3. 給付付き税額控除の制度設計、これまでの経緯

2025年10月24日の所信表明演説において、高市総理は「給付付き税額控除」の制度設計に速やかに着手する方針を明らかにしました。実現に時間を要するこの制度は、早期の議論開始が不可欠です。しかし、2026年1月19日の衆議院解散発表により、今後の検討プロセスに遅れが生じる可能性が出てきました。

3.1 2025年10月24日:導入方針の表明

2025年10月24日の高市総理所信表明演説

2025年10月24日の高市総理所信表明演説

出所:首相官邸「第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」

この演説では、夏の参議院議員選挙で自由民主党が公約として掲げた「一律の現金給付」は実施しない方針であることも、改めて示されました。

内閣総理大臣所信表明演説で高市総理は「この内閣が最優先で取り組むことは、国民の皆様が直面している物価高への対応」であり、「実質賃金の継続的上昇が定着するまでには、一定の時間を要する」と述べました。

さらに、「税・社会保険料負担で苦しむ中・低所得者の負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるようにしなければならない」と語り、恒久的で公平な対策として「給付付き税額控除」の導入を急ぐ考えを示しました。

3.2 2025年11月27日:与野党4党による意見交換の実施

2025年11月27日には、自民、公明、立憲民主、そして新たに日本維新の会を加えた与野党4党の政務調査会長による会談が開催されました。

この会談では、「給付付き税額控除」の導入に関する今後の進め方などについて意見が交わされました。

3.3 2025年12月17日:「国民会議」設置意向の表明

2025年12月17日に開かれた記者会見で、高市総理は次のように発言しています。

政府・与党だけではなくて、野党の皆様も交えた国民会議を設置して、給付と負担の在り方や、それから社会保障給付との整合性、そしてまた所得の把握といった給付付き税額控除の制度設計を含めて、税と社会保障の一体改革についてしっかり議論を進めていきたいと考えております。

引用:首相官邸「高市内閣総理大臣記者会見」

 

3.4 2026年1月9日:「国民会議」の1月中立ち上げを明言

2026年1月9日、高市総理は政府与党連絡会議に出席し、「給付付き税額控除」の制度設計に向けて、同月中に与野党が参加する「国民会議」を立ち上げる意向を表明しました。

政府与党連絡会議

政府与党連絡会議

出所:首相官邸「政府与党連絡会議」

3.5 2026年1月19日:衆議院解散で「国民会議」設立は先送りに

2026年1月19日、高市総理は衆議院の解散を発表しました。1月中に国民会議を立ち上げて給付付き税額控除の議論を進めると明言した直後でしたが、この点について高市総理は次のように述べています。

「国民会議」でございますけれども、これはやはり税と社会保険料の負担で苦しんでおられる中所得・低所得者の皆様の負担を軽減して、所得に応じて手取りが増える、このようにするために、野党の皆様にも参加を呼びかけて立ち上げるということにしてまいりました。実は、1月中の開催に向けて申入れをしてきたのですが、これはうまくいきませんでした。しかし、やはりこれは何としてもスピード感を持って進めていかなきゃいけない、この思いはいささかも変わりませんので、解散によって日程感に多少の変動はあり得ると思いますけれども、総選挙後、可能な限り早く「国民会議」を立ち上げて議論を進めてまいります。

引用:首相官邸「高市内閣総理大臣記者会見」

国民会議の開催に向けて野党に申し入れを行ったものの、調整がつかなかったことが明かされました。しかし、給付付き税額控除の議論を迅速に進める意向に変わりはなく、総選挙後に可能な限り早く国民会議を立ち上げ、議論を進めていく方針であると述べています。

4. まとめ

2026年1月19日の衆議院解散により、高市政権が掲げる「給付付き税額控除」は大きな転換点を迎えました。

この制度が、私たちの家計を支える「本物の切り札」となるのか。それとも選挙戦の渦中で形を変えてしまうのか。2月8日の投開票日に向けた各党の論戦から目が離せません。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

和田 直子