5. 高年齢雇用継続基本給付
60歳を迎えたあとも同じ職場で働き続けると、再雇用などをきっかけに給与水準が大きく下がるケースは珍しくありません。
そうした負担を緩和するために設けられているのが「高年齢雇用継続基本給付」です。
60〜64歳で引き続き雇用され、かつ雇用保険に加入している人が対象となり、60歳時点と比べて賃金が25%以上低下した場合に現行の給与に応じた一定額が毎月支給されます。
給付を受けるためには、雇用保険への加入期間が通算5年以上あることが前提となります。
また、離職後に支給される失業給付や再就職手当を受け取っていないことも必要です。
支給額は現在の賃金に連動して計算され、上限は賃金の15%ですが、2025年4月以降に60歳になる人については上限が10%に引き下げられます。
申請は賃金が大きく下がった月から可能で、最長で65歳到達まで給付を受けられます。
6. 利用できる制度を見落とさないようにしよう
高齢期は、収入が減ったり働き方が変わったりと、暮らしの環境が大きく動く時期です。
そのなかで家計を安定させる手段として、公的な給付金や支援制度を知っておくことは非常に重要です。
また、公的支援の多くは申請しなければ受給できず、気づかないうちに本来もらえるはずの給付を逃していたというケースも決して珍しくありません。
年齢や収入、働き方の条件によって対象となる制度は変わるため、今の自分に該当するものがないか一度チェックしておくことが大切です。
必要であれば、自治体の窓口や制度の公式サイトで手続き方法を確認してみましょう。
生活の不安を少しでも減らすためには、使える制度を正しく理解し、タイミングを逃さず活用していく姿勢が欠かせません。
公的支援をうまく取り入れながら、これからの暮らしをより安心できるものにしていきましょう。
参考資料
苛原 寛
