今月15日は2カ月に一度の年金支給日がありました。年金といえば「老後のもの」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、現役世代を支える制度もあります。そのひとつが、病気や障がいで生活や仕事に制限が生じた場合に支給される「障害年金」です。

今回は、日本年金機構などの公表資料をもとに、障害年金の再認定のしくみや平均的な受給額、給付金制度の実態についてわかりやすく解説します。

まずは、給付が決まるまでの流れと「再認定」の位置づけを確認してみましょう。

1. 【障害年金】「一生もらえる」は誤解?再認定がある理由

障害年金の手続きには、大きく分けて2つの段階があります。初めて申請を行い、受給できるかどうかが判断される「新規裁定」と、すでに年金を受け取っている人について、支給を続けられるかなどを確認する「再認定」です。

障害年金は、いったん認定されたからといって、そのまま自動的に「一生涯」支給される制度ではありません。症状の変化を確認するため、原則として一定の期間ごとに医師の診断書を提出し、再度判定を受ける仕組みが設けられています。

日本年金機構が令和6年9月に発表した「障害年金業務統計(令和5年度決定分)」より、支給件数と更新期間の傾向をみていきましょう。

1.1 【新規裁定】「3年以内」の短期更新が多い

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」

新規裁定で受給が認められた場合、「何年後に診断書を提出してください」といった形で更新までの期間が指定されます。症状が今後も変わらないと判断された場合には、「永久固定」とされるケースもあります。

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数 ※()カッコ内は割合

  • 障害基礎・厚生年金の合計支給件数:13万441件
  • 更新期間1年:4191件(3.2%)
  • 更新期間2年:3万8124件(29.2%)
  • 更新期間3年:3万7888件(29.0%)
  • 更新期間4年:308件(0.2%)
  • 更新期間5年:3万8895件(29.8%)
  • 永久固定:1万1035件(8.5%)

令和6年度の新規裁定における更新期間別の支給件数を見ると、更新期間が2年または3年に設定されたケースが全体の約6割を占めています。この結果から、初回認定では、時間の経過による状態の変化を見極める必要があると判断される例が多いことがうかがえます。

続いて、再認定の更新期間について確認してみましょう。