桜の季節が過ぎ、新緑の鮮やかさが目立つ4月。

新しい年度のスタートとともに、多くの自治体から「住民税の通知書」が届く時期が近づいています。

「住民税」がいくらになるのか、あるいは「非課税」に該当するのかに関心を寄せる方もいるのではないでしょうか。

しかし、住民税非課税世帯の対象になるかどうかを分ける「年金収入」や「給与収入」の境界線(ボーダーライン)は、意外と知られていません。

そこで本記事では、住民税が非課税になる年収の目安を単身・二人世帯別に分かりやすく解説します。

また、非課税世帯が受けることができる強力な「優遇措置」5選についてもご紹介します。

1. 【一覧表で確認】住民税非課税世帯が対象となる「優遇措置」は何がある?

新型コロナウイルス対策や物価上昇への対応として、これまで住民税非課税世帯を主な対象に、現金給付などの支援策が実施されてきました。

住民税非課税世帯とは、所得が一定の基準以下で、住民税が課されない世帯のことを指します(詳しい定義は後述します)。

このような世帯向けには、現金給付だけでなく、日々の生活を支えるさまざまな優遇措置も用意されています。

ここでは、その中から5つを取り上げて紹介します。

【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置1/5

【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置

LIMO編集部作成

1.1 1:国民健康保険料(応益割)の減額

  • 応益分保険料(均等割・平等割)の「7割・5割・2割」のいずれかを減額

1.2 2:介護保険料の減額

  • 第1号被保険者(65歳以上)が対象。減額される金額は自治体ごとに異なる

1.3 3:国民年金保険料の免除・納付猶予

  • 全額免除・一部免除・納付猶予のいずれか

1.4 4:保育料の無償化

  • 0歳から2歳までの保育料が無償化
  • これにより、0~5歳までの保育料が無料になる

1.5 5:高等教育の修学支援新制度

  • 授業料・入学金の免除または減額
  • 返還を要しない給付型奨学金
  • 上記により大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を無償化

このほかにも、自治体が独自に設けている制度を含めると、利用できる支援は数多くあります。

では、住民税非課税世帯とは具体的にどのような世帯を指すのか、次章で確認していきましょう。

2. 【住民税のキホンも整理】「住民税非課税世帯」とはどんな世帯?

まずは住民税の基本的な仕組みを確認したうえで、住民税非課税世帯に該当する条件を見ていきましょう。

住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に納める地方税で、自治体の大切な財源として公共サービスの提供やインフラ整備などに使われています。

住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造2/5

個人住民税のしくみ

出所:総務省「個人住民税」

個人に課される住民税は、「均等割」と「所得割」の2つの要素で成り立っています。

  • 均等割:所得に関係なく一律に課税される部分
  • 所得割:所得に応じて税額が決まる部分

均等割と所得割のいずれも課されていない状態を「住民税非課税」といい、世帯全員がこの条件に該当する場合を「住民税非課税世帯」と呼びます。

なお、所得割のみが非課税となる場合もありますが、給付金などの支援制度の対象となるかどうかは自治体によって取り扱いが異なることがあります。

詳しい内容については、必ずお住まいの市区町村が定めている基準を確認するようにしましょう。

3. 【要件】「住民税が非課税」となる世帯条件をチェック

では、住民税が課されない条件について具体的に見ていきましょう。

次に挙げるいずれかの条件に該当する場合、住民税は非課税となります。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
  3. 前年の所得が各市区町村の基準を下回る

なお、1と2の要件は全国共通ですが、3に該当する所得基準については、市区町村ごとに定められており、内容が異なる場合がある点に注意が必要です。

4. 住民税非課税世帯となる「所得のボーダーライン」はどのくらい?

「住民税非課税世帯」に該当する所得水準について、兵庫県神戸市を例に見ていきましょう。

均等割も所得割もかからない人(非課税者)3/5

均等割も所得割もかからない人(非課税者)

出所:神戸市「住民税(市県民税)とは」

神戸市における「非課税となる所得の基準額」は、次の計算式で算出しています。

35万円×(本人+同一生計配偶者(※)+扶養親族数)+10万円+21万円

ただし、21万円は同一生計配偶者(※)または扶養親族がいる場合のみ加算

※同一生計配偶者とは、納税義務者と生計を一にする配偶者で、前年の合計所得金額が58万円以下の人

5. 住民税非課税世帯となる「給与収入・年金収入のボーダーライン」はどのくらい?

住民税が非課税となる所得の基準は、先ほど触れた「同一生計配偶者や扶養親族の人数」に加えて、収入の種類によっても異なります。

所得は、収入金額から各種控除を差し引いて算出されるため、ここでは神戸市の基準を「収入ベース」に置き換えて確認していきます。

5.1 単身世帯の場合は?

合計所得金額が45万円以下になる方

  • 給与収入のみで収入金額が110万円以下
  • 年金収入のみで収入金額が155万円以下(65歳以上)
  • 年金収入のみで収入金額が105万円以下(65歳未満)

5.2 同一生計配偶者または扶養親族が1名いる場合は?

合計所得金額が101万円以下になる方

  • 給与収入のみで収入金額が166万円以下の方
  • 年金収入のみで収入金額が211万円以下の方(65歳以上)
  • 年金収入のみで収入金額が171万3334円以下の方(65歳未満)

単身世帯の場合、給与収入のみであれば年収100万円以下、65歳以上で年金収入のみの場合は155万円以下が、住民税非課税となるおおよその目安です。

一方で、同一生計配偶者や扶養親族がいる世帯では、非課税となる収入基準は引き上げられます。

とくに、65歳以上で年金収入のみの世帯では、収入の目安が211万円以下となり、単身世帯と比べて条件が大きく緩和されている点が特徴です。

このように、住民税が非課税となるかどうかは、世帯構成や収入の種類によって異なります。

6. シニアのほうが「住民税非課税世帯」に該当しやすい?

厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」をもとに、年代別に住民税が課税されている世帯の割合を見てみましょう。

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合5/5

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」(第131表)をもとにLIMO編集部作成

  • 29歳以下:63.0%
  • 30〜39歳:87.5%
  • 40~49歳:88.2%
  • 50~59歳:87.3%
  • 60~69歳:79.8%
  • 70~79歳:61.3%
  • 80歳以上:52.4%
  • 65歳以上(再掲):61.1%
  • 75歳以上(再掲):54.4%

※  全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含む
総数には、年齢不詳の世帯を含む
住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む

住民税が課税されている世帯の割合は、30~50歳代ではおよそ9割近くに達していますが、60歳代では79.8%まで低下します。

さらに、65歳以上では61.1%、75歳以上では54.4%となっており、年齢が上がるにつれて、住民税が課されている世帯の割合は徐々に低くなる傾向があります。

一般的に、年金生活へ移ると現役時代より収入が減ることに加え、65歳以上には公的年金に対する所得控除が手厚く設けられています。

また、遺族年金は課税対象にはなりません。

こうした背景から、年金を受給している高齢者世帯は、住民税非課税世帯に該当しやすい傾向があるといえます。

7. まとめ

本記事では「住民税非課税世帯」について解説してきました。

たとえば神戸市では、65歳以上の単身者は年収155万円、配偶者を扶養している場合は年収211万円といった「非課税のボーダーライン」があります。

もし、さまざまな事情で収入が減った場合、固定費の支払いだけでも難しくなってしまうことが考えられます。

住民税が課されない世帯を対象に、日々の生活を支えるさまざまな優遇措置が準備されています。

国の支援策を把握しておくことは、将来の安心につながる第一歩といえるでしょう。

参考資料