「労務費の価格転嫁」は、人件費などコスト上昇分を商品やサービスの価格に反映させて調整することを指します。

価格転嫁を行うことで、企業は収益性を維持でき物価高に負けず働いている人たちに賃上げを行うことが可能。企業は、コストが上がっても従業員の給料を減らすことなく経営を続けられます。

しかし、原材料費やエネルギーコストに比べ、労務費の価格転嫁は低い水準で推移している現状です。特に受注者側になることが多い中小企業には、「労務費の価格転嫁」が大きな課題です。

そこで、今回は「労務費の価格転嫁」を実現するための基礎知識や相談窓口を、政府広報オンラインに記載されている情報より詳しく説明します。

※投稿の画像は【写真】をご参照ください。

1. 「労務費の価格転嫁」とは何を指すのか? 基本情報を解説

現在、中小企業をはじめ多くの企業が以下のような悩みを抱えています。

  • 「労務費が上がったので取引価格の引上げをお願いしたいけれど、発注減少や取引停止などを考えると言い出せない」。
  • 「労務費上昇分の価格交渉をしたいけれど、どうやって交渉すればよいか分からない」。
  • 「取引価格について労務費の上昇分の引上げをお願いしたら、『労務費は生産性を高めることでまかなってください』と言われた」。

労務費を価格転嫁することができない企業が多い一方で、労務費に関わる価格交渉は多くの取引で行われます。

43業種・12万事業者を対象とした公正取引委員会の「令和7年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」では、全ての商品・サービスについて価格交渉をした割合は60.9%、一部の商品・サービスについて価格交渉をした場合も含めると69.7%に。

また、労務費の要請受諾率について2025年度調査では67.4%と前年度調査から5.0ポイント上昇し、受注者の要請に対して取引価格が引き上げられている状況です。