2026年が幕を開け、早くも半月が過ぎました。2025年はクマの出没や被害が相次いだことで、今年の漢字に「熊」が選ばれるなど、記憶に残る出来事が多い一年でした。
そんな激動の年を経て迎えた2026年、私たちの生活、特にお金にまつわる状況はどう変化していくのでしょうか。
シニア世代の家計の柱である公的年金は、2025年度は前年より+1.9%の増額となりました。物価高騰が続く中、まもなく公表(例年1月)される2026年度の改定内容も気になるところです。
本記事では、昨年度の改定を振り返りつつ、公的年金の基礎的な仕組みから、最新の年齢別平均受給額まで、一覧表を用いて分かりやすく解説します。
※年金額などのデータは執筆時点での最新情報に基づいています。
1. 国民年金+厚生年金「日本の年金制度は2階建て」
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2つから構成されているため、下の体系図のような「2階建て」構造と呼ばれています。
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出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
国民年金制度の加入対象は、原則として国内居住者のうち「20歳以上60歳未満」のすべての人々です。
年金保険料は全国一律で、年度ごとに見直しが実施されます(※1)。40年間保険料を漏れなく納めた人は、65歳以降に満額の老齢基礎年金(※2)を受給できるようになります。
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 2階部分:《厚生年金》
厚生年金制度に加入するのは、会社員や公務員、さらに特定適用事業所(※3)で働くパートなど、一定の要件をクリアした人で、国民年金と併せて加入する制度となっています。
- 年金保険料(※4):給与水準により決定する(上限あり)
- 老後の受給額:加入した期間や支払った保険料によって個人ごとにばらつきが出る
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
「2階建て構造」で説明される日本の公的年金制度は、1階が「国民年金」、2階が「厚生年金」となっていますが、加入対象となる人や保険料の決まり方、将来受給できる年金額などに大きな差があります。
1.3 もうすぐ《2026年度》年金額改定の公表。2025年度分はどうだった?
公的年金は、賃金や物価の動向を考慮して年度ベースで年金額を更新する制度となっています。
2025年度の年金額は、前年度より1.9%の引き上げとなっています。この改定率は、2025年4月分~2026年3月分の年金に適用されるものです。
年金例を挙げると、国民年金(老齢基礎年金)は満額で月額6万9308円(1人につき)、厚生年金はモデル世帯(会社員の夫と国民年金のみの妻)で月額23万2784円(夫婦2人の合計)となっています。
もっとも、実際に受給できる年金額は、働いていたときの年金加入履歴によって個人ごとに違いが生じます。
2. 【年金一覧表】厚生年金《60歳~90歳以上》1歳刻みの平均年金月額【リスト形式で確認】
今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。
厚生労働省年金局が発表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を一覧形式で見てみましょう。
はじめに厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。
2.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金一覧表
- 60歳:厚生年金9万6492円
- 61歳:厚生年金10万317円
- 62歳:厚生年金6万3244円
- 63歳:厚生年金6万5313円
- 64歳:厚生年金8万1700円
- 65歳:厚生年金14万5876円
- 66歳:厚生年金14万8285円
- 67歳:厚生年金14万9205円
- 68歳:厚生年金14万7862円
- 69歳:厚生年金14万5960円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
2.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金一覧表
- 70歳:厚生年金14万4773円
- 71歳:厚生年金14万3521円
- 72歳:厚生年金14万2248円
- 73歳:厚生年金14万4251円
- 74歳:厚生年金14万7684円
- 75歳:厚生年金14万7455円
- 76歳:厚生年金14万7152円
- 77歳:厚生年金14万7070円
- 78歳:厚生年金14万9232円
- 79歳:厚生年金14万9883円
2.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金一覧表
- 80歳:厚生年金15万1580円
- 81歳:厚生年金15万3834円
- 82歳:厚生年金15万6103円
- 83歳:厚生年金15万8631円
- 84歳:厚生年金16万59円
- 85歳:厚生年金16万1684円
- 86歳:厚生年金16万1870円
- 87歳:厚生年金16万2514円
- 88歳:厚生年金16万3198円
- 89歳:厚生年金16万2841円
2.4 【90歳以上】厚生年金の年金一覧表
- 90歳以上:厚生年金16万721円
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円~16万円台でした。
3. 【年金一覧表】国民年金《60歳~90歳以上》1歳刻みの平均年金月額【リスト形式で確認】
続いて、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
3.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金一覧表
- 60歳:国民年金4万3638円
- 61歳:国民年金4万4663円
- 62歳:国民年金4万3477円
- 63歳:国民年金4万5035円
- 64歳:国民年金4万6053円
- 65歳:国民年金5万9599円
- 66歳:国民年金5万9510円
- 67歳:国民年金5万9475円
- 68歳:国民年金5万9194円
- 69歳:国民年金5万8972円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
3.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金一覧表
- 70歳:国民年金5万8956円
- 71歳:国民年金5万8569円
- 72歳:国民年金5万8429円
- 73歳:国民年金5万8220円
- 74歳:国民年金5万8070円
- 75歳:国民年金5万7973円
- 76歳:国民年金5万7774円
- 77歳:国民年金5万7561円
- 78歳:国民年金5万7119円
- 79歳:国民年金5万7078円
3.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金一覧表
- 80歳:国民年金5万6736円
- 81歳:国民年金5万6487円
- 82歳:国民年金5万6351円
- 83歳:国民年金5万8112円
- 84歳:国民年金5万7879円
- 85歳:国民年金5万7693円
- 86歳:国民年金5万7685円
- 87歳:国民年金5万7244円
- 88歳:国民年金5万7076円
- 89歳:国民年金5万6796円
3.4 【90歳以上】国民年金の年金一覧表
- 90歳以上:国民年金5万3621円
65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、どの年齢でも5万円台となっています。
4. 厚生年金・国民年金「イマドキシニアの男女差・個人差」グラフで確認
60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」についても見ていきます。
4.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金では、全体の平均年金月額は14万6429円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万6606円、女性10万7200円で、およそ6万円もの開きが見られます。
4.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
国民年金では、全体および男女ともに平均年金月額は5万円台となっています。
「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
5. 【年金制度が変わる】20歳代~50歳代が知っておきたい「見直しポイント」
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。
5.1 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》
社会保険の加入対象の拡大
- 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し。いわゆる年収「106万円の壁」撤廃へ
在職老齢年金の見直し
- 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)
遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女差を解消
- 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ
私的年金制度
- iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
- 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
- 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
6. まとめ
2026年を迎えましたが、昨年(2025年)度の1.9%増額を経ても、年金を取り巻く環境は依然として厳しいものです。
2024年度末時点での厚生年金の平均受給額は約14万6000円ですが、ここから税金や保険料が引かれる「手取り」を考えると、年金のみで生活を賄うことができる世帯は決して多数派ではないでしょう。
現役世代にとって大切なのは、この現実を直視し、将来に向けた準備を始めることです。今の生活を優先しつつも、目的別にお金を「仕分け」するなど、少しずつでも自分にできる備えを進めていきましょう。
2026年を、安心できる未来への第一歩を踏み出す年にしたいですね。
参考資料
渡邉 珠紀