5. 年金生活の実情とは?暮らしやすさを左右する「使い道を選べるお金」
公的年金制度は、全国平均や標準的な世帯像、モデルケースなどをもとに設計されています。一方で、実際の暮らし方は、世帯構成や住まいの条件、健康状態、地域の環境などによって少しずつ異なります。
そのため、制度の想定と日々の生活とのあいだに、受け取り方の違いが生じることもあるようです。「制度上は成り立っている」と感じられる場合でも、生活面では余裕を持ちにくいと感じる人がいる背景には、こうした前提の違いが影響している可能性があります。
5.1 「不足」というより、「調整しにくい支出」が影響する場面も
ここまでの数字を見て、「自分の場合、年金で生活を支えられるのだろうか」と感じた方もいるかもしれません。年金制度が実生活にそのまま当てはまりにくいと感じられる理由の一つとして、支出を抑えたくても、すぐには調整できない場面があることが考えられます。
たとえば、
- 持ち家であっても、修繕が必要な時期が重なることがある
- 公共交通が十分でなく、生活の足として車を使い続ける必要がある
- 定期的な通院があり、医療費の支出時期を選びにくい
といったケースです。
これらは特別な出来事というより、高齢期の生活の中で起こり得るものといえるでしょう。ただし、制度上は、こうした個別の事情に細かく対応する仕組みは多くありません。
5.2 生活のゆとりを左右する「使い道を選べるお金」
生活にゆとりを感じられるかどうかは、最低限の生活費を賄えているかだけで決まるものではありません。毎月の支出を差し引いたあとに、どの程度、自由に使い道を考えられるお金が残るかも、一つの目安になります。
- 出費が増える月
- 予想外の出来事が重なる時期
- 生活スタイルを見直したいと感じる場面
こうした局面では、制度とは別に、家計の中でどこまで調整できるかが影響してきます。制度と生活のあいだのズレは、金額そのものというより、「動かせる余地の大きさ」として感じられることが多いのかもしれません。
大切なのは、制度の内容を知っているかどうかだけではありません。制度でカバーされにくい生活の部分を、自分なりに把握しておくことが、生活設計を考えるうえでのヒントになります。