春の嵐のような確定申告の大詰めを迎え、税金の計算に追われながら「一体、世の中の『富裕層』はどうやって資産を築いているのか?」と思いを馳せている方も多いのではないでしょうか。街を歩けば、ホワイトデーを前に華やぐショーウィンドウが目を引き、新生活への準備で財布の紐が緩みがちな季節です。

かつては「遠い世界の住人」だった資産1億円以上の富裕層ですが、野村総合研究所の推計(2023年)において、その世帯数は165万世帯を超えています。日本の総世帯数(約5400万世帯)から計算すると、およそ33世帯に1世帯(約3%)が該当する計算です。 

近年は富裕層・超富裕層の世帯数は着実に増加しており、40歳代の段階ですでに一定の資産を築いている世帯もあります。

本記事では、最新データをもとに日本の富裕層の割合や富裕層に共通する行動を紹介します。

1. 資産1億円以上の富裕層は「全体の約3%」

株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」のデータをもとに、富裕層・超富裕層の資産保有額や日本全体に対する割合を見ていきましょう。

1.1 世帯数と純金融資産から見る日本の資産階層

【2023年の純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模/世帯数】

  • 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯/135兆円
  • 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯/334兆円
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯/333兆円
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯/282兆円
  • マス層(3000万円未満):4424万7000世帯/711兆円

純金融資産とは、預貯金、株式、債券、投資信託、保険などの金融資産の合計額から、住宅ローンなどの負債を差し引いた金額を指します。

1.2 富裕層は全体の3%

2023年時点で、日本の富裕層(1億円以上)と超富裕層(5億円以上)を合計した世帯数は、約165万3000世帯と推計されています。

日本の全世帯数に対しておよそ3%程度にあたります。

2. 日本の富裕層は増加傾向が続いている

富裕層・超富裕層は、ここ数年で明確な増加傾向を示しています。

【2023年】

  • 超富裕層:11万8000世帯
  • 富裕層:153万5000世帯

【2021年】

  • 超富裕層:9万世帯
  • 富裕層:139万5000世帯

【2019年】

  • 超富裕層:8万7000世帯
  • 富裕層:124万世帯

2019年から2023年にかけて、富裕層は124万世帯から153万5000世帯へ、超富裕層も8万7000世帯から11万8000世帯へと拡大しました。

資産価格の上昇や相続の増加などを背景に、富裕層は着実に裾野を広げています。

3. 40歳代2人以上世帯のアッパーマス層は13.1%

40歳代・二人以上世帯では、金融資産が3000万円以上の世帯が13.1%を占めており、一定数がアッパーマス層に到達しています。

【40歳代】二人以上世帯の貯蓄額の割合3/3

【40歳代】二人以上世帯の貯蓄額の割合

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに筆者作成

【40歳代】二人以上世帯の金融資産保有額の割合と平均・中央値

  • 金融資産非保有:18.8%
  • 100万円未満:10.0%
  • 100~200万円未満:6.2%
  • 200~300万円未満:5.1%
  • 300~400万円未満:4.4%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:7.3%
  • 700~1000万円未満:6.1%
  • 1000~1500万円未満:9.7%
  • 1500~2000万円未満:6.5%
  • 2000~3000万円未満:8.2%
  • 3000万円以上:13.1%
  • 無回答:2.1%

≪平均・中央値≫

  • 平均:1486万円
  • 中央値:500万円

40歳代二人以上世帯の貯蓄額の中央値は500万円にとどまっており、平均の1486万円との差から、資産保有額のばらつきが大きい世代であることがうかがえます。

収入の伸びや資産運用の有無によって、40歳代の段階ですでに将来の資産格差が広がり始めているといえるでしょう。

4. 富裕層に共通する3つの行動

資産1億円以上の富裕層は、特別な収入や運に恵まれた人ばかりではありません。

野村総合研究所の調査でも示されているように、近年は一般の会社員から「いつの間にか富裕層」へ移行するケースも増えています。

富裕層に共通してみられる行動を紹介します。

4.1 早い段階から「お金に働いてもらう」仕組みを作っている

富裕層の多くは、収入が大きく増える前から、株式や投資信託などのリスク性資産を活用し、長期・分散・積立を実践しています。

給与収入だけに依存せず、「確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)」や「NISAなどの非課税制度」を活用しながら、時間を味方につけて資産を育てています。

4.2 生活水準を急に上げず、支出をコントロールしている

資産が増えても生活水準は大きく変えません。

「いつの間にか富裕層」と呼ばれる層では、収入や金融資産が増えても、これまでと同じ生活スタイルを維持する傾向が見られます。

住居や車を頻繁に買い替えない、固定費を抑えた家計を維持するといった行動が、結果として資産の積み上がりにつながります。

上記の2つは「いつの間にか富裕層」になった人にもよく見られる傾向ですが、築いた資産を守り、さらに増やしていく「真の富裕層」には、次のような視点も備わっています。

4.3 資産全体を「俯瞰」して考えている

富裕層は、金融資産を単体で見るのではなく、世帯全体の資産・負債・将来のキャッシュフローを全体で捉える傾向があります。

「金融資産と住宅ローンのバランス」「退職金や年金を含めた老後資金」「相続を見据えた資産の持ち方」などを早い段階から意識しています。

商品選び以前に、「何のために、どれくらいの資産を持つのか」を整理して、長期的な資産形成の安定につなげていく点が特徴です。

5. まとめにかえて

資産1億円以上の富裕層は全体の約3%にとどまる一方、40歳代ですでにアッパーマス層に到達している世帯も一定数存在します。

この世代は、収入の伸びや資産運用への向き合い方によって、将来の資産階層が分かれ始める重要な分岐点にあります。

富裕層に共通する行動を知り、自分の家計やライフプランに照らして取り入れていくことが、これからの資産形成を考えるきっかけとなるでしょう。

参考資料

円城 美由紀