2月に入り春の気配を感じるものの、家計には依然として厳しい風が吹いています。総務省の消費者物価指数も上昇基調が続き、物価高が私たちの生活を圧迫しています。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、60歳代・70歳代世帯が「年金にゆとりがない」と感じる理由の筆頭は「物価上昇」でした。
中でも深刻なのが単身世帯です。60歳代の単身世帯では、実に2人に1人にあたる50.7%が「年金だけでは日常生活費すらまかなうのが難しい」と回答しており、老後生活の厳しさが浮き彫りとなっています。
本記事では、総務省の一次資料をもとに、65歳以上の単身シニア世帯の家計事情を深掘り。ひと月の生活費や家計収支を見ていきます。
1. 【65歳以上・無職おひとりさま】老齢年金での一人暮らしに必要な生活費は?
総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を基に、65歳以上で一人暮らしをしている無職世帯の1カ月あたりの家計収支について見ていきましょう。
1.1 65歳以上・単身無職世帯における1カ月あたりの家計収支
実収入(月額):13万4116円
■うち、公的年金などの社会保障給付:12万1629円
支出総額(月額):16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万956円
- うち諸雑費:1万3409円
- うち交際費:1万6460円
- うち仕送り金:1059円
■うち非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
65歳以上・単身無職世帯の家計状況
- 1カ月あたりの赤字額:2万7817円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
- 平均消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合):122.9%
公的年金を受け取りながら単身で生活するシニア世帯の家計は、どのような実態なのでしょうか。
この調査によると、単身世帯の1カ月あたりの支出合計は16万1933円です。内訳を見ると、税金や社会保険料といった「非消費支出」が1万2647円、生活に必要な「消費支出」が14万9286円となっています。
一方で、収入の合計は月額13万4116円であり、そのうち約9割にあたる12万1629円が公的年金などの社会保障給付です。
エンゲル係数は28.2%、平均消費性向は122.9%に達しており、この結果、毎月2万7817円が不足している計算になります。
ただし、このデータを見る際にはいくつかの点に注意が必要です。例えば、支出項目に「介護費用」は含まれておらず、住居費も約1万3000円と比較的低額です。個人の健康状態や居住形態によっては、これらの費用がさらに加わる可能性を考慮しなければなりません。
また、「非消費支出」が示すように、年金生活が始まっても税金や社会保険料の支払いは続きます。
多くのシニアが年金から天引きという形でこれらの費用を納めている現実も考慮に入れると、年金収入と日々の生活費だけでなく、固定費も含めた資金計画の重要性がわかります。
