米国のAmazon.comは、2026年1月27日(現地時間)、レジなしコンビニ「Amazon Go」の全店舗を閉鎖し、大型スーパー「Amazon Fresh」からも独自のレジレス技術を撤退させることを明らかにしました。
SNSでは今回の発表を受け、「未来のショッピング体験」を目指した実験が失敗に終わったことに対する驚きの声が挙がっています。
1. 【Amazon Go全店閉鎖】2016年に試験導入された「レジなしコンビニ」
「未来のショッピング体験」として話題になった、レジなしコンビニ「Amazon Go」が全店閉鎖する1/4
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Amazon Goは、2016年にアマゾン社内に試験導入され、2018年に一般公開された「レジなしコンビニ」です。
「Just Walk Out(そのまま立ち去るだけ)」というキャッチコピー通り、入店時にアプリをかざせば、あとは棚から商品を取って店を出るだけで決済が完了する仕組みを採用し、「未来のショッピング体験」と話題になりました。
Amazon Freshは、同社が展開するスーパーマーケットチェーンで、こちらも「Just Walk Out」を応用した、数百台のカメラを駆使した画像認識、商品棚の重量センサー、AIによる商品識別などを一部採用していました。
※米国の「Amazon Fresh」は同名の日本国内のネットスーパー配送サービスとは異なります
2. 【Amazon Go全店閉鎖】撤退に至った経緯は?
今回の撤退にはいくつかの要因があります。
まず、コスト面です。
「Just Walk Out」を実現するためには、店舗の天井を埋め尽くす大量のカメラと、それを処理するための巨大なコンピューティングリソースが必要でした。
一見、人件費が削減されることで、低コストの店舗運営ができるようなイメージを持ちますが、実際は人件費を大きく上回るコストがかかっていました。
想像以上にテクノロジーを維持するコストがかさんでいたAmazon Go2/4
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次に消費者ニーズとの乖離です。
「レジに並ばなくていい」ことが強みである同業態ですが、支払った総額は数時間後にメールで届く仕組みになっていました。
これは「今いくら使ったのか」を知りたいユーザーからは不評だったようです。
3. 【Amazon Go全店閉鎖】今後はスマートカート「Dash Cart」に注力
一方で注意したいのは、Amazonがリテールテックの分野から撤退するわけではないということです。
今回のAmazon Go全店閉鎖およびAmazon Freshのレジレス技術撤退は、「Dash Cart」と呼ばれるスマートカートに注力するための戦略的な転換です。
今後、Amazonはスマートカート「Dash Cart」に注力していく方針3/4
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Dash Cartは、カート自体にスキャナーと画面がついており、商品を入れるたびに金額が表示され、専用レーンを通るだけで決済できる…という仕組みで、Amazon Go運営で明らかになったコスト問題や消費者ニーズの乖離の解消を目指しています。
Just Walk Out技術自体も、空港の売店やスタジアムのショップなど、短時間で少数の商品を買うニーズが極めて高い施設を運営する外部企業に対するライセンス事業という形で、継続される見込みです。
4. 【Amazon Go全店閉鎖】「時代が早すぎた」「日本はどうなる?」
今回のニュースを受け、SNSでは「時代が早すぎた」「結局、ハイテクより人件費の方が安かったということか」といった驚きの声が挙がっています。
実際に米国でサービスを体験したユーザーからは、「会計をせずにそのまま出る」という体験に「罪悪感があり、慣れなかった」などの反応も示されていました。
ただ、これを「壮大な社会実験」として賞賛する声も聞かれます。
「ビジネスとしては大失敗だったが、実験としては成功」「レジに並ぶ時間も人類にとっては無駄ではなかった」などのポジティブなコメントも見受けられました。
また、米国のスーパーマーケット「Amazon Fresh」と、日本で展開しているネットスーパー「Amazon Fresh」を混合している方も多くいらっしゃるようです。
同名で紛らわしいですが、それぞれ異なるサービスであり、今回のニュースで日本のAmazon Freshには言及されていません。
5. 【Amazon Go全店閉鎖】独自の進化を遂げる日本のリテールテック
Amazon Goは日本には上陸していませんが、JR東日本グループとサインポスト社の合弁会社が開発した「TOUCH TO GO」やダイエーがNTTデータと組んで展開している「CATCH & GO」など、多くのレジレスモデルに影響を与えました。
福岡発のスーパー「トライアル」が展開するスマートカートは、同社の省人化や収益向上に大きく貢献4/4
出所:株式会社トライアルホールディングス
また、福岡発のスーパー「トライアル」のように、これからAmazonが注力していくスマートカートを大規模に導入し、成功を収めている例もあります。
Amazon Go撤退の報を受け、「日本はどうなる?」という懸念も示されていますが、日本は完全無人化ではなく、低コストや省人化を目指すことで、独自の進化を遂げています。
今回のAmazonの失敗は、同社にとっても業界にとっても、多くの気づきを与えました。リテールテクノロジーがコスト度外視の実験から現実的な社会実装に進む大きな一歩になるかもしれません。
参考資料
大蔵 大輔