金(ゴールド)価格は、一時1トロイオンス5500ドルに迫る勢いで高騰しましたが、その後は調整局面に入り、現在は5000ドルを下回って4000ドル台後半で推移しています。
このような価格変動を見ると、「今から投資を始めるのは遅いのでは」「高値掴みにならないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、長期的な資産形成を目指すのであれば、投資信託を活用する方法があります。
投資信託なら、NISAの成長投資枠を利用して非課税で運用できるほか、「ドルコスト平均法」を用いた積立投資で、購入タイミングの分散も可能です。
この記事では、投資信託で金に投資するメリットや注意点について解説します。
1. 投資信託で「金(ゴールド)」へ投資する利点とは《ゴールドファンド》
「金(ゴールド)」に投資するには、いくつかの方法があります。
- 金地金(ゴールドバー)や金貨といった現物を直接購入する
- 純金積立サービスを利用する
- 金価格に連動するETF(上場投資信託)を購入する
- 金に関連する投資信託を購入する
これらの選択肢は、ご自身の投資目的に合わせて選ぶことができます。
もし、現物の金を所有することにこだわらないのであれば、投資信託は有力な選択肢の一つです。
ここからは、投資信託を通じて金に投資する具体的なメリットを見ていきましょう。
1.1 NISAの成長投資枠で運用益が非課税に
通常、投資によって得られた利益には税金が課されます。
金投資も例外ではなく、売却益は譲渡所得として課税対象です。特に、銀行などが提供する「金投資口座」を利用した現物の受け渡しがない投資の場合、利益に対して一律20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税となります。
しかし、NISA口座を通じて「金の投資信託」を購入した場合、将来どれだけ値上がりしても、その売却益は非課税となります。
金地金を売却して得た所得は、原則として譲渡所得に分類され、給与所得など他の所得と合算して総合課税の対象となります。
ただし、金地金の譲渡が営利目的で継続的に行われている場合は、その実態に応じて事業所得または雑所得として扱われることがあります。
一方で、金投資口座や金貯蓄口座などから生じる利益は、現物の譲渡とは異なり金融取引に近い性質を持つため、金融類似商品の収益と見なされます。この場合、一律20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率で源泉分離課税が適用されます。
これらの口座からの利益は源泉徴収で課税が完了するため、他の所得と合算して確定申告を行うことはできません。
1.2 手数料(コスト)を抑えやすい
- 【現物購入(ゴールドバー)】購入時:スプレッド+手数料、保有中:0円(保管サービス利用時は有料)
- 【純金積立】購入時:1.65~3%程度、保有中:0~数千円
- 【金ETF(上場投資信託)】購入時:0円~0.1%程度、保有中:0.07%~0.5%程度(信託報酬)
- 【金投資信託】購入時:0円~3%程度、保有中:0.06%~0.5%程度(信託報酬)
投資信託は、現物購入や純金積立と比較して、購入時の手数料が低めに設定されている傾向があります。
銘柄によっては、購入時手数料が無料(ノーロード)のファンドも数多く存在します。
ただし、投資信託には保有期間中に「信託報酬」というコストが継続的に発生します。また、解約時に「信託財産留保額」という手数料がかかる場合もあるため注意が必要です。
コストを比較する際は、「購入時手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」の3点を忘れずに確認しましょう。
1.3 少額から始められる「積立投資」が可能
投資信託を利用すれば、NISAの「成長投資枠」を使って金への積立投資ができます。
金融機関によっては毎月数百円といった少額から自動積立の設定ができるため、投資初心者の方でも始めやすいのが大きな魅力です。
なお、NISA成長投資枠の年間投資上限額は240万円です。
ただし、すべての金ファンドがNISAの対象とは限りませんので、購入前に必ず確認するようにしてください。
※2026年2月現在、NISAのつみたて投資枠の対象商品に「金」に関連するファンドは含まれていません。
2. 積立投資の「ドル・コスト平均法」でタイミングに悩まない
2024年以降、金価格は上昇基調が続いています。
「価格が上がる前に買っておけばよかった」と感じている方もいるかもしれません。
では、価格が高水準にある今、金に投資するのは得策なのでしょうか。
この問いに明確な答えはありませんが、積立投資であれば「ドル・コスト平均法」の効果により購入単価を平準化できるため、日々の値動きを気にしながら投資のタイミングを計る必要がなくなります。
2.1 ドル・コスト平均法の仕組み
積立投資とは、毎月、毎週、あるいは毎日など、自分で決めた頻度で一定金額を継続的に投資していく手法です。
この方法では購入タイミングが分散されるため、基準価額が高いときには少なく、安いときには多くの口数を購入することになります。結果として購入単価が平準化され、日々の価格変動に一喜一憂することなく、長期的な視点で投資を続けやすくなります。
例として、あるファンドAに4万円を「一括投資」した場合と、毎月1万円ずつ「積立投資」した場合の購入口数を比較してみましょう。
【ファンドAの基準価額の推移】
- 1月:1万円
- 2月:2万円
- 3月:5000円
- 4月:1万円
投資額4万円を「一括投資」した場合
1月にファンドAへ4万円を一括で投資したと仮定します。
このときの基準価額は1万円なので、4万口を購入できます。
しかし、2カ月目に価格が上昇した後、3カ月目には大きく下落しました。
この値動きを見ると、「あと2カ月待てば、もっと多くの口数を買えたのに」と感じるかもしれません。
毎月1万円で「積立投資」した場合
次に、ファンドAを毎月1万円ずつ積み立てた場合を見てみましょう。
- 1カ月目:1万円で1万口を購入
- 2カ月目:1万円で5000口を購入
- 3カ月目:1万円で2万口を購入
- 4カ月目:1万円で1万口を購入
このように、価格が高い2カ月目は購入口数が少なくなり、価格が安い3カ月目は購入口数が多くなります。
4カ月間の合計購入口数は4万5000口となり、一括投資よりも多くの口数を取得できました。
購入単価が平準化されるだけでなく、投資タイミングを分けることがリスクの分散にもつながります。
積立投資は長期的に継続することで効果が高まるため、「積立投資と長期投資はセット」と考えるとよいでしょう。
3. 投資信託で「金」に投資する際の注意点
投資信託で金に投資を始める前に、いくつかの注意点を確認しておきましょう。
3.1 「為替ヘッジ」の有無を確認する
投資信託の中には、為替変動の影響を抑えるか、あるいは積極的に狙うかを選べるタイプがあります。
- 〇〇ファンド(為替ヘッジあり)
- 〇〇ファンド(為替ヘッジなし)
金融用語の「ヘッジ」とは、リスクを回避するという意味合いで使われます。
為替ヘッジの有無は、為替レートの変動をどう捉えるかによって選択します。
- 為替ヘッジあり:円安や円高の影響を極力排除し、純粋な金価格の変動によるリターンを期待したい方向けです。
- 為替ヘッジなし:金価格の変動に加えて、円安による為替差益も期待したい方向けです。ただし、円高に振れた場合は損失が拡大するリスクも伴います。
3.2 保有中にかかる「信託報酬」
繰り返しになりますが、投資信託を保有している間は「信託報酬」というコストが毎日かかります。
積立投資は長期保有が基本となるため、この信託報酬ができるだけ低いファンドを選ぶことが、将来の運用成果に大きく影響します。
3.3 「金」への集中投資は避ける
近年のような金価格の上昇局面では、期待感から金への投資比率を高めたくなるかもしれません。
しかし、金は一般的に「有事の際の安全資産」として、資産を守る役割が期待されるものです。
特定の資産に集中投資するのではなく、預貯金や株式、債券など、値動きの異なる複数の資産に分散させるポートフォリオの一部として金を組み入れるのが理想的な考え方です。
4. まとめ
NISA(少額投資非課税制度)は、資産形成をサポートするための税制優遇制度です。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用すれば非課税になります。
例えば100万円の利益が出た場合、課税口座では手取りが約80万円になるのに対し、NISA口座なら100万円をそのまま受け取れます。
この有利な制度は「金」への投資にも活用できます。
特に投資信託であれば、数百円程度の少額から積立投資を始められ、ドル・コスト平均法によって購入価格を平準化できるため、価格変動に一喜一憂することなく長期的な視点で資産を育てていけるでしょう。
ご自身の投資方針に合うか、さまざまな金融商品の特徴やリスクを比較検討することが大切です。
※投資にはリスクが伴います。ご自身の投資意向やリスク許容度を踏まえてご判断ください。
※当記事は再編集記事です。



