財務省は2026年1月7日、1月募集分の個人向け国債に関する発行条件を発表しました。
変動10年の初回適用利率は1.39%と、12月募集分から0.16ポイント上昇し、固定5年も1.59%と魅力的な金利水準です。
なお、12月募集分の「応募額」は以下のとおり。
- 個人向け利付国庫債券(変動10年)第189回債:2112億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 5年) 第177回債:2136億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 3年) 第187回債:785億円
11月募集分の応募額は固定5年が変動10年を341億円上回っていましたが、12月募集分はその差24億円と縮まっています。金利上昇への期待が高まっている様子がうかがえます。
このような状況では、期間は10年と長いものの、半年ごとに適用利率が見直される「変動金利タイプ」に関心を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、最新の募集条件を紹介するとともに、金利上昇局面で魅力が増す「変動10年」の特徴や過去の金利推移について詳しく解説します。
1. 【2026年1月募集】個人向け国債の金利動向!変動10年は1.39%、固定5年は1.59%へ
「個人向け国債」は、日本政府が個人投資家を対象に発行する債券であり、日本国内で提供されている金融商品の中でも特に安全性が高い資産の一つとされています。
1.1 個人向け国債の3つの種類とそれぞれの特徴
個人向け国債には「変動金利10年」「固定金利5年」「固定金利3年」の3種類があります。
変動金利型(10年満期)
- 適用利率が半年に一度更新されます。
- 年率0.05%の金利が最低保証されています。
- 市場金利の上昇にあわせて受取利息が増えるのが大きなメリットです。
固定金利型(5年満期)
- 購入時に設定された利率が満期まで変わりません。
固定金利型(3年満期)
- 購入時に設定された利率が満期まで変わりません。
1.2 2026年1月募集分の発行条件をチェック
最新となる1月募集【募集期間:2026年1月8日(木)~1月30日(金)】における個人向け国債の金利は、以下の通りです。
- 変動10年:1.39%(12月募集分は1.23%、11月募集分は1.10%)
- 固定5年:1.59%(12月募集分は1.35%、11月募集分は1.19%)
- 固定3年:1.30%(12月募集分は1.10%、11月募集分は0.99%)
変動10年、固定5年、固定3年のいずれのタイプも、11月から1月にかけて段階的に金利が上昇していることがわかります。
もし10年以上使う予定のない資金で個人向け国債の購入を考える場合、変動10年にするか、固定5年にして満期が来たら再度固定5年を購入するかなど、選択に迷う方もいるかもしれません。
特に現在のように金利が上昇している局面では、今月購入するべきか、来月まで待つべきかなど、決断が難しいと感じることもあるでしょう。
変動10年と固定5年のどちらを選ぶか、判断の参考として変動10年の適用利率が過去にどのように変動してきたのか、具体的な事例を見ていきましょう。
2. 「変動10年」の適用利率はどう変わる?過去の推移から見る金利変動
2024年3月のマイナス金利政策解除を機に、日本の金利は緩やかに上昇する傾向が見られます。
実際の個人向け国債の金利がどのように推移しているのか、具体的に見ていきましょう。
個人向け国債「変動10年(第158回債)」適用利率(税引前)の推移
- 2023年6月16日~2023年12月15日:0.28%
- 2023年12月16日~2024年6月15日:0.60%
- 2024年6月16日~2024年12月15日:0.57%
- 2024年12月16日~2025年6月15日:0.65%
- 2025年6月16日~2025年12月15日:0.84%
- 2025年12月16日~2026年6月15日:1.10%
発行当初は0.28%だった変動10年(第158回債)の適用利率が、直近では1.10%まで上昇していることが確認できます。
この国債を100万円分購入した場合に受け取れる利子をシミュレーションしてみましょう。
シミュレーション:変動10年(第158回債)を100万円購入した場合の受取利子
- 2023年6月16日~2023年12月15日:税引前1400円(税引後1116円)
- 2023年12月16日~2024年6月15日:税引前3000円(税引後2390円)
- 2024年6月16日~2024年12月15日:税引前2850円(税引後2271円)
- 2024年12月16日~2025年6月15日:税引前3250円(税引後2589円)
- 2025年6月16日~2025年12月15日:税引前4200円(税引後3346円)
- 2025年12月16日~2026年6月15日:税引前5500円(税引後4382円)
※利子の受取時には20.315%の税金が差し引かれます。
最初の半年間に受け取れる利子は税引後で1116円でした。
しかし、適用利率は半年ごとに着実に上昇し、2年半後には税引後で4382円と、約4倍に増えている計算です。
こうした利子の増加は大きな魅力ですが、もし途中で現金化する必要が生じた場合はどうなるのでしょうか。
個人向け国債は発行から1年が経過すれば中途換金できますが、その際には直近2回分の利子(税引前)に相当する金額に0.79685を掛けた額が差し引かれます。売却するタイミングによっては、直近1年分の利子がほとんど手元に残らない可能性もあるため、当面使う予定のない余裕資金で運用することが大切です。
また、適用利率が常に上昇し続けるとは限らない点にも注意が必要です。
市場の金利動向次第では、将来的に適用利率が下がる可能性もあることを理解した上で、購入を検討することが重要です。
3. 変動10年と固定5年、どちらを選ぶべきか
長らく「金利」がほとんど付かない時代を過ごしてきました。
「どこに預けていても同じ」、「0.01%も0.02%も大差ない」
金利のない世界では、このような迷いが少なかったように思います。
しかし状況は一変。金利が1%を超えてくると「少しでも金利の高い方」を選びたくなるものです。
個人向け国債においては、変動10年より固定5年の方が金利が高くなっています。ただし、変動10年は半年後に適用利率が上昇する期待があります。半年後に固定5年の金利を超え、さらに半年ごとに利率が上昇していく可能性があるのですから、「変動10年」か「固定5年」かと悩む方は少なくないでしょう。
金利の上昇が期待されていますが、絶対に上がると確約されているわけではありません。
期待を込めた「変動10年」、確約された金利を着実に受け取る「固定5年」と資産を分けておくのも一案です。
※再編集記事です。
参考資料
- 財務省「個人向け国債の発行条件等」
- 財務省「個人向け国債 受取利子シミュレーション」
- 財務省「国債金利情報」
- 日本銀行「2025年12月金融政策決定会合での決定内容」
- 財務省「個人向け国債窓口トップページ」
- 財務省「変動10年「第158回債」」
- 財務省「知る|個人向け国債」
- 財務省「個人向け国債の応募額(令和7年11月)」
- 財務省「個人向け国債の応募額(令和7年12月)」
- LIMO「【1月募集】「個人向け国債」変動10年は1.39%スタート!固定5年は1.59%に…変動金利タイプは”半年ごと”に「適用利率」がどれくらい上下する?」
和田 直子