2月13日は、2026年最初の年金支給日でした。現在支給されている年金額は2025年度のものですが、6月の支給からは2026年度基準の金額となり、金額が若干増える予定です。
年金には、65歳から受け取れる「老齢年金」、障害認定された際に受け取れる「障害年金」、亡くなった人の遺族が受け取れる「遺族年金」があります。このうち、遺族厚生年金については、2028年4月から制度改正が予定されています。制度改正により「5年しか受け取れない人」と「生涯もらえる人」が分かれることから、不安を感じている人も多いようです。
5年しか受け取れない人と生涯受け取れる人は、どのような基準で決まるのでしょうか。この記事では、遺族厚生年金の改正について解説します。
1. 遺族厚生年金はどう改正されるの?
はじめに、遺族厚生年金の制度改正の全体像を整理しましょう。遺族厚生年金とは、亡くなった人が厚生年金の被保険者であった場合などに、遺族に支給される年金です。亡くなった人の年金の報酬比例部分(老齢厚生年金の大半)の4分の3が支給されます。
2028年4月の制度改正では、子どものいない配偶者について、男女ともに60歳未満での死別で原則5年の有期給付、60歳以上での死別で無期給付となる予定です。
現行の遺族厚生年金制度は、子どもの有無にかかわらず、配偶者は基本的に生涯にわたって年金を受給できます。ただし、子どものいない夫は、55歳でようやく受給権が生じ、実際に受給できるのは60歳からです。また、子どものいない30歳未満の妻については、5年間の有期給付となっています。
かつては「遺族への生活保障」としてこの制度が成り立っていましたが、共働き世帯が増加したことで、男女ともに自立した生活ができると考えられるようになりました。また、遺族厚生年金には男女で受給開始年齢が異なるなど、受給格差が存在します。こうした背景から、より公平かつ時代に沿った制度になるよう、改正が決定しました。
では、制度改正の影響を受けないのは、どういった人なのでしょうか。次章で解説します。
2. 制度改正の影響を受けない人
遺族厚生年金の制度改正の影響を受けないのは、以下に該当する人です。
- 60歳以上で死別した人
- 18歳年度末(障がい状態は20歳未満)の子どもを養育する間にある人
- 改正前から遺族厚生年金を受け取っている人
- 2028年度に40歳以上になる人
たとえ子どもがいない場合でも、60歳以上で死別した場合は、生涯にわたって遺族厚生年金を受給できます。また、子どもがいる人やすでに遺族厚生年金を受け取っている人、2028年度に40歳以上になる人も、遺族厚生年金を終身で受け取れます。
ただし、2028年度以降、40歳に達する方は中高齢寡婦加算に注意が必要です。現在の制度では、夫が亡くなった際に40〜65歳で子どもがいない妻などに中高齢寡婦加算が支給されます。しかし、制度改正後は中高齢寡婦加算を段階的に縮小する予定です。一度受け取った金額は65歳まで変わりませんが、これまでより加算が少なくなるため、年金以外の収入源をつくることも考えておかなければなりません。
次章では、制度改正により5年間しか遺族厚生年金を受け取れない人について解説します。
3. 制度改正により「5年間しかもらえない」人
制度改正で遺族厚生年金を5年間しか受け取れないのは、以下に該当する人です。
- 子どもがおらず、60歳未満で死別した人
※配慮が必要な場合は5年目以降も継続して給付する。
子どもがおらず、60歳未満で死別した人については、5年の有期給付となります。現行制度は「30歳未満の子どものいない妻」が5年の有期給付の対象ですが、制度改正により対象が拡大する形となります。
ただし、いきなりすべての人が5年の有期給付になるわけではありません。男性は2028年4月から実施されますが、女性は2028年4月から20年かけて段階的に実施していく予定です。女性はすぐに給付が打ち切られるわけではないため、その期間に再就職先を見つけるなどして、生活の基盤を整えていくのが望ましいです。
次章では、5年給付と無期給付で、受給総額にどれくらいの差が生まれるか、見ていきましょう。
4. 「5年」と「一生」、受給額の差はどれくらい?
5年の有期給付と無期給付で、受給額の差はどれくらいあるのでしょうか。年収500万円の夫(勤続15年)を亡くした妻(40歳)を例に、受給金額を比較してみましょう。
年収500万円(月収約42万円)で勤続15年の場合、遺族厚生年金の受給額は年間約51万円です。これをもとに、生涯の受給額を比較すると、差額は以下のとおりです。
遺族厚生年金の受給額について4/4
筆者作成
- 5年の有期給付:255万円
- 無期給付:2703万円(※)
- 差額:2448万円
※90歳まで受給したと仮定。中高齢寡婦加算については除いている。また、実際は65歳以降は自身の年金と調整される。
生涯の受給額の差は、2400万円にものぼります。これまで老後までのつなぎ資金としての役目を果たしてきた遺族厚生年金ですが、2028年4月の制度改正で、子どものいない人にとっては「生活を立て直す一時金」の性質が強くなります。労働収入など、遺族厚生年金に頼らない生活基盤の整備が重要になるでしょう。
5. まとめ
遺族厚生年金は、2028年4月の制度改正で内容が大きく変わります。とくに、現時点で子どものいない夫婦は、受給金額が大幅に減少する予定です。
一方、すべての人が5年給付になるわけでもありません。すでに遺族厚生年金を受給している人などは、引き続き無期給付となるため、遺族年金をベースに家計を再考することも可能です。
※読者からのご指摘を受け一部修正しております(2026年2月27日15:27更新)。
参考資料
石上 ユウキ