2. 1割負担・2割負担のボーダーラインは年収いくら?

これまでの1割負担と、新たに始まる2割負担のボーダーラインとなる金額は、世帯に75歳以上の人が何人いるかによって変わります。具体的には、以下のとおりです。

  • 現役並み所得者に該当しない
  • 世帯の75歳以上の人のうち、課税所得が28万円以上の人がいる
  • 世帯に75歳以上の人が1人おり、年金収入とその他所得の合計が200万円以上ある、もしくは世帯に75歳以上の人が2人以上おり、年金収入とその他所得の合計が320万円以上ある

上記の条件をすべて満たした場合、医療費負担が2割になります。単身世帯は年収200万円、夫婦世帯は年収320万円が2割負担の基準金額です。年収200万円未満の単身世帯、年収320万円未満の夫婦世帯は、医療費の負担割合がこれまでどおり1割になります。

75歳以上で年収200万円となると、その多くを年金が占めることになるでしょう。収入が年金以外にない場合は、月額約17万円以上の年金を受け取っている人が、2割負担の条件に該当します。「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、年金を月額17万円以上受け取っている人の割合は約35%であり、決して少なくはないといえるでしょう。

一方、年金が16万円台前半、もしくは16万円未満の場合、医療費は1割負担のままです。残りの約65%が1割負担の対象となるため、今回の改正の影響を受けない人も多くいると考えられます。

次章では、3割負担になる可能性のあるシーンを考えていきます。