2026年を迎え、「お金の使い方」や「将来設計」について考えている方もいるでしょう。

特に30代や40代の方々にとって、老後の生活を支える公的年金は大きな関心事ではないでしょうか。

しかし、自分が将来いくら受け取れるのか、具体的な金額をイメージするのは難しいかもしれません。

この記事では、公的年金の基本的な仕組みや、今のシニア世代が受給している平均年金月額を解説します。

ご自身のライフプランニングに役立てていただければ幸いです。

1. 公的年金の基本構造「国民年金」と「厚生年金」の2階建ての仕組みとは

日本の公的年金制度は、建物に例えて「2階建て」構造と呼ばれています。1階部分が基礎となる「国民年金」、2階部分が上乗せの「厚生年金」で構成されています。

厚生年金と国民年金の仕組み1/6

厚生年金と国民年金の仕組み

出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられている制度で、公的年金の土台となります。保険料(※1)は、所得にかかわらず一律の金額です。

一方、厚生年金は会社員や公務員などが国民年金に加えて加入する制度です。保険料(※2)は毎月の給与や賞与の額に応じて決まります。

20歳から60歳までの40年間(480カ月)すべて国民年金保険料を納付すると、65歳から満額(※3)の老齢基礎年金が支給されます。

保険料の未納期間がある場合は、その期間に応じて年金額が減額されます。

厚生年金の受給額は、加入していた期間の長さと、現役時代に納めた保険料の総額によって算出されます。

※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円です。
※2 保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて計算されます。
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円です。

2. 【2025年度】年金受給額のモデルケース。夫婦2人世帯では月額約23万円に

日本年金機構が公表した資料によると、2025年度における年金額のモデルケースは以下のようになっています。

  • 国民年金(老齢基礎年金):1人分で月額6万9308円(※1)
  • 厚生年金:夫婦2人分で月額23万2784円(※2)

※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は、月額6万9108円です。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)を得ていた夫が40年間就業し、妻が専業主婦だった場合の給付水準です。老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)を合算した額となります。

このモデル世帯の場合、夫婦2人で受け取れる年金は月額「23万2784円」となります。この金額は、夫の老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金を合計したものです。

3. 【最新データ】厚生年金・国民年金の平均受給額と金額別の分布を解説

ここからは、厚生労働省の最新データをもとに、実際に年金を受け取っている方々の平均月額や、金額ごとの受給者数分布を見ていきましょう。

3.1 厚生年金の平均受給額はいくら?男女別の金額と分布

厚生労働省年金局の『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均受給月額は以下の通りです。

  • 全体:14万6429円
  • 男性:16万6606円
  • 女性:10万7200円

※国民年金部分を含む

厚生年金の受給額を1万円単位の階級別に見ると、以下のようになっています。

  • 1万円未満:4万4420人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人
  • 2万円以上~3万円未満:5万231人
  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人
  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人
  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人
  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人
  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人
  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人
  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人
  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人
  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人
  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人
  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人
  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人
  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人
  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人
  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人
  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人
  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人
  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人
  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人
  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人
  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人
  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人
  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人
  • 27万円以上~28万円未満:4万268人
  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人
  • 29万円以上~30万円未満:9652人
  • 30万円以上~:1万4292人

全体の平均月額は約14万6000円ですが、男女別に見ると大きな差があります。男性が約16万7000円であるのに対し、女性は約10万7000円と、約6万円の開きがあることがわかります。

3.2 国民年金の平均受給額はいくら?男女別の金額と分布

同じく厚生労働省年金局の『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』から、国民年金の平均受給月額を見てみましょう。

  • 全体:5万7584円
  • 男性:5万9965円
  • 女性:5万5777円

国民年金の受給額を1万円単位の階級別に見ると、以下のようになっています。

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

国民年金の平均月額は、全体・男女別ともに5万円台後半です。受給額の分布を見ると「6万円以上~7万円未満」の層が最も多く、多くの受給者が満額に近い金額を受け取っている状況がうかがえます。

4. 高齢者世帯の平均所得と内訳:収入の約6割が公的年金

次に、高齢者世帯(※)が年間にどれくらいの所得を得ているのか、厚生労働省の『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』で確認します。

※高齢者世帯とは、65歳以上の方のみで構成されるか、65歳以上の方と18歳未満の未婚者が同居する世帯を指します。

高齢者世帯における平均所得の内訳は以下の通りです。
(カッコ内は総所得に占める割合)

総所得:314万8000円 (100.0%)

【内訳】

  • 稼働所得:79万7000円(25.3%)
    • うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
  • 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
  • 財産所得:14万4000円(4.6%)
  • 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円(0.6%)
  • 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:18万9000円(6.0%)

高齢者世帯の平均総所得は年間314万8000円で、月額にすると約26万円です。

そのうち最も大きな割合を占めるのが「公的年金・恩給」で200万円(63.5%)、次いで仕事による「稼働所得」が約80万円(25.3%)となっています。

このデータから、多くの高齢者世帯が公的年金を主な収入源としつつ、就労によって生計を補っている実態が見て取れます。

※雇用者所得とは、世帯員が勤務先から受け取った給料・賃金・賞与の合計額(税金や社会保険料が引かれる前の金額)です。

5. 高齢者世帯の約4割は「収入のすべてが公的年金」という実態

再び厚生労働省の『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』を参照すると、高齢者世帯(※)の収入源について、さらに詳しい実態が明らかになります。

平均値では公的年金が収入の約6割を占めていますが、より詳細に見ると、収入の100%を「公的年金・恩給」に頼っている世帯が43.4%にも達することがわかっています。

※高齢者世帯とは、65歳以上の方のみで構成されるか、65歳以上の方と18歳未満の未婚者が同居する世帯を指します。

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成6/6

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出典:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

総所得に占める公的年金の割合で見た世帯構成は以下の通りです。

  • 100%の世帯:43.4%
  • 80~100%未満の世帯:16.4%
  • 60~80%未満の世帯:15.2%
  • 40~60%未満の世帯:12.9%
  • 20~40%未満の世帯:8.2%
  • 20%未満の世帯:4.0%

このように、高齢者世帯全体で見ると就労収入なども一定の割合を占めますが、年金を受給している世帯に限定すると、約4割が公的年金だけで生活しているという現実が浮かび上がります。

6. 自身の年金情報を把握し、計画的な老後準備を

ここまで、公的年金の基本的な仕組みや、今のシニア世代が受給している平均年金月額を解説しました。

データからは、厚生年金受給者の平均月額が14万円台であることや、受給額には個人差が大きいことがわかります。

そのため、ご自身の将来の年金見込額を「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で、あらかじめ把握しておくことが大切です。

豊かな老後生活を送るためには、公的年金だけに頼るのではなく、家計に合った方法で新NISAなどの税制優遇制度やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった私的年金を活用し、計画的に資産形成を進めることも選択肢の1つとなるでしょう。

ご自身のライフプランに合わせて、最適な準備方法を検討してみてはいかがでしょうか。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

※この記事は再編集記事です。

参考資料

長井 祐人