3. 4年連続《年金額面増》のウラで進む「実質的な目減り」の正体

年金額が引き上げられても「目減り」するのは、マクロ経済スライドという調整の仕組みがあるからです。

本来、年金は物価や賃金の上昇に合わせて増えるものですが、少子高齢化の中で制度を維持するため、物価の伸びをそのまま反映させないルールになっています。

具体的には、物価上昇率から「現役世代の減少」などを考慮した一定率を差し引いて、年金の増え幅をあえて低く抑えます。

3.1 「マクロ経済スライド」のイロハを整理!

2026年度(令和8年度)の年金額改定で基準とされた指標は、以下の通りです。

  • 物価変動率:+3.2%(2025年実績)
  • 名目賃金変動率:+2.1%
    (計算式:物価変動率+3.2% + 実質賃金変動率▲1.1% ※直近3年度平均)

2026年度の年金額は、物価の上昇に賃金の伸びが追いつかなかったことを受けて、伸び率の低い「賃金変動率(2.1%)」を基準に改定されました。

本来、物価が3.2%上がれば年金も同等に増えるのが理想ですが、法律により「物価より賃金の伸びが低い場合は、賃金に合わせる」というルールがあるためです。

さらに、ここから年金制度維持のための調整(マクロ経済スライド)として0.2%が差し引かれました。

結果として、最終的な改定率はさらに低く抑えられ、物価高による家計への影響をカバーしきれない「実質的な目減り」が生じています。

2026年度(令和8年度)の年金額の改定について

2026年度(令和8年度)の年金額の改定について

 

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

2026年度の改定で、公的年金額は4年連続のプラス改定となり「額面」は増えていることになります。

一方で、ひとりひとりが受け取る実際の受給額には現役時代の働き方による大きな「格差」が存在します。

次章では、平均受給額のデータをもとに、月額15万円以上の年金を受け取れている人のリアルな割合を紐解きます。