2. 「変動10年」の適用利率はどれくらい変わる?過去の推移から見る受取利子

「変動10年」の最大の特徴であり、大きなメリットと言えるのが、実勢金利に連動して半年ごとに適用利率が更新される点です。今後さらに金利が上昇する局面になれば、それに追随して受け取れる利子も増えていくため、インフレ対策としても心強い味方となります。

実際に金利がどのように動いたのか、具体的な事例で確認してみましょう。2023年6月に発行された「第158回債」を100万円分購入したケースを想定し、その後の利率推移を追いかけます。

個人向け国債「変動10年(第158回債)」受取利子シミュレーション3/4

個人向け国債「変動10年(第158回債)」受取利子シミュレーション

出所:財務省「個人向け国債 受取利子シミュレーション」

個人向け国債「変動10年(第158回債)」適用利率(税引前)の推移

  • 2023年6月16日~2023年12月15日:0.28%
  • 2023年12月16日~2024年6月15日:0.60%
  • 2024年6月16日~2024年12月15日:0.57%
  • 2024年12月16日~2025年6月15日:0.65%
  • 2025年6月16日~2025年12月15日:0.84%
  • 2025年12月16日~2026年6月15日:1.10%

発行当初は0.28%だった変動10年(第158回債)の適用利率が、直近では1.10%まで上昇していることが確認できます。

この国債を100万円分購入した場合に受け取れる利子をシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション:変動10年(第158回債)を100万円購入した場合の受取利子

  • 2023年6月16日~2023年12月15日:税引前1400円(税引後1116円)
  • 2023年12月16日~2024年6月15日:税引前3000円(税引後2390円)
  • 2024年6月16日~2024年12月15日:税引前2850円(税引後2271円)
  • 2024年12月16日~2025年6月15日:税引前3250円(税引後2589円)
  • 2025年6月16日~2025年12月15日:税引前4200円(税引後3346円)
  • 2025年12月16日~2026年6月15日:税引前5500円(税引後4382円)

※利子の受取時には20.315%の税金が差し引かれます。

最初の半年間に受け取れる利子は税引後で1116円でした。 しかし、半年ごとの利率見直しにより、発行から2年半が経過した現在(2025年12月~)では、1回あたりの受取額は税引後で4382円と、当初の約4倍まで増えている計算です。

このように、世の中の金利上昇をダイレクトに受取額へ反映できるのが、変動10年の最大の強みといえます。

2.1 注意しておきたい「中途換金」のルール

個人向け国債 中途換金のしくみ4/4

個人向け国債 中途換金のしくみ

出所:財務省「中途換金について」

個人向け国債は、発行から1年さえ経過すれば、いつでも1万円単位で中途換金が可能です。万が一、急にまとまった現金が必要になった際でも、一部または全額を解約できる流動性は、初心者の方にとっても大きな安心材料となります。

ただし、満期を待たずに売却(換金)する場合には、以下の計算で算出される「中途換金調整額」が差し引かれる点に注意しましょう。

中途換金調整額 = 直近2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685

ざっくり言えば、「直近1年分の利息を国に返す」というイメージです。

ここで注目したいのは、差し引かれる調整額はあくまで「運用で得られた利息」を充当する仕組みであるため、1年以上保有した後の換金であれば、預けた額面金額そのものはしっかり守られるという点です。

ただし、一点だけ注意しておきたいケースがあります。

個人向け国債は原則として発行から1年間は換金できませんが、災害時や相続などの「特例」により1年未満で中途換金する場合です。このケースでは、まだ十分な利息が支払われていない段階で調整額が差し引かれるため、受取額が投資した元の金額を下回る(=持ち出しが発生する)ことになります。

そのため、個人向け国債は「1年以上は確実に動かさないお金」で検討するのが賢明です。