次回の年金支給日は、6月15日(月)です。
通常、公的年金は2か月分ずつまとめて偶数月の15日に振り込まれます。
また、一部の受給者は通常の年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」を受け取れます。
では、この年金生活者支援給付金とはどのような制度で、6月の年金支給日にひとり約1万1000円(2か月分)上乗せされるのはどんな人なのでしょうか。
本記事では、年金生活者支援給付金の対象者となる条件や受け取れる金額、申請手続きについて整理して解説します。ご自身やご家族が対象になるか、ぜひ確認してみてください。
1. 年金生活者支援給付金の対象者は?制度のポイントと条件
年金生活者支援給付金は、公的年金だけでは生活の維持が難しい低所得の年金受給者を支援するため、年金に上乗せして支給される制度です。
対象となるのは基礎年金(国民年金)を受給している人で、給付金には以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金(老齢基礎年金の受給者向け)
- 障害年金生活者支援給付金(障害基礎年金の受給者向け)
- 遺族年金生活者支援給付金(遺族基礎年金の受給者向け)
特に老齢年金生活者支援給付金の支給対象には厳しい所得要件があります。老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには、次の条件をすべて満たすことが必要です。
- 65歳以上で老齢基礎年金(国民年金)を受給していること
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること(世帯全体が住民税非課税)
- 前年の公的年金収入とその他の所得の合計額が一定以下であること
収入上限額は生年月日により異なり、たとえば1956年(昭和31年)4月2日以降生まれの方は年間90万9000円、1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの方は年間90万6700円となっています(※補足的老齢年金生活者支援給付金の対象基準を含む)。
厚生年金も受け取る人であれば、上記の金額を超える場合が多いです。
さらに、世帯内に一人でも課税者がいると対象外になるため、老齢年金生活者支援給付金を受け取れる人は限定的であることがわかります。
障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金については、老齢給付金より条件が緩やかです。これらは既に障害基礎年金または遺族基礎年金を受給する人が対象で、前年の所得が約479万4000円以下であれば支給を受けられます。
扶養親族の数に応じて若干上限額は増えますが、目安として給与収入に換算すれば単身で年収650万円程度に相当するため、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給している多くが条件を満たす仕組みになっています。
2. 年金生活者支援給付金はいくら受け取れる?
支給対象の条件を満たした場合、具体的にどれくらいの給付金が受け取れるのでしょうか。年金生活者支援給付金の2026年度の支給額の基準は以下の通りです。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給額
- 老齢年金生活者支援給付金: 月額 5620円(基準額)
- 障害年金生活者支援給付金: 月額 7025円(1級)、5620円(2級)
- 遺族年金生活者支援給付金: 月額 5620円
上記はあくまで基準額であり、実際の給付額はそれまでの保険料納付実績などに応じて算出されます。したがって老齢年金生活者支援給付金の場合、人によっては月額5620円より低い額となることもあります。
2025年3月時点の平均支給月額は老齢給付金で約4146円、障害給付金で約5727円、遺族給付金で約5228円となっており、多くの受給者は基準額より低い水準です。
ただし金額として決して大きくはなくても、限られた年金収入で生活する高齢者にとってはわずかでも家計の足しになる給付金といえるでしょう。
なお、給付金は年金と同じく2カ月に一度支給されます。偶数月の年金支給日に、いつもの年金振込口座へ2カ月分まとめて振り込まれる仕組みです。老齢年金生活者支援給付金を満額受け取れる場合、1回の支給につき約1万1200円(2カ月分)が振り込まれ、年間では約6万7400円ほど受け取れる計算になります。
支給された給付金は通帳上で年金とは別項目で記載されますので、振込額や受給の有無を確認する際は銀行の明細をチェックしてみてください。
3. 年金生活者支援給付金を受け取るには?申請手続きの流れ
年金生活者支援給付金は、該当する条件を満たしているだけでは自動的には支給されません。受け取りには請求手続きを行う必要があります。
支給対象と判定された人には、日本年金機構から請求手続き用の書類(請求書)が郵送で届きます。基本的には、送られてきた請求書(はがき型)に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了です。
郵送が難しい場合は、年金機構のサイト上でオンライン申請することも可能です。手続きが完了すると、原則として申請した月の翌月分から給付金の支給が始まります。
具体的に、どのようなケースで請求手続きが必要になるのか整理しておきましょう。
・ケース1:これから65歳になり老齢年金の受給を始める場合
老齢基礎年金の裁定請求(年金請求書)の案内が65歳到達前に郵送されてきますが、その封筒に年金生活者支援給付金の請求書も同封されています。年金請求書とあわせて給付金の請求書にも記入・提出すれば、年金受給開始と同時に給付金の支給も開始されます。
・ケース2:すでに年金を受給している場合
毎年、市町村から前年所得の情報提供を受けて日本年金機構が支給要件を確認しています。前年の所得状況などから新たに年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、毎年9月頃にハガキ形式の「年金生活者支援給付金請求書」が郵送されます。記入済みのハガキを返送することで手続き完了となり、翌偶数月分から支給が始まります。
・ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給中(65歳前から受給)の場合
繰上げ受給をしている人が65歳になる時点で、改めて給付金の支給要件に該当するか判定が行われます。受給権が発生すると見込まれる場合、65歳になる誕生月のはじめに請求書(はがき型)が送付されてくるため、必要事項を記入して返送してください。手続きが完了すれば、65歳到達後の初回年金支給分から給付金の受給が開始されます。
一度給付金の受給が始まれば、翌年度以降は改めて申請し直す必要はありません。支給要件を満たし続けている限り、自動的に毎年継続して支給されます。ただし、ご本人や世帯の所得増加などで条件から外れた場合には、日本年金機構から「不該当」の通知が届き、その年度分から給付金が停止となる点に留意しましょう。
4. 申請漏れを防ぐために
年金生活者支援給付金は、申請しなければ受け取れない給付金です。条件を満たしていても、手続きをしなければ支給は始まりません。特に今年度から新たに対象となった人は注意が必要です。
日本年金機構から届く請求はがきを放置すると、給付金を受け取れなくなる可能性があります。高齢の家族がいる場合は、案内が届いているかを家族が確認してあげることも大切です。
年金生活者支援給付金は、金額は小さくても生活の助けになる制度です。対象となる人は、申請漏れがないよう早めに確認しましょう。
参考資料
苛原 寛