確定申告の準備もいよいよ大詰め。日々、数字と格闘しながら「もっと効率よく資産を増やせれば……」とため息をついている方も多いのではないでしょうか。

2025年12月にJ-FLEC(金融経済教育推進機構)が発表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は、平均1940万円と前年から4割以上も増加。

この躍進を支えたのは、給与増ではなく新NISAなどを通じた「投資の成果」であるという現実が浮き彫りになりました。

投資の有無が資産格差を広げる中、リタイアまで残り15年という「ラストスパート期」にいる50歳代のリアルはどうなっているのでしょうか。最新調査から貯蓄の実態を紐解き、65歳までに資産を築くための「月5万円・積立投資」シミュレーションを解説します。

1. 【50歳代のリアルな貯蓄状況】平均1908万円の背景にある「資産運用の有無」

J‑FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、50歳代の二人以上世帯の金融資産の平均保有額は1908万円です。

一見十分な額に思えますが、より実態に近い中央値は700万円で、平均との間に1200万円以上の大きな差があります。

金融資産を全く持たない世帯は18.2%存在する一方、3000万円以上を保有する世帯も18.8%あり、50歳代の貯蓄状況は「二極化」が顕著です。

また、資産が増えた理由として、全世代(20歳代〜70歳代)では「株式・債券価格の上昇(38.7%)」や「配当・金利収入(35.0%)」が上位に挙がっており、資産形成の中心が「労働による貯蓄」から「運用による増加」へ移行している様子がうかがえます。

【20歳代~70歳代】二人以上世帯で「貯蓄が増えた」理由とは?(複数回答)1/3

貯蓄が増えた理由は?

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとに筆者作成

では、このデータを50歳代の世帯に絞って確認してみましょう。

1.1 50歳代・二人以上世帯「資産が増えた理由」は何がある?

  • 定例的な収入が増加したから:26.6%
  • 定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから:23.6%
  • 配当や金利収入があったから:29.5%
  • 土地・住宅等の実物資産の売却による収入があったから:3.0%
  • 相続、退職金等による臨時収入があったから:4.9%
  • 株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから:34.1%
  • 扶養家族が減ったから:4.6%
  • その他:10.2%

「給与の増加」よりも「運用益」の影響が大きくなっています。

役職定年などで労働収入の伸びが鈍化する50歳代にとって、資産を増やす主な手段は「お金に働かせること」へとシフトしているのかもしれません。

蓄えた資金を新NISAなどを活用して効率的に運用できるかどうかが、セカンドライフにおける格差を左右するポイントのひとつとなりそうです。

次に、3年目を迎えた「新NISA」の基本的な仕組みを整理してみましょう。

2. 【新NISAの基本をおさらい】「成長投資枠+つみたて投資枠」両方使えて生涯非課税

まず、新NISA制度の概要を確認しておきましょう。

NISAは、本来であれば運用益に約20.315%の税金がかかるところを、非課税で運用できる制度です。

この制度は2014年に導入され、2024年からは制度内容を見直した「新NISA」として運用されています。

2.1 新NISAの「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の特徴を整理

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴2/3

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

新NISA「成長投資枠」

  • 年間投資上限額:240万円
  • 非課税保有期間:無期限
  • 投資対象商品:上場株式・投資信託など

新NISA「つみたて投資枠」

  • 年間投資上限額:120万円
  • 非課税保有期間:無期限
  • 投資対象商品:長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託

非課税保有限度額(総枠):1800万円(うち成長投資枠1200万円)※枠の再利用が可能

新NISAの最大の特徴は、運用で得た売却益や配当金にかかる約2割の税金が非課税になる点です。

運用収益に税金がかからない仕組みのため、資産形成を考える際には、新NISAを選択肢のひとつとして検討する価値があります。

また、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を同時に利用できるため、資金の余裕や将来設計に応じて柔軟な投資が可能です。

毎月少額を積み立てたい場合は「つみたて投資枠」、まとまった資金で運用したい場合は「成長投資枠」といったように、目的に応じて使い分けられる点も魅力です。

さらに、非課税で保有できる期間が無期限となったことで、長期的に腰を据えて運用しやすい制度となっています。

3. 【新NISA】毎月5万円×15年積立継続→元本900万円はどこまで化けるのか【利回り別試算】

ここからは、具体的な数字を用いたシミュレーションを行い、実際に新NISAで運用した場合にどの程度の資産規模になるのかを確認していきましょう。

  • 期間:50歳から65歳までの15年間
  • 積立額:毎月5万円
  • 年利:1~5%

3.1 【試算結果】「毎月5万円」×15年×想定利回り「年率1~5%」で資産はいくらになる?

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果3/3

【新NISA】運用利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

想定利回り:資産評価額※元本は900万円

  • 年1%:970万6000円
  • 年2%:1048万6000円
  • 年3%:1134万9000円
  • 年4%:1230万5000円
  • 年5%:1336万4000円

元本900万円を年1〜2%で運用した場合、最終的な資産額はおおむね1000万円前後になると見込まれます。

仮に年4%の利回りで運用できれば約1200万円、年5%であれば1300万円を超える水準となり、運用成績によって結果には大きな差が生じます。

ただし、利回りは事前に確定しているものではなく、投資には元本割れのリスクも伴います。

許容できるリスクの範囲は家庭や個人によって異なるため、複数のシミュレーションを行い、自分に合ったリスク水準で運用計画を立てることが重要です。

4. まとめにかえて

J-FLECの調査が示す通り、今は「投資の有無」が将来の資産格差を左右する時代と言えそうです。

リタイアまで15年というラストスパート期にある50歳代にとって、残された時間をいかに運用の味方につけるかが、セカンドライフの質を決める鍵になります。

もちろん、投資には冷静なリスク管理が欠かせません。

新NISAは利益が非課税になる強力な制度ですが、万が一損失が出た際に、他の口座(特定口座など)の利益と相殺する「損益通算」ができないというデメリットもあります。そのため、運用はあくまで「余裕資金」で行うことが鉄則です。

メリットとリスクを正しく理解したうえで、新NISAが3年目を迎える2026年。春の新年度を控えた今こそ、将来の自分を支える「備え」を具体的に描き始めてみませんか。

参考資料