2月に入り、まだまだ寒い日が続きますが、相次ぐ値上げの影響で家計の厳しさを感じている方も多いのではないでしょうか。特に、老後の生活の基盤となる公的年金の動向は、多くの方にとって大きな関心事です。
2026年1月23日には、2026年度の年金額が「増額」となる改定が発表されました。しかし、この増額が物価の上昇ペースに追いついていないため、実質的には目減りしているという厳しい現実もあります。
では、現在のシニア世代は、実際に毎月いくらの年金を受け取っているのでしょうか。また、現役時代の働き方や性別によって、受給額にはどのくらいの差が生まれるのでしょうか。
この記事では、厚生労働省が公表している最新のデータに基づき、年代別の平均年金額や、働き方の違いによる受給額のシミュレーションを詳しく解説します。
記事末では【保存版】2026年~2027年「年金支給日カレンダー」をご紹介します。
1. 2026年度の年金額増額決まる(厚生年金+2.0%・国民年金+1.9%)4月分から増える!
公的年金の支給額は、毎年の物価や現役世代の賃金変動を考慮して改定されます。
厚生労働省は2026年1月23日に2026年度(令和8年度)の年金額例を発表しました。これによると、4月分から適用される改定率は国民年金(基礎年金)で+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)で+2.0%となります。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
- 厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(前年度比+1300円)です。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。
1.1 2026年(令和8年)度の年金額例
国民年金のみを受け取る場合、保険料を全期間納付した満額(※3)であっても、月々の受給額は7万円に届きません。
また、受給開始を75歳まで遅らせる「繰下げ受給」(※4)を選択した場合でも、月額は13万円未満となります。
※3 国民年金の保険料を40年間(480カ月)納付した場合に、65歳から受け取れる満額の年金額を指します。
※4 繰下げ受給とは、年金の受け取り開始を66歳から75歳までの間で遅らせる制度です。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、75歳開始では最大84%増額されます。
さらに、これらの金額はあくまで標準的なモデル世帯の例です。実際の年金額は、現役時代の働き方、年金加入期間、そして収入によって個人差が大きく生じます。
「自分の場合はモデルケースと異なるため、将来いくらもらえるのか見当がつかない」と感じる方も少なくないでしょう。
そこで、今回の改定と同時に厚生労働省が公表した「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」を見ていきます。この資料は、就業形態や年収が将来の受給額にどのように影響するかを具体的に示した推計値です。
2. ライフコース別《65歳以降の年金額例》5パターン。働き方で生じる「老後の格差」
老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況によって水準が大きく異なります。現在の働き方やライフスタイルが、将来の年金収入に直接結びついているのです。
今回の年金額改定に合わせて厚生労働省が公表した、「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」を参考に、具体的な金額を確認してみましょう。
このデータは、令和6年財政検証の分布推計を基に、2026年度(令和8年度)の年金額を加入期間や収入状況別に算出したものです。
性別や経歴の類型に応じて、「年金額の目安」が5つのパターンに分類されています。
多様なライフコースに応じた年金額(概算)2/12
出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします 年金額は前年度から国民年金(基礎年金)が 1.9%の引上げ 厚生年金(報酬比例部分)が 2.0%の引上げです」
2.1 パターン1:厚生年金加入が中心の男性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 17万6793円(前年比 +3336円)
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
2.2 パターン2:国民年金(第1号被保険者)加入が中心の男性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 6万3513円(前年比 +1169円)
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
2.3 パターン3:厚生年金加入が中心の女性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 13万4640円(前年比 +2523円)
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
2.4 パターン4:国民年金(第1号被保険者)加入が中心の女性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 6万1771円(前年比 +1135円)
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
2.5 パターン5:国民年金(第3号被保険者)期間が中心の女性(20年以上)の場合
年金月額の目安:7万8249円(前年比 +1439円)
- 平均厚生年金期間:6.7 年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
これらの受給額を比較すると、厚生年金への加入期間と現役時代の収入が、老後の生活水準に大きく影響することが明確にわかります。
例えば、会社員として長く勤務した男性と、国民年金を中心に加入してきた女性とでは、月額で11万円以上の差が生じています。これは、基礎年金に上乗せされる「厚生年金(報酬比例部分)」の有無が決定的な違いとなっているためです。
将来の生活を守るためには、ご自身の年金加入状況を正確に把握し、iDeCoや新NISAといった私的年金制度を組み合わせて、早めに準備を進めることが重要といえるでしょう。
3. 【60歳代の年金一覧表】厚生年金・国民年金《1歳刻みの平均月額はいくら?》
ここからは、現在のシニア世代が実際に受け取っている年金額について見ていきましょう。60歳代から80歳代まで、各年齢の平均年金月額を厚生年金と国民年金に分けて確認します。
なお、ここで示す厚生年金の月額には、国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。
3.1 60歳〜69歳の厚生年金・平均受給月額
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
3.2 60歳〜69歳の国民年金・平均受給月額
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
老齢年金の受給は、原則として65歳から開始されます。
65歳未満の平均額が低いのは、繰上げ受給(※1)を選択した方や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受け取っている方が含まれるためです。そのため、厚生年金・国民年金ともに65歳以降の受給額よりも少なくなっています。
65歳から69歳にかけての平均年金月額は、厚生年金で14万円台から15万円台、国民年金では6万円台で推移しています。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳から64歳までの間に前倒しで受け取る制度。繰上げた月数に応じて年金額が減額(1カ月あたり0.4%)され、その減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正で厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられた際、円滑な移行のために設けられた経過措置です。生年月日などの一定条件を満たす場合に受給できます。
4. 【70歳代の年金一覧表】厚生年金・国民年金《1歳刻みの平均月額はいくら?》
次に、70歳代の各年齢における平均年金月額を見ていきましょう。
4.1 70歳〜79歳の厚生年金・平均受給月額
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
4.2 70歳〜79歳の国民年金・平均受給月額
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
70歳代の平均年金月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金が5万8000円台から6万円台で推移していることがわかります。
5. 【80歳代の年金一覧表】厚生年金・国民年金《1歳刻みの平均月額はいくら?》
続いて、80歳代の各年齢における平均年金月額を確認します。
5.1 80歳〜89歳の厚生年金・平均受給月額
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
5.2 80歳〜89歳の国民年金・平均受給月額
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
80歳代の平均受給額は、厚生年金で15万円台から16万円台、国民年金では5万8000円台から5万9000円台となっています。
どの年代を見ても、平均年金月額に大きな年齢差は見られませんでした。ただし、これはあくまで「各年齢の平均値」である点に注意が必要です。
実際に老後に受け取る年金額は、一人ひとりの現役時代の年金加入状況によって大きく異なります。
6. 厚生年金と国民年金の男女差・個人差はどれくらい?グラフで比較
ここからは、全受給権者(60歳から90歳以上)を対象に、年金月額の個人差や男女差をより詳しく見ていきます。
6.1 厚生年金の平均月額に見る男女差と個人差
〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
年金月額階級ごとの受給者数
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金(国民年金を含む)の受給額は、月額1万円未満から30万円を超える高額なケースまで幅広く分布しており、個人差の大きさが顕著です。
また、男女全体の平均年金月額は15万円台ですが、男性の平均額は女性の平均額を約6万円上回っています。
6.2 国民年金の平均月額に見る男女差と個人差
〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
年金月額階級ごとの受給者数
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は、男性が6万円台、女性が5万円台となっています。
月額3万円未満の方も一定数いますが、最も多いボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」であり、満額に近い金額を受け取っている方が多いことがうかがえます。
7. 65歳以上のシニア世帯における平均所得の実態
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の1世帯あたり平均所得金額を見てみましょう。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
7.1 高齢者世帯の平均所得とその内訳
(カッコ内は総所得に占める割合)
総所得:314万8000円 (100.0%)
【内訳】
- 稼働所得:79万7000円(25.3%)
- うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
- 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
- 財産所得:14万4000円 (4.6%)
- 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
- 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)
高齢者世帯の平均総所得は年間314万8000円で、月額に換算すると約26万円になります。
その主な内訳を見ると、所得の約3分の2を占める「公的年金」が月額約16万6000円、そして約2割を占める「雇用者所得」が月額約5万5000円です。
この所得構成から、高齢者世帯の多くが公的年金を生活の基盤としつつ、就労による収入で家計を補っている実態がうかがえます。
※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む
8. まとめ:自身の年金見込額を把握し、将来に備えよう
この記事では、最新の年金額改定の状況や、年代別の平均受給額の推移について解説しました。
厚生年金と国民年金では受給額に大きな差があるだけでなく、同じ厚生年金でも現役時代の平均年収や加入期間によって、将来受け取る金額が大きく変動することがお分かりいただけたかと思います。
また、高齢者世帯の所得構成からは、公的年金が生活の大きな柱でありながらも、就労による「稼働所得」が家計を支えている現状も明らかになりました。
老後のライフスタイルは人それぞれですが、まずは「ねんきん定期便」などを活用して、ご自身の将来の受給見込み額を正確に把握することが重要です。
変化する社会情勢や制度改正の動向にも注意を払いながら、早めに老後のマネープランを立て、必要に応じて不足分を補う準備を進めることが、将来の安心につながるでしょう。
9. 【保存版】2025年度~2026年度 年金支給日カレンダー
老後の年金は「いくらもらえるか」につい意識が向きがちですが、年金の支給サイクルについてもぜひ知っておきましょう。
公的年金は原則として「偶数月の15日」に、前月・前々月の2カ月分がまとめて振り込まれます(後払い方式)。
15日が土日祝日の場合は、直前の平日に前倒しで支給されます。2026年から2027年にかけてのスケジュールをチェックしておきましょう。
- 2026年 2月13日(金): 2025年12月・2026年1月分(※日曜のため前倒し)
- 2026年 4月15日(水): 2026年2月・3月分
- 2026年 6月15日(月): 2026年4月・5月分
- 2026年 8月14日(金): 2026年6月・7月分(※土曜のため前倒し)
- 2026年10月15日(木): 2026年8月・9月分
- 2026年12月15日(火): 2026年10月・11月分
- 2027年 2月15日(月): 2026年12月・2027年1月分
- 2027年 4月15日(木): 2027年2月・3月分
つまり、年金生活では「奇数月」には収入がありません。2カ月分の生活費を一度に受け取るため、計画的な支出管理が求められます。










