教育現場でも急速に普及が進む生成AI。大学受験という人生の岐路で、受験生は生成AIをどのように活用しているのでしょうか。

今回の記事では、受験勉強における生成AIの活用実態と成果につながりやすい使い方、そして見落としがちな注意点を整理します。さらに、便利さの裏にある誤情報や依存、不正につながるリスクまで踏み込みます。 

学習の効率化に強い一方で、最後に合否を分けるのは自分の理解と判断です。生成AIを味方にするための前提を押さえたうえで、具体策を見ていきましょう。

1. 受験生の生成AIの活用実態は?

「Knock 教育AIラボ」が実施した、2025年に大学に入学した大学1年生に対する「受験での生成AIの活用についてアンケート調査」を見ていきましょう。

1.1 調査概要

  • 調査方法:インターネットによるアンケート
  • 調査期間:2025年10月26日~10月31日
  • 調査対象:2025年に大学に入学した18歳から20歳までの学生
  • 有効回答数:205人

割合は四捨五入しており、総数と内訳の計が一致しない場合があります。

1.2 受験生の約4割が生成AIを活用、「今受験生だったら使いたい」は6割超

本格的に受験勉強や受験の準備を始めてから、学習や進路相談、その他受験に関わるもののために生成AIツールを使用しましたか?

  • 頻繁に使用した: 9.8%
  • 時々使用した: 26.8%
  • ほとんど使用しなかった: 20.5%
  • 全く使用しなかった: 36.6%
  • 生成AIの存在を知らなかった: 6.3%

今あなたが高校生や受験生だったら、生成AIツールを受験のために使いますか?

  • 頻繁に使用すると思う: 20.5%
  • 時々使用すると思う: 42.4%
  • ほとんど使用しないと思う: 21.5%
  • 全く使用しないと思う: 13.2%
  • 生成AIの存在を知らない: 2.4%

本格的に受験勉強を始めてから生成AIを使用したことがあるかを聞いたところ、「頻繁に使用した」が9.8%、「時々使用した」が26.8%で、合計で36.6%の受験生が実際に活用していました。

また「今あなたが受験生だったら使いますか?」という質問に対しては「頻繁に使用すると思う」が20.5%、「時々使用すると思う」が42.4%で計62.9%が利用に前向きな回答をしています。

実際に利用した人よりも、「今だったら使う」と回答している人が多いことからも、今後ますます受験勉強における必須ツールとなっていくことが予想されます。

2. 活用法1位は「解答の添削」。解説やヒント出しにも重宝

では、具体的にどのように活用しているのでしょうか。おすすめの活用法トップ3は以下の通りでした。

大学受験でおすすめのAI活用法 (n=129 複数回答)

  • 自分の書いた解答の添削:67%
  • 問題の解答解説やヒントの提示:63%
  • 教科書等の内容についての解説の提示:37%

「自分の解答が合っているか」を確認したり、わからないところについて解説を出したりする用途で重宝されているようです。単に答えを知るのではなく、生成AIを活用して理解を深めようとしていることがわかります。

2.1 「英語」と「数学」が2大活用科目

大学受験で生成AI活用がおすすめの科目3/8

大学受験で生成AI活用がおすすめの科目

出所:Knock 教育AIラボ「受験での生成AIの活用についてアンケート調査」

具体的に生成AIを活用するのがおすすめの科目を見てみると、全体では「英語」が61%、「数学」が54%、「小論文」が40%でした。文理別も含めて見てみると、以下の通りになっています。

大学受験で生成AI活用がおすすめの科目 (n=129 複数回答)

  • 全体(129人):英語 (61%)、数学(54%)、小論文 (40%)
  • 文系(64人):英語(61%)、数学(44%)、小論文(41%)
  • 理系(43人):数学(67%)、英語(44%)、理科(41%)
  • 学際・文理融合系(22人):英語 (61%)、数学 (44%)、小論文 (41%)

文系・理系問わず、英語の和訳や英作文のチェックをしたり、数学の解法プロセスの確認をしたりすることに相性が良いと考えているようです。文系でも数学が2位にランクインしていることから、数学が重視されていることもわかります。

また、独学での対策が難しい「小論文」も40%の人が挙げており、文章作成を強みとする生成AIをしっかり活用していることがわかります。

3. 「24時間いつでも」「恥ずかしくない」がAIのメリット

生成AIツールを受験に活用するうえで特に良いと思う点4/8

生成AIツールを受験に活用するうえで特に良いと思う点

出所:Knock 教育AIラボ「受験での生成AIの活用についてアンケート調査」

生成AIツールを受験に活用するうえで特に良いと思う点 (n=200 複数回答)

  • 1位: すぐに答えが返ってくる (66%)
  • 2位: 24時間いつでも使える (59%)
  • 3位: 間違えても恥ずかしくない (44%)

生成AIを使うメリットとして「すぐに答えが返ってくる」が66%、「24時間いつでも使える」が59%と利便性について多く挙げられました。

また「間違えても恥ずかしくない」が44%となっていることから、塾や学校の先生に聞くより心理的なハードルが低いことも、受験生にとって大きな魅力となっているようです。

3.1 注意点は「情報の正確性」や「AI依存」

受験における生成AIツールの活用での注意点5/8

受験における生成AIツールの活用での注意点

出所:Knock 教育AIラボ「受験での生成AIの活用についてアンケート調査」

受験における生成AIツールの活用での注意点 (n=200 複数回答)

  • 1位: 生成AIの回答は間違っている場合があると意識すること (61%)
  • 1位: 依存しすぎないようにすること (61%)
  • 3位: カンニングや不正にならないように使うこと (39%)

一方で、活用上の注意点について「回答が間違っている場合があると意識すること」と「依存しすぎないようにすること」が61%で同率1位でした。

AIの限界を理解した上で利用することや、AIに依存しすぎて自分で考えるのをやめてしまわないようにすることなど、AIを使う上での注意点をきちんと理解していることがわかります。

3.2 AIではなく「人」が頼りになるのは精神的なサポート

受験において人の方が頼りになると思う点6/8

受験において人の方が頼りになると思う点

出所:Knock 教育AIラボ「受験での生成AIの活用についてアンケート調査」

受験において人の方が頼りになると思う点 (n=200 複数回答)

  • 1位: やる気を出させること、モチベーションを上げること (48%)
  • 2位: 自分の性格や強みを見たうえでのアドバイスをくれること (45%)
  • 3位: 自分では思いつかない進路を提案してくれること (34%)

AIよりも「人」の方が頼りになる点として、「やる気を出させる・モチベーションを上げる」が48%、「性格や強みを見たうえでのアドバイス」が45%という結果でした。

学習の効率化や疑問解決には「生成AI」を、モチベーション維持や進路指導といった精神的・個別的なサポートには「人」を頼るという使い分けをしているようです。

次の章からは、改めて生成AI利用時に注意すべきことを見ていきます。

4. 生成AIを利用する上で注意すべきこととは?

総務省が公表している「生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~」をもとに、生成AIを利用するうえで注意すべきことを見ていきましょう。

4.1 生成AI活用に当たって注意すべきポイントは?

生成AI活用に当たって注意すべきポイント7/8

生成AI活用に当たって注意すべきポイント

出所:総務省「生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~ 」

情報の正確性

  • 無意識のうちに合理的ではない行動、偏った判断をすることがあるという意識を持つ
  • チェックリストを用いて真偽を判断する
  • 安易に拡散しない / 拡散したいときはひと呼吸おく

情報流出

  • 生成AIサービスの規約を確認する(商用利用可否、損害発生時の責任所在等)
  • 個人情報や機密情報の入力は必要最小限にする
  • 生成AIに入力したデータを学習に使わせないように設定する

知的財産権の侵害

  • 既存のものや実在の人物に似たものを生成するような指示入力を避ける
  • 生成物が既存のものや実在の人物に類似している場合、利用をやめる / 権利者から許諾を取得後に利用する / 既存のものと類似しないよう大幅に加工する

活用者としてのモラル

  • 本来自分が行うべきことまで生成AI任せにしない
  • 生成AIが作った偏見のある回答を使用しない
  • 生成AIを非倫理的な行為や犯罪に悪用しない

生成AI活用に当たって注意すべきポイントとして、情報の正確性や個人情報などの流出、知的財産権の侵害、モラルなどが挙げられています。

これらを意識して利用しなければ、自分が被害に遭うのみならず、他人を傷つけてしまう可能性もあります。AIが出力した情報だからと安易に利用せず、最後は自分の判断が求められています。

4.2 情報の正確性を判断するポイント

その中でも、情報が正確かどうかは迷うポイントになります。そこで、このチェックリストを用いると判断がしやすくなるかもしれません。

基本

  • 情報源はある?
  • その分野の専門家?
  • 他ではどう言われている?
  • その画像は本物?

応用

  • 「知り合いだから」という理由だけで信じていないか?
  • 表やグラフも疑ってみた?
  • その情報に動機はある?
  • ファクトチェック結果は?

情報源が信頼できるかどうかや疑うポイントについてまとまっているため「あれ?」と気になった場合にはこれらの観点を確認してみてくださいね。

5. まとめにかえて

受験勉強でのAIの活用法は、答えを知るためではなく、「理解を深めるツール」として利用していると分かりました。

大学受験勉強で生成AIを使うことは、勉強の理解を深めることに加えて、生成AIの適切な使い方も学ぶことができるよい機会だと言えるでしょう。

一方で使い方を誤れば、間違った情報を信じたり、他人を傷つけてしまったりする可能性があることも事実。AIはあくまでもツールであり、自分の判断を大切にすることを忘れずに利用することが大切ですね。

参考資料

LIMO・U23編集部