1.2 【75歳以上 後期高齢シニア夫婦】支出の特徴
後期高齢期の家計は、現役世代とは支出の構造そのものが異なります。特に特徴的なのが、「住居費の軽さ」と「将来費用が表に出にくい点」です。
支出の特徴1:住居費が低め
後期高齢シニア夫婦世帯の持ち家率は95.4%と非常に高く、住宅ローンを返済中の世帯はわずか1.6%にとどまります。
多くの世帯では、すでに住宅取得に関する大きな支払いを終えており、家賃やローンといった固定的な住居費がほとんど発生していません。
この点は、現役世代や若い高齢層と比べた際の大きな違いといえるでしょう。
住居費が抑えられていることは、年金中心の収入でも生活を維持できている要因の一つです。
一方で、他の支出が増えた場合に、住居費で調整できる余地がほとんど残されていないという側面もあります。
支出の特徴2:介護費用が含まれていない
もう一つ見落としやすい点として、家計調査に計上されている支出は、日常生活を前提としたものに限られていることが挙げられます。
介護サービスの自己負担分や、突発的な医療・介護関連費用は、原則として平均的な家計支出には含まれていません。
つまり、現在示されている家計収支は、介護が本格化する前の状態を前提とした数字です。
将来的に介護が必要となれば、支出は一時的に、あるいは継続的に増加します。その結果、月々の赤字幅が拡大し、貯蓄を取り崩すスピードが早まる可能性も否定できません。
1.3 ゆとり生活との差額に注意
老後の生活水準を考える際、参考になるのが以下のような調査結果です。
「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、夫婦2人世帯の老後生活費は次のように整理されています。
- 最低限の日常生活費:月平均23万9000円
- ゆとりある老後生活費:月平均39万1000円
一方、家計調査に基づく後期高齢シニア夫婦の実収入は、ご紹介したとおり月25万円前後にとどまります。最低限の生活費はかろうじて上回るものの、「ゆとりある生活」との間には、毎月およそ13万円の差が生じます。
この差をどう捉え、どの水準を目指すのかによって、老後の満足度や安心感は大きく変わってきます。
その判断材料となるのが、年金収入と貯蓄のバランスです。