老後の生活を支える公的年金は、原則として65歳から受給が始まり、繰下げ受給を選択している場合でも、75歳までには受給開始となります。

70歳代の多くはすでに老後の暮らしに入っていることから、「この年代ではどの程度の貯蓄を持っているのか」「収入はどのように成り立っているのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

年金収入だけで日々の生活をまかなえているのか、それとも貯蓄を取り崩しながら生活しているのかといった点は、身近な人にも聞きにくい話題です。

そこで本記事では、70歳代のシニア世代を対象に、貯蓄額や年金の月額、毎月の家計収支について、公的なデータをもとに解説します。

いまどきの70歳代の「ふつう」を知り、老後の暮らしを考える参考にしてみてください。

1. 【老後の貯蓄事情】70歳代の「平均貯蓄額」はいくら?

J-FLEC(金融経済教育推進機構)が12月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、70歳代の二人以上世帯における貯蓄額は、次のような結果となっています。

  • 平均:2416万円
  • 中央値:1178万円

なお、平均値は一部の多額の貯蓄を持つ世帯の影響を受けやすいため、実態を捉える指標としては中央値のほうが参考になると考えられます。

同調査によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額の中央値は1178万円でした。

平均値と中央値の差が1000万円以上あることから、シニア世帯の貯蓄状況にはばらつきが大きく、資産状況の二極化が進んでいる様子がうかがえます。

次章では、70歳代シニア世帯における貯蓄の割合について見ていきます。

1.1 【約10人に1人が貯蓄ゼロ】70歳代シニアの「貯蓄割合」をチェック

金融経済教育推進機構が公表した同調査では、70歳代・二人以上世帯の貯蓄保有状況についても示されています。

70歳代シニアの「貯蓄割合」グラフ(※無回答:0.6%を除く)1/3

70歳代シニアの「貯蓄割合」グラフ(※無回答:0.6%を除く)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」

  • 金融資産非保有:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.9%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:11.1%
  • 1500~2000万円未満:6.7%
  • 2000~3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%
  • 無回答:0.6%

70歳代の二人以上世帯の内訳を見ると、貯蓄額が100万円未満の世帯が約15%を占める一方で、3000万円以上の貯蓄を保有する世帯もおよそ25%にのぼっています。

この内訳から、老後に備えた資金状況は世帯によって差があり、同じ年代でも経済的な状況が大きく異なっていることがうかがえます。

では、70歳代の収入状況はどのようになっているのでしょうか。

次章では、現在の70歳代が受給している「平均年金月額」について見ていきましょう。

2. 【老後の収入事情】70歳代の「平均年金月額」はいくら?

続いて、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、70歳代シニアが受け取っている平均年金額を確認していきます。

2.1 【70歳代(70歳~79歳)】いまどきシニアの「厚生年金」の平均月額

厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、70歳代が受給している厚生年金の平均月額は次のとおりです。

厚生年金の平均月額(年齢:平均年金月額)

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

※厚生年金の支給額には、基礎年金にあたる国民年金分も含まれています。

2.2 【70歳代(70歳~79歳)】いまどきシニアの「国民年金」の平均月額

厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、70歳代が受給している国民年金の平均月額は次のとおりです。

国民年金の平均月額(年齢:平均年金月額)

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円

厚生年金は、現役時代の収入に応じて保険料が決まる仕組みであるため、世代や個人ごとに受給額に差が生じますが、平均すると月額はおおよそ14万円から15万円程度で推移しています。

一方、国民年金は保険料が一律であることから、平均的な受給額は月に6万円前後となっています。

ただし、これらはいずれも平均値であり、実際に受け取る年金額は、加入期間や働き方などによって大きく異なります。

ここまで見てきたように、貯蓄額や年金額には個人差がありますが、老後の家計収支はどのような状況なのでしょうか。

3. 【老後の家計収支】70歳代の「平均的な生活費」はいくら?

総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、無職(年金世帯)の70歳代・二人以上世帯における家計収支は、次のような状況となっています。

3.1 70〜74歳と75歳以上の「平均的な実収入」を見る

  • 70〜74歳:27万5420円
  • 75歳以上:25万2506円

3.2 70〜74歳と75歳以上の「平均的な支出」を見る

  • 70〜74歳:30万3839円(消費支出26万9015円・非消費支出3万4824円)
  • 75歳以上:27万3398円(消費支出24万2840円・非消費支出3万558円)

「70〜74歳」「75歳以上」のいずれの年代でも、毎月おおよそ2〜3万円程度、支出が収入を上回る状況が見られます。

支出が収入を上回る状態が続き、十分な貯蓄がない場合には、働き続けるという選択を迫られることもあるでしょう。

しかし、現役時代と同じような働き方を、いつまでも続けられるとは限りません。

そのため、ゆとりのある老後生活を実現するには、現役のうちから生活費の目安を把握し、計画的に貯蓄や資産形成を進めておくことが重要だといえるでしょう。

4. 平均だけでは見えない「老後の現実」

本記事では、70歳代のシニア世代を対象に、貯蓄額や年金の月額、毎月の家計収支について、公的なデータをもとに解説していきました。

平均的な数値を見ると、一定の資産や収入が確保されているように感じられますが、実際には世帯ごとの状況には大きな差があり、年金収入だけでは毎月赤字となるケースも少なくありません。

老後の生活を安定させるためには、こうした実態を踏まえ、自身の生活費や将来の収入見込みを把握したうえで、現役のうちから計画的に備えていくことが重要といえるでしょう。

まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を活用し、老後の収入の柱となる公的年金の受給見込額を確認してみてはいかがでしょうか。

参考資料

マネー編集部貯蓄班