2025年11月21日、高市内閣における経済対策が閣議決定されました。

物価高に直面する家計の直接的な負担軽減策は以下の5点。

①重点支援地方交付金

  • 家計支援枠:1世帯あたり1万円程度
  • 食料品の物価高騰に対する特別加算:1人あたり+3000円程度

②電気・ガス料金負担軽減支援事業

  • 1世帯あたり7300円程度

③ガソリン税率の廃止

  • 1世帯あたり1万2000円程度

④物価高対応子育て応援手当

  • 子ども1人あたり2万円

⑤所得税「年収の壁」見直し

  • 納税者1人あたり2~4万円程度

これらの支援を行いながら、政府は減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」という制度の導入を目指していく方針です。

「減税」と「現金給付」であれば、過去に行われた「定額減税」や「現金給付」で良いのでは?という声もあるかもしれません。

給付付き税額控除は、制度設計に時間を要する見通しですが、なぜ政府はこの制度を進めるのか、解説していきます。

1. 高市総理が導入を目指す「給付付き税額控除」の概要

高市総理は、2025年10月24日に行われた所信表明演説で、「給付付き税額控除」の制度設計を速やかに始めるとの意向を示しました。

この演説では、夏の参議院議員選挙で自由民主党が公約としていた一律の現金給付は実施しない方針である点も、あらためて明確にされました。

首相官邸が公開する『第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説』によれば、総理は物価高への対応を最優先課題と位置づけています。

また、実質賃金の上昇が定着するには時間が必要との認識を示し、「税・社会保険料負担で苦しむ中・低所得者の負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるようにしなければならない」と強調しました。

そのうえで、恒久的かつ公平な対策として「給付付き税額控除」の導入を急ぐ考えを表明しています。

この方針からは、高市内閣が一時的な措置ではなく、国民生活を根本から支えるための仕組み作りを目指している姿勢が読み取れます。

それでは、導入が検討されている「給付付き税額控除」とは具体的にどのような制度で、誰にどのような恩恵があるのかを詳しく見ていきましょう。