3. 年金制度改正法が成立、今後の影響と対象者を解説
2024年6月13日に成立した「年金制度改正法」は、働き方や性別を問わず、多様なライフスタイルに対応できる年金制度の構築を目指すものです。
この改正の重要な点は、社会保険の加入対象が段階的に拡大されることです。これにより、これまで配偶者の扶養に入り国民年金に加入していた方(第3号被保険者)の中から、働き方や収入に応じて厚生年金加入者(第2号被保険者)へ移行するケースが増加すると予測されています。
3.1 社会保険加入で得られる3つの主なメリット
社会保険に加入すると、将来の年金額が増えるだけでなく、現役で働いている間のセーフティネットも手厚くなります。
1. 将来の年金受給額が増える
例えば、国民年金(老齢基礎年金)のみに40年間加入した場合の受給額は年間約80万円です。これに対し、途中から厚生年金に20年間加入したケースでは、老齢基礎年金に厚生年金が上乗せされ、年間の受給額は約92万円程度になる試算があります。
※上記はあくまで一例です。実際の受給額は個人の加入期間や平均標準報酬額などによって大きく変動します。
働き方によって将来受け取る年金額が変わる点は、理解しておきたい重要なポイントです。
2. 障害年金や遺族年金といった保障が手厚くなる
厚生年金に加入するメリットは老後の年金だけではありません。障害を負った際の障害年金や、万が一のことがあった際の遺族年金の保障も手厚くなるのが特徴です。これらの年金は加入期間が長いほど支給額が増える傾向にあるため、いざという時の生活の支えとなります。
3. 病気やケガで休業した際の傷病手当金
社会保険の被保険者であれば、病気やケガが原因で連続して4日以上仕事を休んだ場合に、収入の一部を補填する傷病手当金を受け取れます。国民健康保険には原則としてこの制度がないため、働く人にとっては非常に心強い仕組みと言えるでしょう。
3.2 「年収106万円の壁」の見直しに向けた動き
いわゆる「年収106万円の壁」を構成する要素の一つである賃金要件(月額8万8000円以上)については、今後見直しが検討されています。制度改正が進むことで、扶養を意識して労働時間を調整することなく、個々の状況に合った働き方を選択しやすくなることが期待されます。

