2026年を迎え、資産形成の目標を立てている方もいるのではないでしょうか。

通常、資産運用で得た利益に対して20.315%の税金がかかります。

しかし、税制優遇制度の新NISAを活用すると、20.315%の税金はかかりません。

そのため、新NISAを活用した資産形成に取り組む方が増加傾向にあります。

ただし、投資には価格変動リスクなどが伴うため、実際にどれくらいの成果が期待できるのか、不安を感じる方もいるでしょう。

この記事では、50歳~65歳までの15年間にわたり、新NISAで毎月5万円を積み立てた場合の資産額をシミュレーションします。

想定利回りごとの具体的な資産推移や、新NISAの重要なポイントを分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1. 新NISAを活用するメリットとは?税制優遇制度の基本をおさらい

NISA(ニーサ)は、個人の資産形成を支援するために2014年に導入された制度です。2024年からは制度が新しくなり、「新NISA」として運用が開始されています。

この制度の最大の魅力は、投資で得られた利益が非課税になる点にあります。

通常、株式や投資信託などを売却して得た利益(売却益)や受け取った配当金には、約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座を通じて得た利益には税金がかかりません。

これにより、運用によって生まれた収益をそのまま受け取ることが可能になります。

新NISA「非課税」のしくみ1/7

新NISA「非課税」のしくみ

出所:金融庁「NISAを知る」

ただし、NISAで投資できる金額や対象商品には上限や条件が定められています。制度を有効活用するためには、これらの内容を事前にしっかり理解しておくことが重要です。

1.1 新NISA制度の6つの重要ポイント

新しいNISA制度には、主に以下の6つの特徴があります。

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴2/7

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

  1. 非課税で保有できる期間に上限がない
  2. 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を同時に利用できる
  3. 年間の投資上限額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円
  4. 生涯にわたる非課税保有限度額は合計1800万円(うち成長投資枠は最大1200万円)で、売却枠の再利用が可能
  5. つみたて投資枠では「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」が対象
  6. 成長投資枠では「上場株式や投資信託など」が対象

「投資」と聞くと、まとまった資金が必要だと考える方もいるかもしれません。

しかし、実際には500円や1000円といった少額から始められる金融商品も多く存在します。NISAを利用すれば、投資信託や株式を少額から購入できるため、投資が初めての方でも始めやすいのが魅力です。

次の章では、毎月コツコツと積立投資を続けた場合、将来的にどれくらいの資産を築ける可能性があるのか、シミュレーション結果で見ていきましょう。

2. 【利回り別】50歳から月5万円積立シミュレーション

NISAを活用して積立投資を行った場合、どの程度の資産形成が期待できるのかを試算します。

今回は、以下の条件で、想定する利回りを年1%から5%の範囲で変動させた場合のシミュレーション結果を見ていきます。

  • 50歳から65歳までの15年間で老後資金を準備する
  • 毎月の積立額は5万円とする
  • 投資先の想定利回りを年率1~5%と仮定する

2.1 15年間・毎月5万円を年率1~5%で運用した場合の結果

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果3/7

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

想定利回りごとの資産評価額(元本900万円)

  • 年1%の場合:970万6000円
  • 年2%の場合:1048万6000円
  • 年3%の場合:1134万9000円
  • 年4%の場合:1230万5000円
  • 年5%の場合:1336万4000円

15年間にわたって毎月5万円の積立投資を続けると、運用次第では資産総額が1000万円を超える可能性があります。

積立元本の合計は900万円ですが、想定利回りによっては約70万円から最大で436万円ほどの利益が上乗せされる計算です。

ただし、投資には価格が変動するリスクが常に伴います。一般的に、高いリターンを期待できる金融商品ほど、リスクも大きくなる傾向があります。

この点を十分に理解し、ご自身の家計状況に合わせた無理のない範囲で活用することが大切です。

3. 目標2000万円!15年間の積立シミュレーション【積立額別】

老後に必要な資金額は、家族構成やライフスタイルによって異なりますが、ここでは目標額を2000万円と仮定してみましょう。

50歳から65歳までの15年間でこの目標額を達成するには、毎月いくらずつ積み立てる必要があるのか、シミュレーションで確認します。

3.1 年率3%で15年間運用した場合の結果

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果4/7

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

毎月の積立金額と資産評価額

  • 1万円の場合:227万円
  • 3万円の場合:680万9000円
  • 6万円の場合:1361万8000円
  • 9万円の場合:2042万8000円
  • 12万円の場合:2723万7000円

※想定利回り:年3%

この試算によると、年利3%で15年間運用した場合、毎月9万円を積み立てることで、資産額が2000万円を超えることが期待できます。

しかし、月々9万円の積立は家計にとって大きな負担となる可能性があります。また、利回りは保証されたものではありません。

運用状況が想定通りに進まず、目標額に達しないリスクも考慮する必要があります。

これらの点を踏まえると、老後資金の準備はできるだけ早い時期から始めることが望ましいと言えます。

例えば、30歳から65歳までの35年間、同じ年利3%で積み立てる場合、毎月の必要積立額は2万6971円にまで抑えることが可能です。

このように、時間を味方につけることで月々の負担を軽くし、着実に将来に向けた資産形成を進めることができます。

次に、税金の負担を軽くする仕組みである「所得控除と税額控除」について解説します。

4. 所得控除と税額控除の違いとは?税負担が軽くなる仕組みを解説

所得控除と税額控除、どこが違う?5/7

所得控除と税額控除

出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成

年末調整や確定申告でよく耳にする「控除」は、税金の負担を軽減するための制度です。控除には、大きく分けて「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。

この2つの控除の違いを整理してみましょう。

4.1 所得控除:課税対象となる所得を減らす仕組み

所得控除=収入から課税所得を減らす6/7

所得控除=収入から課税所得を減らす

出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成

所得控除とは、税金を計算する基礎となる「所得」の金額を、個人の事情に応じて「収入」から差し引くことができる制度です。

所得控除にはどんな種類がある?

雑損控除(※)、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除(※)、基礎控除(※)

※日本国内に住所がないなどの非居住者が適用できる所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3つです。

所得控除額の計算プロセス

課税所得金額 = 収入金額 - 給与所得控除額 - 所得控除額の合計

  1. 年収(給与総額)から給与所得控除などを差し引き、所得金額を算出します。
  2. 算出された所得から、生命保険料控除や扶養控除といった各種「所得控除」を差し引きます。
  3. 最終的に残った「課税所得」に所定の税率を掛けて、所得税額が決定します。

所得控除による節税効果の特徴

所得控除は、税率を掛ける前の「課税所得」を減らすことで、結果的に納税額を抑える効果があります。所得税は所得が高い人ほど高い税率が適用されるため、所得控除による節税効果は高所得者ほど大きくなる傾向があります。

4.2 税額控除:算出された税額から直接差し引く仕組み

税額控除=納税額から一定額を減らす7/7

税額控除=納税額から一定額を減らす

出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成

税額控除は、課税所得に税率を掛けて算出した税額から、直接一定の金額を差し引くことができる制度です。

税額控除の代表的な種類

配当控除、分配時調整外国税相当額控除、外国税額控除、政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅等新築等特別税額控除などがあります。

税額控除額の計算プロセス

実際に納める税額 = (課税所得金額 × 税率 - 税率に応じた控除額) - 税額控除額の合計

  1. 所得控除を適用した後、課税所得に税率を掛けて「納めるべき税額」を計算します。
  2. その「納めるべき税額」から、住宅ローン控除などの「税額控除」を直接差し引きます。
  3. 最終的に残った金額が、実際に納付する税額となります。

税額控除による節税効果の特徴

税額控除は、算出された税額そのものから直接差し引かれるため、所得の金額にかかわらず、誰もが控除額と同じ分だけ税負担が軽減されます。

4.3 所得控除と税額控除を上手に活用して税負担を軽減

このように、所得控除は税率を適用する前の課税所得を減らすため、所得が高い人ほど節税効果が大きくなります。一方、税額控除は算出された税額から直接差し引くため、所得にかかわらず誰もが等しく税負担を軽減できるのが特徴です。(ただし、税額控除の合計額が算出税額を超える場合、その超えた分は控除されません)

税金の負担を効率的に軽くするためには、これら2つの控除の仕組みを正しく理解し、活用することが重要です。

年末調整や確定申告を行う際には、ご自身が適用できる控除を漏れなく申告するようにしましょう。

5. 新NISAを活用した計画的な資産形成を

ここまで、50歳~65歳までの15年間にわたり、新NISAで毎月5万円を積み立てた場合の資産額を想定利回りごとにシミュレーションした結果を解説しました。

新NISA制度の開始をきっかけに、資産運用を始める人は年々増加傾向にあります。

資産運用には利益が期待できる一方で、価格変動などのリスクも伴いますが、「長期・分散・積立」という投資の基本を実践することで、リスクを抑えながら運用することが期待できます。

ただし、生活費を資産運用にまわすのではなく、余剰資金を用いて家計やライフスタイルに合った方法で資産形成を目指すことが大切です。

この機会に、将来に向けた資産形成について考えてみてはいかがでしょうか。

※当記事は再編集記事です。

参考資料