年金生活への不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

厚生労働省が公表した2026年度の年金額は、4年連続でのプラス改定となったものの、依然として物価の上昇には追いついておらず実質的には目減りしている状況です。

一方で、年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」は2025年度から3.2%引き上げられました。

2月13日の公的年金の支給日に、年金生活者支援給付金が支給されるのはどのような人なのでしょうか。

本記事では、現在のシニア世代が受け取る年金の平均額を確認しながら、「年金生活者支援給付金」制度についてわかりやすく解説します。

1. 厚生年金の受給額は個人差が大きい?月額30万円以上から1万円未満まで分布

厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、公的年金の平均受給月額は、国民年金(老齢基礎年金)が約5万円、厚生年金(国民年金部分を含む)が約15万円となっています。

厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)2/5

厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

しかし、これはあくまで平均値です。実際には、厚生年金を月額30万円以上受給している方がいる一方で、国民年金と厚生年金を合わせても月額3万円に満たない方もおり、受給額には大きな幅があることがわかります。

年金収入とそれ以外の所得を合計しても、国が定める一定の基準額を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

2. 2026年度の年金生活者支援給付金は月額5620円へ。前年度比3.2%の増額

年金生活者支援給付金とは、年金やその他の所得が一定基準に満たない方を経済的に支える目的で2019年に導入された制度です。この給付金は、2カ月ごとに公的年金と合わせて支給されます。

給付金は受給している年金の種類に応じて3つに分類されており、それぞれ支給の条件や金額が異なります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

2.1 2026年度における年金生活者支援給付金の具体的な支給額

2026年度における年金生活者支援給付金の額は、物価の変動などを反映し、前年度と比較して3.2%の引き上げが決定しました。

【2026年度】

  • 老齢年金生活者支援給付金:月額5620円(基準額)
  • 障害年金生活者支援給付金:1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

老齢年金生活者支援給付金の場合、この基準額を基に、個々の保険料納付期間などに応じて実際の支給額が算出される仕組みです。

これらはすべて月額表示ですが、実際の支給は2カ月分がまとめて行われます。例えば、基準額通りに受け取れる場合、1回の支給で約1万1000円、年間では約6万7000円が年金に加算される計算になります。

ちなみに、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参照すると、2025年3月時点での平均給付月額は、老齢で4146円、障害で5727円、遺族で5228円でした。

※この金額は2025年3月時点で認定された方の平均給付額です。

3. 年金生活者支援給付金の支給対象者とは?3つの基礎年金受給者の要件を解説

ここからは、年金生活者支援給付金を受け取るための具体的な要件を確認していきます。

「障害」と「遺族」を対象とする給付金は、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受け取っており、かつ前年の所得が479万4000円以下であることが条件です。

所得の判定において、障害年金や遺族年金といった非課税収入は計算に含まれません。また、扶養している親族の人数に応じて、所得基準額は緩和されます。

一方、「老齢年金生活者支援給付金」の場合は、所得以外にもいくつかの追加要件を満たす必要があります。

3.1 老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる条件

老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たした方が対象となります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入と、それ以外の所得の合計額が一定の基準額以下であること(昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下)

こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得合計額には含まれません。

さらに、所得が基準額をわずかに超えたために給付対象から外れてしまう方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度が設けられています。

補足的老齢年金生活者支援給付金

この制度は、所得基準を少しだけ上回ってしまった方向けの救済措置のようなものです。

前年の所得合計額が、本来の基準額(生年月日に応じて80万9000円または80万6700円)を超えていても、一定の上限額(同じく90万9000円または90万6700円)以下であれば、この補足的な給付金の対象となります。

補足的老齢年金生活者支援給付金の支給額は、所得額に応じて段階的に減少する仕組みになっています。

4. 年金生活者支援給付金は申請が必要。自動的には支給されない点に注意

年金生活者支援給付金は、対象になったとしても自動的に支給が始まるわけではなく、ご自身での請求手続きが必要です。

すでに年金を受け取っている方で、所得の減少などにより新たに給付金の対象となった場合、毎年9月1日以降に日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

4.1 毎年9月頃に届く「緑の封筒」とは?年金受給中の方向けの手続き案内

※年金をすでに受給している方のうち、繰上げ受給を選択している場合は、送付される書類の形式が異なることがあります。

これから65歳になる方については、誕生日の約3カ月前に送られてくる老齢基礎年金の請求書類の中に、給付金の請求書も同封されています。必要事項を記入の上、年金の請求書と一緒に提出することで手続きができます。

4.2 申請手続きは一度だけ?2年目以降の受給について

この給付金は、一度申請して受給が決定すれば、支給要件を満たし続ける限り、翌年以降は特に手続きをしなくても継続して受け取ることが可能です。

毎年の受給資格は前年の所得に基づいて判定され、その結果は10月分(12月支給)から1年間適用されます。もし対象から外れた場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。

また、毎年度の具体的な支給額については、毎年6月上旬頃に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」や「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認することができます。

5. まとめ

ここまで、現在のシニア世代が受け取る年金の平均額を確認しながら、「年金生活者支援給付金」制度について解説しました。

受給できる公的年金額には個人差がありますが、平均月額は国民年金で約5万円、厚生年金+国民年金で約15万円となっています。

なお、2026年度の年金生活者支援給付金の給付基準額は、前年度比で3.2%増額されています。

これから65歳になる方で、年金生活者支援給付金の支給対象となる場合、老齢基礎年金の請求書と一緒に給付金の請求書が届きますので、忘れずに手続きを行いましょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料