2026年に入り、金利の動向に改めて注目が集まっています。日本銀行の金融政策が転換点を迎える中、安全性の高い運用先として「個人向け国債」の人気が再び高まりつつあります。
特に、1月適用の最新利率が1.39%となった「変動10年」は、金利上昇局面の恩恵を受けやすい商品として関心が高まっています。
個人向け国債は元本が国により保証される、極めて安全性の高い金融商品です。一方で、変動金利型・固定金利型それぞれの特性を理解しないと、金利環境に対する期待と実際の利回りにズレが生じることもあります。
本記事では、2026年1月の最新利率、変動10年の過去の適用利率の推移、そして「今が買い時なのか」という投資判断の考え方を、元証券マンの視点でわかりやすく解説します。
1. そもそも個人向け国債とは?
個人向け国債は、国が個人投資家向けに発行する債券で、元本が国によって保証されていることが最大の特徴です。
銀行預金と同様に安全性が高く、満期まで保有すれば元本割れの心配はありません。
また、利息が安定して受け取れるため、「リスクを抑えながらお金を増やしたい」という人にとって利用しやすい商品であり、シニア層を中心に根強い人気があります。
個人向け国債には、金利のタイプや満期によって次の3種類が用意されています。
1.1 変動金利:10年満期(変動10年)
半年ごとに金利が見直されるタイプで、市場金利に連動して利率が変動します。
物価上昇や金融環境の変化による影響を受けやすく、金利上昇局面では利息が増えやすい点が魅力です。
一方で、金利が下がる局面では利回りも低くなるため、市場動向に応じて受け取れる利息が変わる点には注意が必要です。
変動金利のメリットを取り入れたい人に向いているでしょう。
1.2 固定金利:5年満期(固定5年)
満期まで金利が一定のまま変わらないタイプです。運用期間中の利回りがあらかじめ分かるため、見通しを立てやすいのが大きなメリットです。
金利が上昇した場合でも契約時の利率が続くため、変動金利型と比べると上昇局面では相対的に見劣りする可能性があります。
それでも安定性を重視したい人には適した選択肢といえます。
1.3 固定金利:3年満期(固定3年)
運用期間が短めで、利率は満期まで固定されます。
「金利変動の影響を受けたくない」「普通預金より少しでも有利に運用したい」という人に選ばれやすいタイプです。
期間が3年と短いため、資金を長く拘束されたくない人や、初めて個人向け国債を購入する人にも利用しやすい設計となっています。
2. 【2026年1月】個人向け国債「変動10年」の金利は1.39%へ
足元では金利が上昇傾向にあることから、個人向け国債の利回りも上昇しています。
そのため、「安全性を確保しながら、少しでも利回りを得たい」という層にとって魅力的な選択肢となっています。
今月の個人向け国債 募集期間:令和8年1月8日(木)~1月30日(金)
個人向け国債の種類:利率
- 第190回変動金利型10年満期:初回利子の適用利率(年率)1.39%※税引前
- 第178回固定金利型5年満期:利率(年率)1.59%※税引前
- 第188回固定金利型3年満期:利率(年率)1.30%※税引前
特に変動10年は、市場金利に応じて半年ごとに利率が見直されるため、将来的に金利が上昇した場合、その恩恵を受けやすい点が強みです。
そのため、金利上昇局面では販売額が増える傾向が顕著に見られます。
一方で固定5年は、利率が満期まで変わらないため、資金計画を立てやすい点が支持を集めています。
一定期間は金利上昇の影響を受けないため、「安定した利回りを確実に確保したい」という人に向いています。
3. 個人向け国債「変動10年」半年ごとの利率はどうなっている?
個人向け国債「変動10年」は、その名のとおり 半年ごとに利率が見直されるタイプ で、市場金利の動きをダイレクトに反映する仕組みになっています。
一例として、2023年2月に発行された国債の適用利率を見てみましょう。
【個人向け国債「変動10年(第154回債)」適用利率の推移】
- 令和5年2月16日から令和5年8月15日:0.33%
- 令和5年8月16日から令和6年2月15日:0.28%
- 令和6年2月16日から令和6年8月15日:0.40%
- 令和6年8月16日から令和7年2月15日:0.72%
- 令和7年2月16日から令和7年8月15日:0.75%
- 令和7年8月16日から令和8年2月15日:0.96%
- 令和8年2月16日から令和8年8月15日:1.39%
このように、金利が上向く局面では、変動金利型ならではのメリットが発揮されやすく、受け取れる利息も増えやすくなります。
一方で、変動10年の利率は市場金利に連動して下がることもあります。将来の利回りが確定していない点は、固定金利型とは異なる特徴であり、理解しておくべきポイントです。
とはいえ、元本は国の保証があるため、利率の上下があっても大きなリスクを取りたくない人にとっては、金利変動の恩恵を受けながら安全性も確保できる選択肢といえるでしょう。
4. 個人向け国債は今、買うタイミングなのか?
個人向け国債は、株式や投資信託のように値上がり益を狙う商品ではありません。
その役割はあくまで、元本の安全性を最優先しながら、金利環境の変化を一定程度取り込む「資金の置き場所」です。
その前提に立ったうえで、「金利上昇局面の考え方」と「これからさらに金利が上がる可能性への向き合い方」を整理していきましょう。
4.1 「金利上昇局面」での考え方
金利が上昇局面に入ると、「今すぐ買うべきか、もう少し待つべきか」で悩む人が増えます。
結論から言えば、個人向け国債は一括購入よりも「時期分散」が基本です。
変動10年は、半年ごとに適用利率が見直される仕組みを持っていますが、購入時点の金利水準が将来の利回りに影響を与えるのも事実です。
金利がさらに上昇すれば、後から買った国債のほうが高い利率でスタートする可能性があります。
そのため、「今が天井か底か」を予測してタイミングを計るといった行動は、合理的とは言えません。
4.2 これからさらに金利が上がる可能性への向き合い方
今後の金利動向について、確実な予測は不可能です。市場では「追加利上げの可能性」や「一時的な調整」など、さまざまな見方が交錯しています。
ここで重要なのは、個人向け国債に金利上昇の完全な取り込みを期待しすぎないことです。
変動10年は市場金利に連動するとはいえ、基準金利に対して一定の掛け目がある点や、利率の見直しは半年に一度といった制約があります。
つまり、短期的な金利上昇をフルに享受する商品ではありません。
その代わり、「金利が下がれば最低利率が保証される」「金利が上がれば、時間差で利率も引き上げられる」という非対称的なリスク構造を持っています。
この点を理解したうえで、「今後も金利が動く可能性があるなら、少しずつ持っておく」という姿勢が、現実的な向き合い方といえるでしょう。
5. まとめ
個人向け国債は、元本保証を前提に安定的な利息を受け取りたい人にとって、有力な選択肢です。
2026年1月時点では「変動10年」が1.39%と上昇しており、金利上昇局面のメリットを取り入れやすい環境が続いています。
一方で、変動金利型は市場金利と連動するため利率が下がる可能性もあり、将来の利回りが確定しているわけではありません。
そのため、個人向け国債を購入する際は「タイミングを完璧に当てにいく」のではなく、複数回に分けて購入するなど、時期分散を前提にした向き合い方が現実的です。
短期的な金利変動に一喜一憂せず、安全性と利回りのバランスを意識しながら、自身の資産計画に合った運用方法を選びましょう。
参考資料
加藤 聖人