、それぞれの給付金の支給要件について見ていきましょう。

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の場合、各基礎年金を受給していることに加えて、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。

この所得判定において、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。また、扶養親族の人数に応じて所得基準額は上がります。

それに対して「老齢年金生活者支援給付金」は、所得要件のほかにもいくつかの条件をすべて満たす必要があります。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象となる3つの条件

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年金生活者支援給付金制度について

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税である
  • 前年の公的年金などの収入額と、それ以外の所得(給与所得や利子所得など)の合計が、1956年4月2日以降生まれの人は80万9000円以下、1956年4月1日以前生まれの人は80万6700円以下である

こちらの所得判定でも、障害年金や遺族年金などの非課税収入は計算に含まれません。

さらに、所得が基準額を少しだけ超えたために給付金が受け取れない、というケースをなくすため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みも用意されています。

補足的老齢年金生活者支援給付金とは

1956年4月2日以降に生まれた方で前年の所得が80万9000円超~90万9000円以下の場合、または1956年4月1日以前に生まれた方で所得が80万6700円超~90万6700円以下の場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

この給付金は、所得額が多くなるにつれて支給額が段階的に減っていく仕組みです。

3. 【金額】2026年度版:年金生活者支援給付金の支給額は?3.2%増額の詳細

2026年度の年金生活者支援給付金は、前年の物価変動率を反映し、給付額が3.2%増額されました。

年金生活者支援給付金の給付額3/9

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

老齢年金生活者支援給付金の場合、月額5620円はあくまで基準額です。実際の支給額は、これまでの国民年金保険料の納付状況などに応じて個別に計算されます。

4. 老齢年金生活者支援給付金の支給額は個人差あり!計算方法を解説

先述したように、老齢年金生活者支援給付金には基準額が設定されていますが、実際に受け取れる金額は一律ではありません。

支給額は、国民年金保険料を納めた期間や免除された期間に応じて決まります。具体的には、月額5620円を基準として、「保険料納付済期間に基づく額」と「保険料免除期間に基づく額」を足し合わせて計算されます。

例えば、保険料を480カ月(40年間)すべて納付した人は、「5620円 × 480カ月 ÷ 480カ月」という計算式で、基準額である月額5620円が支給されます。

これに対し、納付済期間が半分の240カ月(20年間)の人は、「5620円 × 240カ月 ÷ 480カ月」となり、支給額は月額2810円です。

ただし、これは単純な例であり、実際には保険料の免除期間も計算に反映されるため、最終的な支給額は個人の状況によって変わってきます。

このように、給付額は納付実績などによって変動するため、基準額は一つの目安と捉えておくとよいでしょう。

5. 支給額は「支給金額(改定)通知書」で確認!毎年6月頃に届きます

年金生活者支援給付金を受け取っている人には、毎年6月頃に日本年金機構から「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」が届きます。

この通知書は、その年の4月分以降に適用される新しい給付額をお知らせするものです。

もし前年度から支給額が変わらない場合でも、同額が記載された通知書が送付されます。

受け取り方法によって送られてくる書類の種類が違う点にも注意が必要です。

口座振込で給付金を受け取っている場合は、「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」と「年金生活者支援給付金 振込通知書」の2種類が届きます。

一方で、郵便局の窓口で受け取っている人には、「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」だけが送付されます。

通知書が手元に届いたら、改定後の金額や支給が停止されていないかなどを確認しておくと安心です。

繰り返しになりますが、年金生活者支援給付金を受け取るには請求手続きが不可欠です。対象となる可能性のある方は、忘れずに申請手続きを進めましょう。

次の章で、具体的な申請方法について詳しく見ていきます。

6. 【手続き】年金生活者支援給付金の申請方法は3パターン!手続きを解説

年金生活者支援給付金5/9

年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性があると判断された方には、日本年金機構から請求手続きに関する案内が送られてきます。

この案内は、年金の受給状況に応じて書類の形式や送付されるタイミングが異なります。

ここでは、主な3つのパターンについて、封筒の色や手続き方法を解説します。

6.1 パターン1:これから老齢年金の受給を始める人(緑の封筒)

これから老齢基礎年金の受給を始める方には、65歳になる3カ月前に、年金の請求に必要な「年金請求書(事前送付用)」と一緒に「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。

書類に必要事項を記入し、65歳の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所または街角の年金相談センターに提出してください。

6.2 パターン2:すでに年金を受給している人(うす緑の封筒)

年金生活者支援給付金請求書の封筒7/9

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受け取っていて、新たに給付金の対象となった方には、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次届きます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)8/9

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入し、同封されている目隠しシールを貼り付けます。その後、差出人欄にご自身の住所と氏名を書いて、切手を貼って投函すれば手続きは完了です。

※支給要件に該当するかどうか確認が必要な方には、A4サイズの請求書と所得状況届が送付される場合があります。

6.3 パターン3:老齢基礎年金を繰上げ受給中の人(うすだいだい色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用9/9

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

老齢基礎年金を繰上げ受給している方で、給付金の対象になる見込みのある方へは、65歳になる誕生月の初め(1日生まれの方は前月の初め)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されます。

こちらも、必要事項を記入して目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記入したうえで、切手を貼ってポストに投函します。

※この場合も、支給要件の確認が必要な方には、A4サイズの請求書と所得状況届が届くことがあります。

一度請求手続きを完了すれば、その後は支給要件を満たし続ける限り、翌年以降の申請は原則として不要になります。

もし所得が増えるなどして要件を満たさなくなった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送付され、給付金の支給は停止されます。

ちなみに、2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が送られてきた方は、マイナポータル経由での電子申請も可能です。

電子申請を行った場合、はがきを郵送する必要はありません。

7. まとめ:年金生活者支援給付金は申請が必須!対象者は手続きを忘れずに

この記事では、年金生活者支援給付金の制度概要から対象者、支給額、申請方法までを解説しました。

年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支えるために、年金に上乗せして支給される大切な給付金です。

この制度の重要なポイントは、原則として自分自身で申請する必要があるという点です。手続きをしないと、たとえ対象者であっても給付金は支給されません。

対象となる可能性のある方には日本年金機構から案内が届きますので、内容をよく確認し、忘れずに手続きを行うようにしましょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部社会保障班