2026年の新年を迎えました。物価高が続いた2025年は、食料品や光熱費など身近な支出の増加を実感した方も多かったのではないでしょうか。モノやサービスの価格上昇は、私たちの家計に今も影響を与えています。
こうした状況を受け、生活保護制度では物価高への対応として、2025年10月から特例加算が500円上乗せされました。今回の見直しにより、加算額は合計1500円となっています。
では、最新の制度では生活保護はいくら受給できるのでしょうか。また、生活保護を受けるうえで知っておきたい注意点や、受給中に気をつけたいことにはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、生活保護の最新の受給額や制度のポイントを、分かりやすく解説します。
1. 【生活保護】4つの受給要件と保護対象者が受けられる「8つの扶助」とは?
生活保護は、資産や能力を活用してもなお生活に困窮する人に対し、必要な保護をして、最低限度の生活を保障し自立を助長するものです。
保護を受けるには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
- 資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。
- 能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。
- あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。
- 扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。
上記の4つを満たしても、満足な収入を得られないと認められたら、はじめて生活保護の対象となるしくみです。
保護対象者が受けられる扶助には、以下のようなものがあります。
- 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
- 住宅扶助:アパート等の家賃
- 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
- 医療扶助:医療サービスの費用
- 介護扶助:介護サービスの費用
- 出産扶助:出産費用
- 生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
- 葬祭扶助:葬祭費用
とくに、日常生活に必要なお金を支援する「生活扶助」や、家賃を支援する「住宅扶助」は、ほとんどの人が支給の対象になるため、保護期間中は毎月のように受け取ります。このほかの扶助については、基本的に法律で定められた範囲内で実費支給されます。
次章では、生活保護の受給額を試算してみましょう。
2. 【生活保護】いくらもらえる?「全国一律ではない保護費」級地区分とは
2025年10月以降の制度をもとに、実際に受け取れる保護費を計算してみましょう。
生活保護費は、全国一律ではありません。地域や世帯人数、年齢によって支給される金額は変わります。その地域の最低生活費から収入を差し引いた金額が、保護費として支給されます。
最低生活費が決まる要素のなかでも「級地」は影響が大きいものです。級地は、自治体を物価や生活水準によって区分したもので、以下の6つに分かれます。
- 1級地-1
- 1級地-2
- 2級地-1
- 2級地-2
- 3級地-1
- 3級地-2
1級地ほど支給額が高く、2級地、3級地となるにつれて、保護費は次第に減額されていきます。
そして、生活保護は、前述のとおり基本的には「生活扶助+住宅扶助」を毎月受け取るケースが多いです。これらを踏まえ、1級地-1(東京23区など)に在住する50歳の単身世帯の人で、収入がない人を例に、生活扶助と住宅扶助の支給額をそれぞれ計算していきましょう。
生活扶助基準額は、以下の式で計算します。
- 生活扶助基準=基準額(第1類)×逓減率+基準額(第2類)
現行の制度では、ここに特例加算が加わります。特例加算は2025年10月から1500円に引き上げられています。そのため、生活扶助額は以下のとおりです。
- 4万6930円×1.0000+2万7790円+1500円=7万6220円
よって、生活扶助の金額は7万6220円です。
次に、住宅扶助の金額を見ていきましょう。現行の制度では、1級地の住宅扶助は5万3700円です。
よって、住宅扶助としては最大で5万3700円が支給されます。では、生活扶助と住宅扶助の合計を計算してみましょう。
- 7万6220円+5万3700円=12万9920円
1級地-1に在住する人は、月額約13万円の保護費を受け取れます。
次章では、生活保護の気になるポイントを解説します。
3. 【生活保護】「家族に知られてしまう?」気になるポイント3選
生活保護の受給を考える際、デメリットや制限が気になる人もいるでしょう。気になるポイントに関して、3つ解説していきます。
3.1 ①車は所有できない?
生活保護の受給中は、基本的に車の所有は認められません。車は資産のひとつであり、処分・売却して生活費に充てなければならないためです。
ただし、例外として所有が認められるケースもあります。
- 公共交通機関が著しく不便な地域に住んでおり、通勤・通院に車が必要不可欠な場合
- 障害があり、通勤・通院に車が必要不可欠な場合
「保護を受ける際は必ず車を処分しなければならない」とは限らないため、まずは福祉事務所に相談してみるとよいでしょう。
3.2 ②家は所有できない?
持ち家がある場合でも、生活保護を受給できる可能性は十分あります。
持ち家も、車と同様に資産とみなされます。居住物件が「まだ築年数の浅い戸建て」のように資産価値が著しく高いわけでなければ、基本的には持ち家に住み続けながら生活保護の受給が可能です。
ただし、持ち家の場合は住宅扶助が支給されません。そのため、自宅の修繕費などは生活扶助で受け取った金額から支出する必要があります。
3.3 ③家族にバレるのが怖い
生活保護の申請をする際は、親族に「申請者を扶養に入れられるか」を確かめる「扶養照会」を行います。扶養照会は親族に生活保護を利用しようとしていることが知られるため、申請をためらう人もいるようです。
しかし、現在は扶養照会の運用が見直されており、状況によっては照会なしで保護が開始されるケースもあります。たとえば、親族が高齢で援助できない場合や、親族と10年以上音信不通の場合などです。
親族に扶養してもらうことが保護の受給要件ではありません。扶養照会を避けたい人は、一度福祉事務所に相談してみましょう。
次章では、生活保護の受給中にしてはいけないことを解説します。
4. 【生活保護】受給中のNG行動とは?どんな行為に注意?
生活保護の受給中のNG行動として、以下の行為は慎むようにしましょう。
- 収入の無申告
- 過度な浪費やギャンブル
- ケースワーカーの指導・指示への違反
生活保護の受給中は、毎月の収入を福祉事務所に申告する必要があります。給与収入だけでなく、仕送りや年金・保険金、フリマアプリの売上なども報告しなければなりません。報告せずにいると、不正受給とみなされて保護費の返還などを求められます。
また、過度な浪費やギャンブルに保護費を充てるのも控えましょう。保護費の大半を浪費・ギャンブルに充ててしまうと、結果的に生活困窮につながってしまいます。ケースワーカーから厳しい指導を受ける可能性も高まるでしょう。
こうしたケースワーカーからの指導・指示に背くような行為が続くと、保護打ち切りとなる可能性もあるため、ケースワーカーの指示には必ず従うようにしてください。
5. まとめにかえて
生活保護は、私たちが生活に困った際に受ける権利のある、セーフティネットの役割を果たします。日常生活のさまざまな支出に対して扶助が受けられるほか、冬期は暖房代の支出を考慮して、冬季加算も支給されます。冬季加算は、北国の地域ほど、支給額が大きくなるしくみです。
一方、保護受給中は複数の制限も課せられます。まずは福祉事務所に現在の生活について相談し、デメリットや注意点を事前によく理解したうえで申請するかどうか決めるとよいです。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年10月)」
- 厚生労働省「生活保護を申請したい方へ」
- 厚生労働省「生活保護に関するQ&A」
- 厚生労働省「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」
- 厚生労働省「冬季加算について」
石上 ユウキ