- 老後生活に不安を感じる人は8割超え
- 60歳代・70歳代の人の公的年金の平均額
- 60歳代・70歳代の人の貯蓄の平均額
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2025年度)によると、老後生活に不安を感じる人は調査対象の8割を超えたことが明らかとなりました。
老後の年金額や貯蓄額がどれくらいなのか気になる人も多いでしょう。
本記事では、60歳代・70歳代の人の公的年金や貯蓄の平均額について解説します。老後に向けて準備したい対策も紹介しますので参考にしてください。
1. 60歳代と70歳代の平均年金額
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者の平均年金額は14万6429円、国民年金受給権者は5万7584円となっています。
60歳代と70歳代については次の通りです。厚生年金受給権者の年金額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計です。
1.1 60~64歳の平均年金額
- 厚生年金受給権者:7万5945円
- 国民年金受給権者:4万4836円
1.2 65~69歳の平均年金額
- 厚生年金受給権者:14万7428円
- 国民年金受給権者:5万9331円
1.3 70~74歳の平均年金額
- 厚生年金受給権者:14万4520円
- 国民年金受給権者:5万8421円
1.4 75~79歳の平均年金額
- 厚生年金受給権者:14万7936円
- 国民年金受給権者:5万7580円
60〜64歳の受給権者については、老齢厚生年金は「特別支給の老齢厚生年金のみの受給権者」、国民年金は「老齢基礎年金の繰上げ受給者」が中心となるため、年金額は少なくなっています。
年齢によって多少異なりますが、65歳以降はおおむね厚生年金受給権者は14万円台後半、国民年金受給権者は6万円弱です。
2. 60歳代と70歳代の平均貯蓄額
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、二人以上世帯の平均貯蓄額は1374万円です。
60歳代の二人以上世帯・平均貯蓄額は2033万円、70歳代は1923万円と全年齢平均と比較して高額です。
ただし、中央値(貯蓄額を小さい順に並べたとき真ん中の人の貯蓄額)は60歳代は650万円、70歳代は800万円となっており、一部の富裕層の貯蓄額が平均値を引き上げています。
また、両年代とも、貯蓄がないという世帯が全体の2割を占める状況です。
ここまで、60歳代と70歳代の平均年金額と平均貯蓄額について解説しました。次章では、老後に向けて準備したい対策を紹介します。
3. 老後に向けて準備したい対策5選
前述の「生活保障に関する調査」によると、老後不安の一番の理由は「公的年金だけでは不十分(79.8%)」というものです。お金に関する不安を減らすため、老後に向けて準備したい対策を5つ紹介します。
3.1 対策①:老後生活のシミュレーションを行う
老後生活の収支をシミュレーションすることで、「老後のことがよくわからない」「どのような対策が必要かわからない」という不安を解消し、老後対策を具体化できます。
最初に、将来の年金見込額を確認しましょう。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット(日本年金機構のインターネットサービス)」、年金事務所での相談などで確認できます。
次に、老後の生活費を予想しましょう。「生活保障に関する調査」によると、老後の最低日常生活費は月額で平均23万9000万円、ゆとりある老後生活費は平均39万1000円です。
年金以外の収入がないと仮定すると、年金見込額と老後生活費の差額(赤字額)が老後までに準備すべき老後資金です。
3.2 対策②:老後資金を効率的に貯める
老後資金は高額になるため、長期間、計画的に貯める必要があります。そのため、できるだけ早く貯蓄を始めることをおすすめします。
また、効率的にお金を貯めることも重要です。具体的には、預貯金ではなく投資信託などの資産運用を中心に資金準備することです。
資産運用にはリスクを伴いますが、長期的には積み立てたお金を大きく増やすことが期待できます。長期運用、分散投資などでリスク軽減を図ることも重要です。
資産運用では、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)の活用を検討しましょう。税制上の優遇措置が受けられるため、効率的に資産運用できます。
3.3 対策③:老後の年金以外の収入を確保する
年金見込額と老後生活費の差額(赤字額)を埋めるために、老後の収入を確保するという方法もあります。
- 定年後も再雇用などで仕事を続ける
- これまでの経験を活かして開業する
- 老後までに不動産を取得し賃貸料を得る など
また、年金額が一定以上あれば、アルバイトやパートで数万円の収入を得るだけで老後の家計収支を黒字にできる人もいるでしょう。
3.4 対策④:年金の繰下げ受給を検討する
65歳以降の老後生活を年金以外の収入で賄える人は、老齢年金の繰下げ受給を検討してみましょう。繰下げ受給によって増えた年金額は一生涯継続して受給できます。
早く亡くなった場合は損をすることもありますが、長生きリスク(長生きして老後資金が足りなくなるリスク)対策として有効です。
3.5 対策⑤:家計をダウンサイジングする
家計のダウンサイジングとは、生活費や支出を見直して、不要な出費を抑え家計を最適化することです。子育てや住宅ローンの返済が終わって(または負担が減って)経済的にゆとりが出てくると、趣味や旅行、外食などへの支出が増えがちです。
定年後の収入ダウンに備え、固定費(通信費や保険、サブスクリプションなど)を見直したり不要・不急の買い物を抑えたりして家計のダウンサイジングを図りましょう。
4. まとめにかえて
65歳以降の平均年金額は、60歳代も70歳代もおおむね厚生年金受給権者は14万円代後半、国民年金受給権者は6万円弱です。また、二人以上世帯の平均貯蓄額は、60歳代の世帯は2033万円(中央値は650万円)、70歳代は1923万円(中央値は800万円)です。
老後の生活を安心して迎えるために、まずは老後生活のシミュレーションを行った上で、自分にあった老後対策を検討しましょう。
※記事内で扱う金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
参考資料
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 生命保険文化センター「老後の生活にどれくらい不安を感じている?」
- 生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
- 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2025年度)
西岡 秀泰