アルコアが2015年10-12月期決算を発表

アルミ大手の米アルコアが2016年1月11日(現地時間)に2015年10-12月期決算を発表しました。同社が示した最終市場の需要見通しから、2016年の世界景気の動向、つまり「モノの動き」を考えたいと思います。

同社のような素材関連企業の場合、業績は数量と価格で決まります。価格動向については、中国での過剰生産能力の影響で2016年も厳しそうですが、数量面については比較的楽観的な見通しが示されました。

2016年の最終市場見通しを1年前の見通しと比較してみると

では、具体的な数字を見ていきましょう。まず、アルミの総需要については、2016年の年間予想は+6%増とされました。1年前の2015年1月に予想した2015年の年間見通しは+7%増でしたので、今年の予想は昨年よりも1ポイント弱いことになります。

主要市場別での世界需要見通しは以下のようになります(カッコ内の数字は1年前に示された2015年の予想)。

  • 航空機 +8%増~9%増(+9%増~10%増)
  • 自動車 +1%増~4%増(+2%増~4%増)
  • トラック・トレーラー ▲3減~+1%増(▲1%減~+3%増)
  • ビル・建設+4~6%増(+5%増~7%増)
  • ガスタービン +2%増~+4%増(+1%増~+3%増)
  • 包装用 +1%増~+3%増(+2%増~+3%増)

このように、今年の予想はガスタービン以外は昨年よりもやや弱めの予想になっていますが、トラック・トレーラーを除く全ての市場で、数量面ではプラス成長を見込んでいます。また、今年も航空機が最も高い伸びが予想される分野となっています。

アルコアの決算から読み取れることは?

日経平均株価は2016年の年明けから1月12日まで6営業日連続の下落、米国S&P総合500種指数も年明け第1週は週間で過去最大6%の下落となり、世界同時株安の様相が色濃くなっています。

これでは、どうしても大不況が来るのではないかという不安心理を抱きがちになりますが、こうした時こそ、実際にグローバルにビジネスを展開している企業のコメントに耳を傾けたいものです。

価格動向は別として、“モノの動き”という点では、昨年と比べてやや弱い見通しであるものの、急減速ではないことに注目すべきでしょう。

振り返ってみると、2008年の金融危機時には、モノの動きもぱったりと止まってしまいました。今は、少なくともそうした状況ではないと言ってよいでしょう。

ちなみに、ガスタービンや航空機関連の需要が堅調であるという見方が示されたことは、関連分野を手掛ける三菱重工(7011)やIHI(7013)にとっても悪い話ではないと思われます。

参考:米アルコア社の過去2年間の株価推移

LIMO編集部