2026年度の確定申告期間は3月16日までです。年金からは所得税が源泉徴収されていますが、確定申告しないといけない人もいます。年金受給者の中には「確定申告が必要なのはどんな人?」「確定申告でメリットがあるの?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。
本記事では、確定申告不要制度と確定申告しないといけない年金受給者について解説します。年金から源泉徴収される所得税や申告不要でも確定申告した方がいいケースも紹介しますので、年金受給中の人は確認しておきましょう。
1. 【年金をもらう人】確定申告不要制度と要件
確定申告不要制度とは、所得税法121条に定める要件を満たした年金受給者は所得税の確定申告を不要とする制度です。確定申告をしなくていいのは、以下の2つの要件をともに満たす年金生活者です。
- 年金収入が400万円以下
- 年金以外の所得が20万円以下
「年金以外の所得」とは、パート・アルバイトの給与所得や生命保険・個人年金、不動産所得などが該当します。公的年金に対する所得税は年金支給時に源泉徴収されているため、年金受給者の負担軽減を目的に確定申告不要制度が設けられました。
2. 【年金をもらう人】確定申告しないといけないのはどんな人?
確定申告不要制度の要件に該当しない課税対象の年金受給者は、確定申告が必要です。具体的には、以下の要件のどちらか一方を満たす人が該当します。
- 年金収入が400万円超
- 年金以外の所得が20万円超
年金以外の所得が20万円超の場合、年金所得などを合算して課税(総合課税)されるため確定申告が必要です。
3. 【年金をもらう人】年金から源泉徴収される所得税とは
年金所得と年金から源泉徴収所得税は次の通り計算します。
- 年金所得=年金支給額ー公的年金等控除額
- 源泉徴収税額=(年金所得-基礎控除額(95万円)-各種控除額)×所得税率(復興特別所得税を含めて5.105%)
公的年金等控除額は年金受給者の年齢に応じて次の通りです。
- 65歳未満の公的年金等控除額:60万円(年金額130万円未満)
- 65歳以上の公的年金等控除額:110万円(年金額330万円未満)
例えば、65歳以上の年金受給者で各種控除がない場合、年金支給額から公的年金等控除額(110万円)と基礎控除額(95万円)の合計金額(205万円)を差し引いた金額が課税対象となります。年金支給額が205万円以下なら所得税は源泉徴収されません。
ここまで、確定申告不要制度と確定申告しないといけない年金受給者、年金から源泉徴収される所得税について解説しました。次章では、源泉徴収時の各種控除と申告不要でも確定申告した方がいいケースについて紹介します。
4. 【年金をもらう人】源泉徴収時の各種控除
源泉徴収所得税の計算時の課税所得は、年金支給額から公的年金等控除額と基礎控除額、次の各種控除を差し引いて計算します。
- 社会保険料(国民健康保険料と介護保険料)
- 配偶者(特別)控除
- 扶養控除
- 特定親族特別控除(2025年度新設。一定所得の19歳以上23歳未満の扶養親族が対象)
- 障害者控除 など
社会保険料については、年金から天引きされた社会保険料が対象です。配偶者控除などの人的控除を受けるためには、日本年金機構から送付される「扶養親族等申告書」の提出が必要です。
医療費控除など上記以外の各種控除が所得税額の計算に反映していないことに注意しましょう。
5. 【年金をもらう人】確定申告をしたほうがいいのはどんな人?
所得税法上、確定申告不要制度の要件を満たす年金受給者の中には、確定申告を行うことで税金が安くなる人もいます。源泉徴収では考慮されない医療費控除などの各種控除の適用が受けられるからです。
確定申告によって税金が還付される可能性があるため、以下の控除が受けられる場合は確定申告を検討しましょう。
- 医療費控除(家族を含めて年間で10万円超える医療費を支払った場合など)
- 社会保険料控除(年金天引き以外で国民健康保険料などを支払っている場合)
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除(ワンストップ特例制度を利用しないでふるさと納税した場合など)
- 雑損控除(災害や盗難などによって住宅・家財に損害を受けた場合) など
6. おわりに
年金受給者でも、年金収入やその他の所得によっては確定申告が必要です。「年金収入400万円以下」かつ「年金以外の所得20万円以下」なら確定申告不要ですが、この要件に該当しない課税対象者は、確定申告しなければなりません。
また、確定申告不要制度の要件を満たす場合でも、源泉徴収所得税額の計算時に未反映の医療費控除などが使えれば、確定申告によって税金が還付される可能性があります。確定申告が必要な人(または確定申告したほうがいい人)は3月16日までに手続きを済ませましょう。
参考資料
西岡 秀泰