株式市場の下落は続くのか? 令和の大幅安スタートを招いた米中摩擦再燃

2019年5月12日 テクニカル分析

米中貿易摩擦の悪化懸念から5日続落

2019年5月10日の日経平均株価の終値は、前日より57円21銭安の21,344円92銭となりました。令和に入ってから5日続落し、この間の下げ幅は910円以上となりました。約1か月ぶりの安値です。

連休中は世界的に株式市場に資金が戻り、日本株も戻りを試す展開になると期待されていました。また、3日に発表された4月の米雇用統計は市場予測を上回り、ダウ工業株30種平均は反発。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は過去最高値となりました。

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この動きに水を差したのは、またもトランプ米大統領の言動でした。トランプ氏は5日、ツイッターで、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から、現在の10%から25%に引き上げると発表しました。

米中貿易摩擦の悪化が懸念されます。背景には、これまでの通商交渉で、中国が法改正などを含む構造改革を進めると合意したにもかかわらず、ここにきてそれを撤回する動きとなったことから、トランプ氏が「約束を破った」と憤慨したとされます。

トランプ氏の発言を受けて、6日の米株式市場は反落。さらに、米東部時間10日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)には、実際に関税を25%に引き上げる制裁措置が発動されました。10日のダウ平均は一時、350ドル以上も下落しました。終値はやや落ち着いたものの、6~10日の1週間で560ドル以上の下落となりました。

今週の動きはどうなるでしょうか。合意が近いと考えられていた米中通商交渉が再び厳しい情勢になってきたと考える投資家も多いようです。日本株も先週、輸出関連株などが下落する展開となりました。

ただし、値幅を見ると、ここ数か月続いている上昇一服といった範囲を超えておらず、あらゆる銘柄がつるべ落としのように売られるという展開にはならないと考えられます。

むしろ全般的に下げ渋る動きが感じられることから、銘柄によっては押し目買いの好機になるのではないでしょうか。企業の決算発表も続くことから、個別に物色してチャンスを生かしたいところです。

米中貿易摩擦懸念で大きく下げるが下げ幅は限定的

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。6日の月曜日は、日本市場は祝日(振替休日)で休場でした。米国の制裁関税の引き上げ報道を受けて、7日は軟調な展開になると予想されていました。

実際に、7日には長い陰線となって下落。8日はさらに大きく窓をあけて下落。9日、10日も陰線となりました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。まず心配されるのは、先週の下落により、「一段上のステージ」から「レンジ」へと戻ってしまったことです。

振り返れば、3月は、3月4日の高値(21,860円)と3月25日の安値(20,911円)の1,000円弱の狭い幅でもみ合う動きが続いていました。4月上旬になってようやく、このもみ合いを上に抜け、一段上のステージで続伸していくことが期待されたわけです。その後下値は固い一方で、さらに上昇するわけでもなく、小さな値幅でもみ合っていました。

それが8日の窓あけ下落で再度レンジに突入し、25日移動平均線も割り込んでしまいました。ただし、このまま下落が続くとも考えにくいところです。9日には一時、ローソク足の実体が75日線を割り込む動きを見せましたが、引けでは回復しました。

10日も75日線割れにトライしましたが、けっきょく長い下ヒゲを付けて回復しました。足元の下値めどであった3月25日の安値(20,911円)を割り込むこともありませんでした。

また、中期的にはまだ、12月下旬以降の上昇トレンドが継続されています。こういったことから、3月25日の安値を割らない限りは、自律反発狙いの戦略でいいと考えられます。

下原 一晃

参考記事

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下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。