新年度が始まり少し落ち着いてきた2026年4月、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
春の暖かさとともに、日々の生活費や将来のお金について改めて考える機会も増えるかもしれません。
特に年金を受給されている方やこれから受給を始める方にとって、公的年金だけでは生活が厳しいと感じる場面もあるのではないでしょうか。
この記事では、そうした方々の生活を支えるために設けられた「年金生活者支援給付金」という制度について、基本から詳しく解説します。
どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そしてどのような手続きが必要なのか、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。
1. 年金生活者支援給付金の基本概要
年金を受給している方々の生活を支援する目的で、2019年に「年金生活者支援給付金制度」が始まりました。
この制度は、受給要件を満たす対象者に対し、2カ月に一度、公的年金の支給日に合わせて給付金を支給するものです。
年金生活者支援給付金は3つの種類に分かれており、受給している基礎年金に応じて「老齢」「障害」「遺族」のいずれかの給付金が支給されます。
つまり、それぞれの基礎年金を受給している方で、所得などの要件を満たした場合に、この給付金の対象となります。
2. 年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件
ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るために必要な支給要件について、詳しく見ていきましょう。
2.1 障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給していることが前提です。
加えて、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。
ここで重要なのは、所得の計算に障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれないという点です。
また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額が引き上げられることも覚えておくとよいでしょう。
2.2 老齢年金生活者支援給付金の対象者
一方で、老齢年金生活者支援給付金の対象となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
- 同じ世帯の全員が市町村民税非課税であること
- 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得の合計が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下であること
老齢年金生活者支援給付金の場合、ご自身の所得だけでなく世帯全体の状況も要件に含まれる点に注意が必要です。なお、こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。
また、所得が基準額をわずかに超えたために給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みがあります。
この補足的給付金の対象は、昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得合計が80万9000円を超え90万9000円以下の方、または昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得合計が80万6700円を超え90万6700円以下の方です。
3. 最新データで見る年金生活者支援給付金の支給額と件数
厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、実際に支給されている年金生活者支援給付金の平均月額を確認します。
2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金で5228円という結果でした。
※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。
給付金額ごとの給付件数は、以下のようになっています。
3.1 老齢年金生活者支援給付金:給付額ごとの件数内訳
- 1000円未満:7万5101件
- 1000円以上2000円未満:31万4450件
- 2000円以上3000円未満:59万9166件
- 3000円以上4000円未満:108万2177件
- 4000円以上5000円未満:103万4357件
- 5000円以上6000円未満:104万5423件
- 6000円以上7000円未満:18万5291件
- 7000円以上8000円未満:9万3265件
- 8000円以上9000円未満:4万4796件
- 9000円以上1万円未満:1万9891件
- 1万円以上:1万524件
3.2 障害年金生活者支援給付金:給付額ごとの件数内訳
- 5000円以上6000円未満:149万3700件
- 6000円以上7000円未満:68万3466件
3.3 遺族年金生活者支援給付金:給付額ごとの件数内訳
- 1000円未満:ー
- 1000円以上2000円未満:607件
- 2000円以上3000円未満:1569件
- 3000円以上4000円未満:ー
- 4000円以上5000円未満:ー
- 5000円以上:7万5531件
4. 年金生活者支援給付金の請求手続きについて
年金生活者支援給付金は、自動的に受け取れるものではなく、ご自身での申請が必要です。手続きを忘れないように注意しましょう。
ここでは、多くの方が該当するであろう2つのケースに分けて、請求手続きの方法を解説します。
4.1 ケース1:すでに年金を受給中で新たに対象となった方
- 毎年9月の初めごろから、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が対象者に順次送られてきます。受け取ったら必要事項を記入し、切手を貼って投函してください。
- 締切日までに提出すれば10月分から遡って受け取れますが、遅れると請求した月の翌月分からの支給となります。早めに手続きを済ませることをおすすめします。
※請求書(はがき型)が届いた方は、マイナポータルを利用した電子申請も可能です。電子申請をした場合、郵送での提出は不要になります。
4.2 ケース2:これから老齢年金の受給を開始する方
- 年金の受給権が発生する3カ月前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」が日本年金機構から届きます。この中に「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
- 必要事項を記入の上、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所へ提出します。
4.3 翌年以降の手続きは原則不要です
「毎年手続きが必要なのだろうか」と心配される方もいるかもしれませんが、一度請求書を提出すれば、翌年以降も支給要件を満たしている限り、手続きは原則として不要です。
※年金生活者支援給付金は、毎年度、前年の所得情報などに基づいて継続して支給されるかが判定されます。その結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間適用されます。
5. 国民生活基礎調査から見るシニア世帯の収入実態
実際には、年金だけで生活している高齢者世帯は、それほど多くないのが現状です。
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、収入が公的年金・恩給のみという世帯は43.4%でした。
- 公的年金・恩給が総所得の100%を占める世帯:43.4%
- 公的年金・恩給が総所得の80~100%未満を占める世帯:16.4%
- 公的年金・恩給が総所得の60~80%未満を占める世帯:15.2%
- 公的年金・恩給が総所得の40~60%未満を占める世帯:12.9%
- 公的年金・恩給が総所得の20~40%未満を占める世帯:8.2%
- 公的年金・恩給が総所得の20%未満を占める世帯:4.0%
このデータから、残りの56.6%の高齢者世帯は、公的年金や恩給以外の所得で生活費をまかなっていることが読み取れます。
公的年金だけで生活するのが難しい可能性も視野に入れ、早めに老後の生活設計を立てておくことが大切といえるでしょう。
6. まとめ
今回は、年金生活を支える「年金生活者支援給付金」について、対象となる方の条件や給付額、手続きの方法などを解説しました。
この給付金は自動的に支給されるものではなく、ご自身での請求手続きが必要です。
特に、これから年金の受給が始まる方や、所得状況の変化で新たに対象となる可能性のある方は、手続きを忘れないようにしたいところです。
物価の上昇が続くなか、少しでも家計の助けになる制度は積極的に活用したいものです。
ご自身が対象になるかどうか、まずはこの記事で紹介した要件を確認してみてはいかがでしょうか。







