40歳になると介護保険料の徴収が始まり、否応なしに「老後」を意識せざるを得なくなります。「そろそろ本格的に準備を……」と考える方も多いでしょう。
将来のために、同世代の人たちはいくらを目標にし、現時点でいくら持っているのか。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の最新調査をもとに、40歳代の金融資産の「理想」と「現実」を紐解きます。
1. 【40歳代】金融資産目標残高の平均値と中央値はいくら?(二人以上世帯・単身世帯)
まずは、40歳代が「将来のためにこれくらいは持っておきたい」と考えている目標額を見てみましょう。
1.1 二人以上世帯:金融資産目標残高「平均4430万円」
世帯主が40歳代の二人以上世帯における金融資産目標残高は以下のとおり。
- 平均値:4430万円
- 中央値:2000万円
- ボリュームゾーン:7000万円以上(全体の17.0%)
1.2 単身世帯:金融資産目標残高「平均3748万円」
単身世帯における金融資産目標残高は以下のとおり。
- 平均値:3748万円
- 中央値:1350万円
- ボリュームゾーン:7000万円以上(全体の14.2%)
平均値が跳ね上がっているのは、一部の「富裕層」が数値を押し上げていると考えられます。
実態に近いのは「中央値」ですが、それでも二人以上世帯で2000万円という数字は、かつての「老後2000万円問題」を強く意識した設定と言えそうです。
2. 【40歳代】金融資産保有額の平均値と中央値はいくら?(二人以上世帯・単身世帯)
では、現時点での実際の保有額はどうなっているでしょうか。
先ほどと同じ資料をもとに確認していきます。
※この調査データにおける金融資産保有額とは、将来の備えとしての預貯金や生命保険、損害保険、個人年金保険、債券、投資信託、株式などの金融商品を指します。
2.1 二人以上世帯:金融資産保有額「平均1486万円」
世帯主が40歳代の二人以上世帯における金融資産保有額は以下のとおり。
- 平均値:1486万円
- 中央値:500万円
- ボリュームゾーン:ゼロ円(全体の18.8%)
2.2 単身世帯:金融資産保有額「平均859万円」
単身世帯における金融資産保有額は以下のとおり。
- 平均値:859万円
- 中央値:100万円
- ボリュームゾーン:ゼロ円(全体の32.1%)
目標と現実を比較すると、中央値ベースで二人以上世帯では約1500万円、単身世帯では約1250万円もの開きがあります。特に単身世帯では「3人に1人が貯蓄ゼロ」という、二極化が鮮明な結果となっています。
3. 老後に向けて「今」やるべき3つのこと
40歳代は、教育費や住宅ローンで支出がピークを迎える時期ですが、同時に「現役として資産を増やせる最後の黄金期」でもあります。
3.1 固定費を見直す
「なんとなく」続けている支出をカットしましょう。
- 保険の見直し: 加入時とライフステージが変わっていませんか?過剰な保障を削るだけで月数万円浮くこともあります。
- 通信費・住宅ローン: 格安SIMへの乗り換えや、利用頻度の低いサービスの解約を検討しましょう。
3.2 税制優遇制度(NISA・iDeCo)を活用する
2024年から始まった新NISAや、2026年にも法改正が予定されているiDeCoは、老後資金作りの強力な味方となるでしょう。
- 40代からの複利効果: 65歳まであと20年以上あります。今からでも長期運用による複利効果は十分に期待できます。
- 節税メリット: 特にiDeCoは掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税の負担を軽減しながら備えられます。
3.3 「健康」は最大の資産であることをあらためて確認する
どれだけ資産があっても、健康を損なえば医療費や介護費で消えてしまいます。
40歳代からの定期健診や人間ドックを「コスト」ではなく「自分への投資」と捉えましょう。
長く健やかに働ける体を作ることが、生涯年収を最大化する近道です。
4. 40歳代が知っておきたい「お金の教養」
目標額に届かないからといって、焦ってハイリスクな投資に手を出すのは禁物です。
【インフレリスクへの対策】
2026年現在も物価上昇は続いています。預金だけではお金の「価値」が目減りします。資産の一部を株式や投資信託などの「成長資産」に振り分けることは、資産を守るための防衛策といえるでしょう。
【「平均」という数字に惑わされない】
大切なのは世間の平均ではなく、「自分たちの暮らしにいくら必要か」です。退職金の見込み額や将来の年金額を「ねんきん定期便」で確認し、逆算して自分なりの必要額を算出しましょう。
5. まとめ
40歳代の金融資産の目標と現実には大きな開きがあります。
しかし、老後までまだ十分な時間があります。
まずは現在の資産を正確に把握し、無理のない範囲で資産形成を進めていきましょう。